アマリとナイトブラザーズ(上)

B.B.オールストン(著者), 橋本恵(訳者)

• 販売会社／発売会社: 小学館
• 発売年月日: 2023/10/18
• JAN: 9784092906648

商品レビュー

2024/08/04

おっっもしろ。早く下巻読みたくてたまらない。映画化も決まってるらしいので一気に人気が出るといいなあ。小学校高学年〜中学生くらいで読んでもいいかもしれない。子供の頃に読みたかったファンタジーだ。

主人公が障害を持ってたり黒人だったりアラブ系だったりする作品がたくさん増えたらいいな、と思いつつ手に取ったのだけど、しょっぱなから主人公アマリの立たされた苦境で胃が重くなったりはしました。
公営住宅に住んでいて、低所得者の黒人でシングルマザーの娘で、奨学金をもらっているから「ただ飯食い」と言われたりSNSいじめなどの嫌がらせを受けている。頼りの綱だった最愛の兄も行方不明。兄は優秀だったのに自分はそうじゃない、自分はただの貧乏人の黒人でしかないと信じていて自己肯定感も自信も一切ないという始まり。つらい。
だけど兄のクイントンがまっとうな人間で、アマリが道を踏み外さないよう、行方不明になってからも導いているのがわかるのと、いきなり始まった冒険が楽しすぎるので安心して読める。
ただ、そうやってアマリが爪弾きにされた経験があったからこそドラゴン人間のエルシーと仲良くなれたエピソードはなんとなく心がほんわか温かくなって、希望が見えた気がしました。
低所得者向けアパートに住んでいる黒人の子供で顔を見られるだけで監視される、他人が自分のことを勝手に悪い方に決めつけるなら、そうではないと証明し続ける！と心に決めたアマリが強くてとても良かった。
フィオーナ捜査官が好きすぎて。やっぱり戦う女キャラは無条件で好きになっちゃう。
「ブギーマンじゃなくてブキーパーソンだよ」と訂正したところなんかは魔法の世界にもそういう概念はあるのねとちょっと複雑にはなりました。

気になったところも多少あって、ちょっと最初の方のママのセリフが説明口調すぎるなとは思いました。児童書だしわかりやすさ優先なら仕方ないかもなと思った。そういうのも気にならないくらいのめり込めるのでOK。
あとは、色んな他のファンタジー作品の感想でも書いてるけど、「生まれつき持った（この作品はまだどうしてアマリがすごい力を得たのかわからないけど）世界を揺るがすレベルの才能」で「善の力であれ悪の力であれみんなから注目されるヒーロー主人公」みたいなのはもうちょっと変わってほしいなあというところ。もちろん、みんなから注目されるのは必ずしもいいことではないよ、アマリはそう扱われることを嫌がっているよ、というのは何回も出てくるので鼻持ちならないとかではないのでいいのですが、他の作品だとそれだけでげんなりしちゃうことがあるので。わがままな読者。良くも悪くもハリポタをぼんやり感じてしまうというか。
もひとつ。やっぱり闇の王的な敵役の一人称って毎回「我輩」だよね〜ってやつ。ハリポタのスネイプ先生とか翻訳でイメージ違うって怒ってた人いなかったですか？これもそろそろ他にあると嬉しい。

2024/03/30

主人公の黒人の女の子アマリは、母と兄とでなんとか生活してきたのに、高校を卒業した兄が数年で行方不明になってしまう。それだけでも、アンラッキーのオンパレード。しかも、通っている私立の学校のクラスではいじめにあっている。奨学金の取り消しと退学の危機にさらされた時、兄からスーツケースが届き、物語は急展開しはじめる。上巻は、アマリが、自分の置かれた状況に立ち向かう覚悟をする様子が描かれている。