ブラック・ジャック ミッシング・ピーシズ

手塚治虫(著者)

• 販売会社／発売会社: 立東舎
• 発売年月日: 2023/11/20
• JAN: 9784845639625

商品レビュー

2024/04/30

手塚治虫のBJ各種バージョン違いを収録。むかしチャンピオンコミックスで「緑柱石より」とあるのを見て何のことかわからなかったが、数十年ぶりに解決された。収録作品を見るかぎり、やはり修正後バージョンのほうが良くなっている。「指」全編は未読だが最終ページを見る限り最終バージョン「刻印」のほうがロックとBJの微妙な友情関係が味わい深くなっていておもしろい。それにしてもCOMボロボロの時期に連載された「火の鳥鳳凰編」にしても引退作になりかねなかったこのBJにしても手塚治虫のポテンシャル驚くべき。

2024/04/28

ジグソーパズルで欠けているピースがあると、パズルが完成しない。
missing pieces は、何かを完成させるために必要な、欠落している部分のこと。

マンガに限らず、雑誌の連載から単行本化する時に内容を見直し改訂することがある。
本書は、ブラック・ジャックの改訂箇所に注目したもので、原作にはなかった missing pieces を知ることができる。

ブラック・ジャックは、合計で243話も描かれているそうで、複数の出版社から何度も単行本化されている。
収録されたエピソードは出版社で異なり未収録作品もあるので、単行本では全話を読むことはできないそうだ。

単行本化時の変更は、相応しくなかった表現の削除や書き換えもあるが、説明不足のストーリーの補足もある。
単行本で書き直した方が良くなっていると感じた。

「ストラディバリウス」は単行本版では実に6ページ分も追加されていて格段に分かり易くなっていた。

「虚像」という作品では、製作途中原稿のコピーが見つかり、右頁の制作過程と左頁の完成原稿を見比べながら読めるようになっている。
制作過程の絵はラフすぎだし、セリフのくずし字も読みにくい。
こんな感じで制作していたんだ！ということが実際の原稿を見てよく分かった。

本書はブラック・ジャックを読んでいる人向けの本です。
ブラック・ジャックを知らない人は、通常の単行本を先に読んだ方がいいでしょう。

と、言ってみたものの、本書に掲載されている作品、どれも覚えていない。
私が所有しているのは秋田文庫版だが、最後に読んだのは10年以上昔であることは確かだ。
再読しても楽しめそうです。

2024/03/28

言わずと知れた手塚治虫氏の名作漫画「ブラック
ジャック」です。

実は週刊誌連載時と単行本掲載では、かなり構成
やコマ割りが異なっていて、マニアの間では話題
になっていたそうです。

特にペン入れ段階、つまり下書き的な状態のコピ
ーがマニアに出回ったり、セリフの書き換えなど
は常にマニア心をくすぐっていたとか。

それらを一冊にまとめたのが本書です。

なるほど、修正前と後を比較してみるとよくわか
ります。変更によって作品が格段によくなってい
るのです。

まさに手塚氏は総合監修者としても比類なき存在
であったことが分かる一冊です。