逆転正義

下村敦史(著者)

• 販売会社／発売会社: 幻冬舎
• 発売年月日: 2023/08/23
• JAN: 9784344041554

商品レビュー

2024/08/17

タイトル通り正義が逆転する短編集。予想外の苦い思いや途中までは想像できてもどんどん混沌としたり、正義の主観さと脆さ、そして先入観による歪みを噛み締めた。正義なんて個々人によって変わるしなんて曖昧なんやろね。どの話も割と後に残る感じで考えさせられ結構好き。

2024/08/15

ミステリ短編集でして掲載されている全ての作品の最後には、どれもかなり驚愕しまして読み応えたっぷりでした。
特に私は「見てみぬふり」と「死は朝、羽ばたく」が凄くて好きですね。

2024/08/08

6つの短編からなる本書は、タイトルにとあるようにいずれもどんでん返しもの。ただ、単なるどんでん返しものではなく、読んでいて感じる内なる正義感を揺るがすものだった。この世の中に絶対的正義などあるのか。またそれを我々が安易に決めて良いのか、考えさせられる話ばかりだった。
特に心に残ったのは第1話「見て見ぬふり」。教室内で繰り広げられたいじめを、見て見ぬふりができなかった主人公は担任教師に助けを求めるが、それは望んでいた対応ではなかった。部活の先輩に相談したと結果、SNSに晒すことで加害者に罰を与えようとする。
正義の暴走を中世の魔女狩りになぞらえているが、“魔女”と認定されるのを恐れていたのにいつの間にか無実の魔女を吊し上げる“審問官”となっていた、という主人公の立ち位置に気付かされるところには、よりゾッとさせられた。いざその立場になった時に自分は冷静に判断できるだろうか、決めつけで行動することはないだろうか、自問自答したが答えはでなかった。小さな棘が刺さり続けているような、そんな読後感だった。