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ヒロインはいつも泣いている 「女だから」悩む歌舞伎の女性たち
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 淡交社 |
発売年月日 | 2023/08/24 |
JAN | 9784473045614 |
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ヒロインはいつも泣いている
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商品レビュー
4
2件のお客様レビュー
表紙を除いて「役者」について言及しないことで、歌舞伎の物語とその登場人物をくっきりと浮かび上がらせている。
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今年の初め新春浅草歌舞伎を観に行った。 歌舞伎自体数年ぶりだったが、若さ弾ける役者さん達の演技に新年早々元気づけられた。そして「やっぱり歌舞伎っていい!」とハイになっていたところで本書を知るという、ナイスタイミングにも恵まれる。 表紙には中村壱太郎くん演じる『義経千本桜』「すし...
今年の初め新春浅草歌舞伎を観に行った。 歌舞伎自体数年ぶりだったが、若さ弾ける役者さん達の演技に新年早々元気づけられた。そして「やっぱり歌舞伎っていい!」とハイになっていたところで本書を知るという、ナイスタイミングにも恵まれる。 表紙には中村壱太郎くん演じる『義経千本桜』「すし屋」のお里。壱太郎スマイルがキュートだが、どこか物憂げでもある。 自分は何故か歌舞伎ヒロインの「泣き声」に敏感で、彼女達が絞り出す「あぁぁぁぁぁぁぁぁ…」という叫びが鑑賞後もずっと耳に残っていたりする。大抵の演目で「あぁぁぁぁぁぁぁぁ…」を聞くから、歌舞伎ヒロインは泣かされる運命にあるのかと疑わずにはいられない。 本書は人生の大半をクラシックバレエに費やしてきた著者が、大好きな歌舞伎ヒロインらをテーマに執筆したもの。「ファンタジーのような人知を超えた存在」というフィルターを取っ払い、一女性としてそれぞれ分析しているのが特徴だ。中にはほんのワンシーンしか登場しないような女性まで掘り下げられている。 バレエという女社会で奮闘してきた彼女が、女であるというだけで歌舞伎の舞台から締め出されショックを受けた経験も、執筆の基盤となっている。 各ヒロインの身に起こった出来事を現代と照らし合わせプレゼンしつつ、ハグせん勢いで彼女たちに寄り添っているイメージ。「感情的」と言われればそれまでだが、ごもっともでもあるスピーチに耳を傾けるうち「そりゃ『あぁぁぁぁぁぁぁぁ…』なるわ…」と、気づけば自分もハグしに行っている。 ※ただ母親をテーマにした最終章では、著者ご自身に関する話の尺が些か長いように感じた。(内容が内容だけに強調したくなるのは分かるけど) ドラマの一場面であるかのようにつらつらとストーリーを語るもんだから、「実際のお芝居は本当にこの通りなのか」と勘繰ってしまう。『梅ごよみ』という演目を恋愛リアリティショーの「バチェラー」に例えたり等、読んでいても飽きない。リスニングで聞き取れなかった英文と和訳を確認した時みたいに、分からなかった内容がスルスルと頭に入ってくる。 推測も交えた登場人物の心模様と、観るのが好きでも相当読み込んでいかなきゃここまで語れないって…。 「しかし歌舞伎の残酷なところは、読者の支持よりも、スペクタクル性を重視してしまうところだ」 「歌舞伎は世直しのために一念発起させるツールではない、あくまでエンターテイメントだ」と著者は語る。 男たちの都合に振り回される。身分や立場に縛られる。セクハラ・パワハラ・モラハラやルッキズム、家庭内では子育てに悩まされる。同性からすれば、それこそ感情的になりそうな不幸のラインナップだ。 だがそこを異性の女方が当時の精神性を再現し演じきることで、一つの作品・エンターテイメントとして昇華できているのかな、と今は捉えるようになっている。 自分のことみたいに怒るより、ヒロインを優しくハグしながら「自分ならどうするか」を考えていく方がはるかに有意義な鑑賞法になりそうだ。
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