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「協力」の生命全史 進化と淘汰がもたらした集団の力学
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 東洋経済新報社 |
発売年月日 | 2023/06/28 |
JAN | 9784492224113 |
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「協力」の生命全史
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「ヒトが協力するのは進化的な理由があっただろう」「協力をする種はヒト以外にも存在するがヒトとその種の協力は同じなのか」といった話を、多細胞生物の組織と真社会性のコロニー、ヒトの社会とのアナロジーや、アリ、ハチ、ホンソメワケベラ、シロクロヤブチメドリ、ミーアキャット、そしてもちろん...
「ヒトが協力するのは進化的な理由があっただろう」「協力をする種はヒト以外にも存在するがヒトとその種の協力は同じなのか」といった話を、多細胞生物の組織と真社会性のコロニー、ヒトの社会とのアナロジーや、アリ、ハチ、ホンソメワケベラ、シロクロヤブチメドリ、ミーアキャット、そしてもちろんチンパンジーやゴリラの他の大型類人猿との膨大な事例との比較でたどっていく本。 結論として、ヒトがここまで脳と社会性を発達させ、結果として繁栄できたのは協力と集団のルールをつくる能力があったからで、見知らぬ相手を信頼するのは難しいが、気候変動など世界規模の問題への対処はヒトの協力と規範をつくる・変える能力によって成し遂げられる、といったことが書いてある。 全体的に(私が読んだことある)進化心理学で印象づけられがちな「子種撒くのがオスの本能」に対し「メスは出産も育児も生殖は負担だから、ヒトのオスはメスに協力するように進化してしてんだよね」みたいな感じなので読んでてストレスが少ない。 ただ、出アフリカ以降の古い時代の人類社会について、現代の狩猟採集民社会を類推に使ってるのと、フィンランドのキリスト教会の記録でもって「ヒトは一夫一妻制で夫以外の父親の子も少ない」としちゃうのはどうなのかな。 東洋を家族中心の集団主義、アメリカとヨーロッパを家族の外の人もコミュニティに入れる普遍主義としてしまうのも、トランプ支持者や欧州の移民排斥は無視ですか?と思っちゃう。 全体としては生物の協力と罰の行動の事例、真社会性のコロニーを多細胞生物の組織とみなして類推を展開していく考え方はおもしろく勉強になった。 『子育ての大誤解』https://booklog.jp/users/kuritahirahara/archives/1/4150505055 読んだ時の感じに近い。
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まず、読み始めて最初に思ったのは、日本語のタイトルがミスリードかもしれない、ということ。『「協力」の生命全史」』とあるから、社会学や人類学のような視点かと思うと、筆者の専門は進化論や行動学のような生物学寄り。(「生命全史」という箇所からそれを読み取らないといけなかったかも。) ...
まず、読み始めて最初に思ったのは、日本語のタイトルがミスリードかもしれない、ということ。『「協力」の生命全史」』とあるから、社会学や人類学のような視点かと思うと、筆者の専門は進化論や行動学のような生物学寄り。(「生命全史」という箇所からそれを読み取らないといけなかったかも。) とはいえ、第4部などで社会学や人類学の側面からの記述がされている。 筆者の書き口は学術的な色を強く感じた。研究の設計からそこから分かった関係、しかし、それは相関関係であって、因果関係ではない。など、安易に断定しない点でとても信頼できる。 その一方で、文章がどうしても冗長的になってしまうので、少しメッセージが受け止めにくいこともある。 総じて、「協力」ということを進化論的・遺伝学的に迫る良い本だった。これが気に入れば、ルトガー・ブレグマン氏の『Humankind 希望の歴史』がより多面的に「協力」を論じているように思うので、おすすめ。
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