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カテリーナの伝えたい5つのこと
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | ナイデル |
発売年月日 | 2023/05/01 |
JAN | 9784910985008 |
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紐解き始めて、一気に読了してしまった。物理的に分量が然程でもないということも在るのだが、内容に引き込まれて、頁を繰る手が停められなくなり、気付けば読了という様子になるのだ。 日本国内で活動しているウクライナ出身の女性の音楽家へのインタビューを纏めた1冊である。 「伝えたい5つのこ...
紐解き始めて、一気に読了してしまった。物理的に分量が然程でもないということも在るのだが、内容に引き込まれて、頁を繰る手が停められなくなり、気付けば読了という様子になるのだ。 日本国内で活動しているウクライナ出身の女性の音楽家へのインタビューを纏めた1冊である。 「伝えたい5つのこと」と題名に在るが、これはインタビュー内容を大きく5つの章に纏めているので、そういうようになったのであろう。各々の内容が興味深いので「5つ」には限定し悪い「伝えたい」が本書には在る。 カテリーナは「バンドゥーラ」というウクライナの伝統楽器を演奏して歌う音楽家で、日本国内各地を訪ねて演奏活動をしている。加えて、日本滞在も長いことから、ウクライナ語の翻訳や通訳も手掛けているということであるようだ。音楽と出逢い、演奏活動を志して、来日して活動してという経過や、近年のウクライナの情勢を巡る想い等が語られ、何か迫るような内容になっている本書である。 カテリーナはあの「チェルノブイリ原発事故」の少し前に、原発が立地していた地方の町で生まれている。一家は、直ぐに「避難」ということで他地域(キエフの辺りであるようだ)に移っている。随分色々と在った中で彼女は音楽の活動に出逢って、それに打ち込んで行くことになる。旧ソ連諸国の教育や文化活動の様子が示唆されている内容が本書には在る。やがて参加していたグループの国外公演のメンバーにも選ばれるようになり、少女時代に来日もしていて、日本に惹かれるものが在り、長じてから日本での活動を志したのだった。やがて日本で結婚して家庭も築いている。 ウクライナに関しては、「2022年2月のロシアによる侵攻の開始」という認識が広くされているのかもしれない。が、ウクライナではそれよりかなり以前、2014年のクリミアの問題というような頃から、ロシアとの摩擦で揺れているという認識であったという。そしてウクライナ全土で砲弾やロケット弾が飛び交い、親しい人々の安否が懸念されるようになって行ったのである。 惹かれて活動をするようになった遠い国に在るカテリーナは、色々と複雑な想いで事態の推移を見守ったようだ。方々からの依頼で通訳、翻訳関係の仕事を多く請けたという物理的な多忙とも相俟って、音楽の公演が激減した時期も在ったという。が、「故国が大変だからこそ、演奏や歌を介してそういう状況を日本の人達にも伝えるべきではないのか?」と、交流の在る人達から、激励を込めた意見が寄せられるようになり、カテリーナはまた公演にも勤しむようになって行ったのだという。 普通、親しい人と話して別れる場合、電話も含めて「またね!」という程度の言葉で別れる。「またね!」という語句をを発することに躊躇も疑問も無い。が、戦時という状況は、「またね!」の少し後に「“また”?それが在るのか?!」という妙な疑問が沸き起こる状態なのだという。こういう「普通の人の感覚」というのは重いと思う。考えさせられた。 少なくとも、「2022年2月のロシアによる侵攻の開始」という時期から、もう直ぐ1年半だ。1年半も異常な状態が続いている。こういう中であるからこそ、ウクライナにも日本にも所縁が在る方の「普通の人の感覚」での御話しは傾聴に値すると思う。御薦めしたい一冊だ。
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