実用鍼灸治療学 鍼灸師のためのABC理論

中野保(著者)

• 販売会社／発売会社: たにぐち書店
• 発売年月日: 2023/04/01
• JAN: 9784861295041

商品レビュー

2023/06/12

初学者(学生含む)には是非手に取ってほしい一冊です。

本書では鍼灸院で診る割合が最も多い、首肩凝り、五十肩、頚椎症、背中の張り、腰痛、股関節痛など筋骨格系疾患に特化しつつも、鍼灸治療の汎用性にもスポットが当てられ、次に多い、自律神経失調症、不定愁訴、内臓系不調も網羅しています。

また、治療で用いるツボの部位(体幹、四肢、頭頸)別に現代医学の脳・神経の機能に基づいた治癒機序が示されています。

国内外には幾多の鍼灸流派がありますが、読者がどの流派の鍼灸施術を採用しているとしても、この本を読めば、各流派で使っているツボがどのように人体に作用することで疼痛が緩解し様々な不調が改善するのかを、現代医学的に理解できるようになる手助けとなると思います。

ツボの治効機序を解説する本書を読めば、

・様々な疾患に対して、治療方針(脳・神経の各機能を活性化するためのツボの選択)を現代医学的に建てられるようになり、治療効果を確実に出せるようになる。

・患者さんへの施術内容(このツボを何故用いたか)の説明も、より現代医学的に説明が出来るようなり、信頼と安心感を与えられる。

・どの流派の鍼灸治療法を学んでも、なんでこのやり方でこの疾患を改善できるのかが現代医学的に理解できるようになり、学びの深みが増し、どんな流派の方法でも臨床で駆使できるようになります。

また実技、技法もしっかりと解説されています。
どのように鍼を刺せば、本書で示された治癒機序を起こせるのか？
実際の治療法(鍼灸技法)が、鍼の番手と鍼長、刺入部位、鍼先を届かせる所(凝りが在る狙う深部)、刺入角度と深度が写真と図と解説により、余すことなく説明されています。

初学者のみならず中堅やベテランの鍼灸師にも、いままでの学びを現代医学的に整理、理解する一助となる一冊です。

私は１０年以上前に「ほのしん講座」を受講した者です。以来、臨床でそのスキルを使い結果を出してきました。このレビューが少しでもお役に立てたら幸甚です。