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矛盾の水害対策 公共事業のゆがみを川と森と人のいとなみからただす
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矛盾の水害対策 公共事業のゆがみを川と森と人のいとなみからただす

谷誠(著者)

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矛盾の水害対策 公共事業のゆがみを川と森と人のいとなみからただす

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 新泉社
発売年月日 2023/11/27
JAN 9784787723154

矛盾の水害対策

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2024/05/07

2024年5月7日図書館から借り出し。随分待たされた割には、本を開いた形跡がない。 著者は京大農学部名誉教授、ただし学究一筋ではなくて農水省で実務研究に従事した経験を持つ水文学(森の水循環に及ぼす影響に関する研究12頁)の専門家。 第1部では、江戸時代からの河川改良の歴史を踏...

2024年5月7日図書館から借り出し。随分待たされた割には、本を開いた形跡がない。 著者は京大農学部名誉教授、ただし学究一筋ではなくて農水省で実務研究に従事した経験を持つ水文学(森の水循環に及ぼす影響に関する研究12頁)の専門家。 第1部では、江戸時代からの河川改良の歴史を踏まえて、国交省の河川行政に対する批判を、やや技術的な部分も詳説しながら鋭く展開している。 その根本は、水害をゼロに抑え込むことは困難であるのに、ダム等の土木工事により水害は防げるとする前提が誤っているというものである。 そこで、昭和53年の大東水害訴訟でいかに国交省が腐心したかを紹介している。 ただ、国交省からすると、国家賠償法第2条第1項で「道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があつたために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる。」と無過失賠償責任が負わされている中で、「河川」と明記されているところは大きいのではなかろうか。 また、平成2年の多摩川水害訴訟(岸辺のアルバムで有名)の最高裁判決で、先の大東水害訴訟判決は、やや修正されているところがあるのではないか。 この辺を触れておいて欲しかった。 第2部では著者の水文学知識が披瀝されて、初めて知る知識ばかりで、なかなか面白く、データ・図版も多く収録されていて、得るところが多い。 第3部では、「人新世時代の水害対策」と題して将来の水害対策の方向性を示している。 見田宗介の論を借りて、科学を含む超学際的研究によって人類の滅亡を引き伸ばす「軸の時代Ⅱ」に向かわなければならないとする。 そして、欲求を自主的に抑制することをも含み、主体的に意思を貫くことを「エゴイズム」と表現し、これを確立することを目指さなければならないとする。 この辺は、近頃勢いを失ったハーバーマスとの類似も感じるが、コミュニケーション(熟議)と言ってもいいのだろうか。 ただ、欲望を駆り立てることがますます過激になっている資本主義社会では、まことに困難な課題ではある。

Posted by ブクログ

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