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中世ヨーロッパの色彩世界 講談社学術文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 講談社 |
発売年月日 | 2023/09/11 |
JAN | 9784065332832 |
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中世ヨーロッパの色彩世界
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商品レビュー
3.7
3件のお客様レビュー
あまり好みの書ではなかったけど、とても勉強になった。黄色が忌み嫌われる色とは知らなかった…緑にも善悪色々な意味があることがわかり、その理由も納得!エメラルドは自分の誕生石でもあるので、始まりの色と言われてとても嬉しかった!
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中世の色彩の話は本当に面白い。「紋章学入門」と合わせて読めば、ヨーロッパ旅行に行った時も役立ちますよ。
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・徳井淑子「中世ヨーロッパの色彩世界」(講談社学術文 庫)は書名そのままの書であ る。本書は、「いわゆる色のイメージを中世ヨーロッパの世界に見ていこうとするものである。つまり、中世の人びとが自然の色にどのような感情を託し、またどのように色を創り、そこに社会はどのような意味を付与し...
・徳井淑子「中世ヨーロッパの色彩世界」(講談社学術文 庫)は書名そのままの書であ る。本書は、「いわゆる色のイメージを中世ヨーロッパの世界に見ていこうとするものである。つまり、中世の人びとが自然の色にどのような感情を託し、またどのように色を創り、そこに社会はどのような意味を付与したのか、を解き明かすことを試みる。これは、逆に色を通して中世人のこころの世界と社会のありかたを見ていくことでもある。」(「はじめに」4頁)そこで「本書は基本的には衣服の色に関わる詮索を、ヨー ロッパのなかでも特にフランスを中心におこなっていく。」 (同5頁)ことになる。そのために中世の文学作品がある。これは、「それらの色にどのような意味を人びとが与えていたのかを伝える格好の資料」(同7頁)である。これら以外にも多くの資料等を用ゐながら中世の色彩世界を読み解いていく。正に蒙を啓かれる思ひの書であつた。 ・衣服ではないが、「獣の毛色であるフォーブ色を代表する」(153頁)のは狐であり、それが主人公となるのが「狐物語」である。「キツネのルナー ルはペテンばかりを働いている。」(同前)のだが、この物語の主人公が狐でないといけな いのかなどと私は考へもしなかつた。日本の昔話のイメージからもそのやうには考へ得るのだが、中世ヨーロッパでも狐はずる賢い存在と考へられてゐたのかどうか、これは分からない。 しかし、ここでは色が問題であつた。第五章は「忌み嫌われた黄」(145頁)と題され、小見出しも「ヒトを排除する黄」「ユダと黄色」「『あいつは黄 褐色だ』という中世フランス語」「黄色の比喩ー悲しみと怒 り」等と続く。そして最後は 「ジャン・バルジャンの黄色い通行証」で終はる。ここには肯定的な文言はない。ユダやジャ ン・バルジャンは盗人、高利貸 しといふに等しいのであらう。 狐もこの流れにある。「フォーブ色が欺瞞という意味をもったのは、このことばの音が虚偽を意味することばに近かったためかもしれない。(中略)中世文学のなかで、フォーブ色の獣はいつも怪しい気配を漂わせる。」(153頁)だから狐なのである。日本の狐は化ける。 中世ヨーロッパの狐は嘘と欺瞞に満ちてゐるのである。更に、より重要な赤がある。この章題は「権威と護符の赤」(67頁)である。ただ赤の場合、「赤系の色のすべてが好もしい色として中世人のこころをひいたのではない。」(69頁)といふ。「茶色を帯びた赤色のニュアンスを示すrouxは、同じくラテン語ruberから派生・変化したことばであるが、これは赤毛を表すときにもっぱら使う色名であり、ゆえに忌まわしい意味をもっている。」(同前)赤毛がかういふものであつたことも私は知らなかつた。だから、「赤毛のアン」や「にんじん」の嫌悪感がよく分からない。「中世の赤毛は身体の醜さと同時に裏切り者という精神的な卑しさを示し、要するに蔑視感を表す」(同前)ものであつた。かうなつて、やつと赤毛の持ち主の気持ちが分かる。実はこの色、狐にも関係してゐる。「赤茶色の毛といえば、キツネもしばしばこの色で示される。」(70頁) それは「赤毛が狡猾さと結びつ」(同前)いてゐる。つまり「赤茶色は策略と裏切りを示す 色」(同前)であつた。狐には、その色からして良いイメー ジはなささうである。赤といつても赤毛はそんな色だつたので ある。ところが「権力者たちの赤い喪服」といふ小見出しで は、赤、スカーレットが権力者や医者に用ゐられることが述べられてゐる。これが章題である。しかしこれ以上は書けない。他にもまだ多くの色がある。皆、それぞれ意味がある。 正に啓蒙の書であつた。
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