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聖者のかけら 新潮文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 新潮社 |
発売年月日 | 2023/11/29 |
JAN | 9784101047614 |
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聖者のかけら
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商品レビュー
4.7
4件のお客様レビュー
川添さんの本だ、と思って読み始めた。 だから、内容面について特段知識もなく、中世イタリアへの関心が特にあったわけでもない。 さらに言えば、ミステリもそれほど好きではない。 が、一ページ目から、中世イタリアの世界に拉しさられる。 とても面白いのだ。 今年の一番の収穫本だったかもし...
川添さんの本だ、と思って読み始めた。 だから、内容面について特段知識もなく、中世イタリアへの関心が特にあったわけでもない。 さらに言えば、ミステリもそれほど好きではない。 が、一ページ目から、中世イタリアの世界に拉しさられる。 とても面白いのだ。 今年の一番の収穫本だったかもしれない。 物語はアッジシのフランチェスコの遺体が消えたという騒ぎから始まり、謎解きが始まっていく。 イタリアの修道院の雰囲気、各会の相互や法王庁との関係、何より聖遺物に対する一般の人々をも巻き込んだ熱狂的な信仰。 そういったものが描かれていくのだが、知識ゼロでも全く問題なく理解できるように書かれている。 アッジシのフランチェスコと言えば、絵画の題材によくなっているし、小鳥に説法をするフランチェスコは音楽にもなっている。 その程度の知識があれば、十分楽しく読める。 人物たちも魅力的だ。 主人公は二人。 小さい時に家族を失い、聖女ジャコマの下で育てられ、長じてセッテラーネ村で助祭師をしているピエトロ。 大貴族の家の双子の次男として生まれ、将来はどこかの修道院長になるべく育てられたベネディクトは、世間知らずで純朴な美青年。 現実的で世の中の悪をも許容するピエトロは、知識と勇気で事態を動かしていく。 モンテ=ファビオ修道院の修道僧ベネディクトは、子供のころから自分が「呪われている」と思い込み、戒律を守ることにだけ頑なになっている。 ベネディクトが院長の命でピエトロのもとに派遣されることで、物語がはじまっていく。 ベネディクトは、自分の苦しみばかりにかかずらわっていて、いわゆる謎解きの本筋になかなか関わらないかのように見える。 だが、彼が「呪われている」と思いこむに至った特異体質が、後半謎解きに大きな役割を果たすことになる。 すごい構想力だと思った。 また、ベネディクトの悩みは、宗教小説として読んでも読みごたえがある。 自分の信仰は間違っているのか、救いは得られるのかといった問いへの答えは、神は決して示しはしない。 なんとなく、遠藤周作「沈黙」を思い出した。 ベネディクトの葛藤は、フランチェスコを追うレオーネ、エリア・ポンバローネといった人々の思い、苦しみにも重なっていく。 自分自身はキリスト教との縁はないけれど、どういう宗教なのかを考えるきっかけにもなった。
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最高にスリリングなミステリー! キリスト教内の複雑さや歴史について凄く勉強になりました。 登場人物も魅力的で、主人公のベネディクトが精神的に成長していく様子にも心動かされました。
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ミステリーとしてかなり面白いが、やはり宗教の部分にとっつきにくさがある。 しかし、人物像の細かさや投げかけられる問いのわたしたちへの親和性が物語へ繋いでくれる良作。
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