驚きの「リアル進化論」 扶桑社新書474

池田清彦(著者)

• 販売会社／発売会社: 扶桑社
• 発売年月日: 2023/09/01
• JAN: 9784594095710

商品レビュー

2024/12/28

人新世と言われる程、人間が生態系に影響し、乱獲や生息地の破壊により絶滅した種も少なくない。しかし、それは弱者を滅ぼした訳ではなく、まして強者だから生き残っているという事とも違う。進化論は適者生存というが、ほとんど偶然生き残ったに過ぎない。

キリンの首は長いから、背丈の高い草木を食べるには有利だ。しかし、キリンの子供は背丈が低いから、それを食べられない。激しい競争下でも子供が低い草木を食べられるなら、首が長くなる必要がない。低い草木が食べられないなら、大人になれない。つまり、首が長い、という事は草木の背丈に合わせたというシンプルな合目的的進化とも言い切れない。複雑な理由、あるいは理由なき偶然性のいずれかが関係していそうだ。

ー　ラマルクの説によれば人間も、はるか昔に自然発生した下等な生物が、徐々に高等になっていった結果たどり着いた形であって、人間が世の中で最も高等な動物である理由は、ほかのどんな動物よりも早くに自然発生していたせい、ということになります。そういう意味からすると、サルみたいな人間より少し下等な動物は人間より少しあとに発生した動物の子孫であり、逆にゾウリムシなどの最も下等な生物はつい最近自然発生した、ということになりますが、生物は次ページの図のように右上がりに下等から高等へと進んでいきますから、サルもゾウリムシもいずれ人間になるという理屈ですね。

実際の生物は、どちらが高等でどちらが下等なのかが判然としないケースがたくさんある。大きい方が良いか、小さい方が良いかだって分からない。進化における善悪は人間には決められないというと似ている。

ー　1990年代に入ってからも多くの生態学者はネオダーウィニズムという沈みゆく泥船にしがみついていたように思います。それから時は流れて、蓄積された科学的事実は徐々に「構造主義進化論」に整合的になってきました。中には、「池田の言っていることは要するに「エピジェネティックス」で、そんなことは今では常識だ」と言う人まで現れました。しかし、私がネオダーウィニズム批判を始めた1980年代の半ばごろに、そんなことを言っている人はほぼ皆無だったわけで、後出しじゃんけんで威張る人が現れたということは、「構造主義進化論」の優位性を雄弁に物語っています。

構造主義的進化論は、生物の進化を自然選択だけでなく、生物の内的な構造や発生過程が形態や機能を制約し、可能性を方向付けるプロセスとして捉える考え方です。どんなに進化して多様性をもっても哺乳類は手足4本で、手が更に2本生えた方が良さそうだがそうならない、という発想に近い。池田清彦の専門分野でもあり、面白かった。

2024/07/31

誤解されがちな進化論をわかりやすく、どこが誤解されやすいかを解説してくれています。

構造的進化論というモノを初めて知りました。

また、著名な生物学者とその人生を紹介されていて面白かったです。

2024/06/20

内容が薄く、著者の浅薄な感想や憶測による記述が多い。ライトな読み物としてはいいのかもしれないが、勉強というより雑学を学ぶぐらいの熱量よ本だった。
時間の無駄。