空想の海

深緑野分(著者)

• 販売会社／発売会社: KADOKAWA
• 発売年月日: 2023/05/26
• JAN: 9784041130155

商品レビュー

2024/11/13

様々な人生を実際に体験するかのような作品集。
時には若葉の爽やかな香りが、時には鼻につく鉄臭い匂いが、乾いた土の香りや、文字通り何もない海の香りが直にするような錯覚を覚えました。
お話によっては読みづらさや好みが分かれるものもあるかもしれませんが、あっと思わせるような素敵な一文があちこちに散りばめられています。

2024/09/29

短編集オーブランドの少女が面白かったので、こちらを購入した
前回より終わりがぶつ切り感が否めない
しかし、つっかからずにスラスラ読めたので、軽く読めて良かった！言い回しや難しい熟語を羅列する小説よりは10倍は良い

2024/08/02

土塊が突如宇宙に昇っていく謎を解明する人々の連なりを描く「空に昇る」ほか、SFからホラー、青春など、多岐にわたる深緑ワールドを堪能できる短編集。

個人的に好きな作家である深緑さんの短編集です。
「プール」や「緑の子どもたち」など、みずみずしいお話から「耳に残るは」などのホラーまで、ジャンルの広さは深緑さんらしいなあ、と思います。
一方で「カドクラさん」は太平洋戦争から今の日本を皮肉って警鐘を鳴らす話だったり、「イースター・エッグに惑う春」はWW1のヨーロッパを描いていて、ちょっとした謎解きからふと強いきな臭さが漂い、最後の一文でトドメを刺すなど本領が発揮されていたりと、やはり戦争小説家としての深緑さんを思わせるお話が多いなあ、と思ったりしました。
それと、他のレビューでも言及されますが、「本泥棒を呪う者は」と「御倉館に収蔵された12のマイクロノベル」は別著「この本を盗む者は」のスピンオフとなっています。「12のマイクロノベル」は企画ものですが、これを収録したというのも面白いと思いました。改めて「この本を盗む者は」を読み返したくなります。