ぶどう園物語 ザ・スターリンになれなかった男

ツージーQ(著者)

• 販売会社／発売会社: 青林工藝舎
• 発売年月日: 2023/07/24
• JAN: 9784883795048

商品レビュー

2023/10/19

ドラムのイヌイジュン氏の絵を見に行った帰路、電車の中で読んだ。いろんな話が飛び交う伝説のバンドであるだけに、実際に間近で見聞きしたこと、当時の世相など、空気やニオイ、温度まで感じられるかのようだった。そして、月日が経ちミチロウさんが闘病の末亡くなられるところも描かれている。イヌイさんの著作も読んだけれど、それぞれの道を歩んだ、その人にしか描けない人生観、世界があるのだ。

2023/08/21

　連載時も読んでいたけど、通して読むと青春の遣る瀬無さでずっしりとくる。スターリンに参加しなくて、悔しい思いをしているのかと思っていたら、すごく嫌がっていたのが意外だ。フォーク調の曲がパンクになっていたことへ嫌悪感を抱く。その後、ツージーさんはハイテクノロジー・スーサイドにも参加されていて、パンクより過激なバンドなので気持ちに変化があったのだろうか。

　30年以上前、上京した時に友達がスターリンを勧めてくれたのだけど、話を聞くだけでも恐ろしくて、自分の好みではないしライブに行きたくないし何があっても絶対にかかわりたくないと思った。音楽も当時バンドブームでMTV番組で『勉強ができない』を見てそれは面白かったのだけど、CDを買うなどはなかった。ところがその後、アックスで遠藤ミチロウさんが表紙に手書きで名前を書いてくださって、新潟にノータリンズで来たときは見に行ってサインをいただいた。その頃には臓物を投げたりしないので怖くなかったが、遠藤さんの歌う後ろでチェロの金属の脚にグラインダーを当てて火花を丸く放射状に出していて後光がさしているようだった。CDを買ってサインをしていただいた時に「熱くないんですか」と聞いたら「熱いよ」とおっしゃっていた。

　その後、上京した時に中央線か総武線で楽器を持っているのを見かけた。遅い時間だったので、どこかでライブを終えて帰宅されている途中なのだろうと思った。