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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | みすず書房 |
| 発売年月日 | 2024/01/18 |
| JAN | 9784622096726 |

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商品レビュー
5
2件のお客様レビュー
私たちが今、アーレントを読むべき理由とは何だろうか。それは一見、すでにアーレントに出会っている読者であれば自明なことであるのかもしれない。しかし、私たちがアーレントに何を読むべきかを問いかける一冊の本がある。それが本書、矢野久美子氏の『アーレントから読む』である。とても奇妙な表...
私たちが今、アーレントを読むべき理由とは何だろうか。それは一見、すでにアーレントに出会っている読者であれば自明なことであるのかもしれない。しかし、私たちがアーレントに何を読むべきかを問いかける一冊の本がある。それが本書、矢野久美子氏の『アーレントから読む』である。とても奇妙な表題の理由は最終章の最後の一節を読めば判明する。しかしむしろそこで問われているのは、私たちはアーレントとともに何を読むかということ、すなわち読者の到来なのである。私たちが目の当たりにしている現実をアーレントならどう見つめるだろうか。そのことを実に生き生きとした書簡や交流の読み解きを通して瑞々しく提示してくれるのが本書の特徴なのである。 アーレントは膨大な著作を残し、読者は時にたじろいでしまうかもしれない。少なくとも彼女の主著と呼ばれるものを隈なく読まなければ何事も語ってはならないと思ってしまう人もいるかもしれない。しかしアーレント自身はそのようなことを思っていたのだろうか。膨大なアーレント研究に詳しくなることも、その背景に控えている思想史に詳しくなることも、アーレントその人が問いかけようとしたことを受け留めるのに十分なのだろうか。本書はそうした学術的読みからは一歩退きながらも、アーレントその人の筆致を、時にはその人の息遣いを感じさせてくれる一冊である。著者にはアーレントに興味を持つすべての人へと開かれた小伝があり、その中で克明に描かれる交流の中でもひときわ目立つ女性にラーエル・ファルンハーゲンがいる。その小伝においては印象的に触れられるのみであったラーエル・ファルンハーゲンとの思想的交流が艶やかさを以って描かれているのは本書の魅力の一つであろう。 本書はアーレントが世界をどのように捉えていたのかを「あいだ」ということを手掛かりに明らかにしていく。本書の核心を成すであろう一節を引いてみたい。「アーレントは、物事を自分自身の思い通りにはできない人間の「弱さ」とは、複数の人びとのあいだで生きることをふくむ人間の条件にほかならないと述べる。(中略)複数性からの独立あるいは分離、つまり「政治からの自由」は、現実の遮断や世界からの退去と結びついていた。そうしたなかで人びとが共有する「あいだ」の世界の喪失が起こる」(45頁)。私たちは時に「思い通りになること」や「同じように考える」ことを理想にしてしまうことがある。しかし複数性の喪失こそが世界の喪失を招くのではないかと問いかけられているのである。みんなが一つの物語に従っていれば安心だと思っていた世界に起こったことは何であったのか。そのことをよく考えなければならない。アーレントの問いかける複数性とは、未知なる他者とロゴスを交え、ロゴスを共有することなのである。語ることをあきらめてはならない。 本書には思想家が親しい友人をリビングに招いて穏やかに話すような和やかさがある。しかし語りかけられている内容そのものは、アーレントに私たちは何を読むべきか、いやアーレントとともに何を読むべきかを、類書のない仕方で切実に感じさせるものである。そしてそれが『アーレントから読む』というタイトルへと収斂していくことに読者は気が付くであろう。アーレントが気になる、すべての読者に強く勧めたい一冊である。
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アーレントを読み始めたのは、10年くらい前からかな? アーレントはとてもわかりにくい文章を書く人で、やはり解説書とか、研究書がないと理解しにくいところが多い。私がアーレントを読み始めた時は、日本人による解説は入門的なものしかなくて、研究書的なものは翻訳ものに頼らざるを得なかった...
アーレントを読み始めたのは、10年くらい前からかな? アーレントはとてもわかりにくい文章を書く人で、やはり解説書とか、研究書がないと理解しにくいところが多い。私がアーレントを読み始めた時は、日本人による解説は入門的なものしかなくて、研究書的なものは翻訳ものに頼らざるを得なかった。元々、わかりにくいアーレントを翻訳による解説を読んでも、あまりわかった気にはなりにくい感じがあった。 この数年で、アーレントは日本でも人気の哲学者になったようで、日本人による研究書が追いつかないようなスピードでたくさん出ていて、嬉しいものの、とても読みきれない状況。 それぞれに示唆の多い本が多いと思うが、矢野さんの本は、難解なアーレントをわかりやすく解説してくれているということを超えて、しみじみといいな〜と思う。 この本のタイトルは、「アーレントを読む」ではなく、「アーレントから読む」ということになっていて、アーレントを通じて、私たちが今生きている世界を読み解こうというスタンスが伝わってくる。アーレントのキーワードを解説することを通じて、直接的に今起きている戦争や問題について論じているわけではないが、それらをみる視点を提供してくれているように思う。 そして、その文章が等身大なもので、読者がそれをそのまま受け止めるのではなくて、自分の頭で考え始めるきっかけを与えてくれるようなものになっている。 そう、アーレントは、「自分の頭で考える」ということを大切にした人なので、アーレントについて書く人も読む人も自分の頭で考えるということが大事なのだと思う。
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