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いわき発ボランティア・ネットワーク ソーシャル・キャピタルの視点から
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いわき発ボランティア・ネットワーク ソーシャル・キャピタルの視点から

子島進(著者), 中村靖治(編者)

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いわき発ボランティア・ネットワーク ソーシャル・キャピタルの視点から

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 ミネルヴァ書房
発売年月日 2023/05/02
JAN 9784623094677

いわき発ボランティア・ネットワーク

¥825

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2023/05/30

東日本大震災を出発点とする福島県いわき市でのボランティア活動を紹介・分析した書籍。東日本大震災の被害体験から始まる。被害体験記としても価値がある。風化させないことは大事である。 東日本大震災は地震に津波に原発事故と人類が経験したことのない未曽有の複合災害であった。東日本大震災も...

東日本大震災を出発点とする福島県いわき市でのボランティア活動を紹介・分析した書籍。東日本大震災の被害体験から始まる。被害体験記としても価値がある。風化させないことは大事である。 東日本大震災は地震に津波に原発事故と人類が経験したことのない未曽有の複合災害であった。東日本大震災も10年前の出来事になった。ボランティアをテーマとする書籍であるが、広汎なボランティア・ネットワークが求められた災害そのものについて詳しく説明する必要があるだろう。 行政の硬直性は問題である。兵庫県の事業者からロールカーペットが寄贈された。避難所にロールカーペットが敷かれていれば寒さを緩和できるためである。ローカルカーペットは、いわき市の救援物資届け出先に送られたが、市は活用せず、NPOが自分達で配布することにした(86頁)。 行政が効率的な業務遂行を追求しようとすることは誤りではないが、自分達にとっての効率を追求し、サービスを受ける側には非効率極まりない結果になることが往々にしてある。行政では目標管理、成果主義、PDCAなど民間では当たり前になっている手法を導入しようとしている。民間感覚を導入することは公務員の特殊性に逃げることよりも上等であるが、顧客に価値を提供するという民間の根本を置き忘れているならば有害である。それならば成果主義が単なる点数稼ぎに堕ちてしまう。 行政の助成金はNPO活動を苦しめることもある。オリーブプロジェクトのオリーブ販売会社は倒産した。人材育成として15名以上の雇用を継続することなどの助成金の要件がネックになった。本書はNPOと営利事業の性格の相違という点も指摘するが、それよりも「「身の丈」にあった経営をしていれば、倒産することは無かったかもしれない」(136頁)との指摘が響く。 行政は助成金を出すからには人を雇ってもらって地域の雇用にも貢献して欲しいと考えそうである。先に一定数の人を雇うというコストが固定されるならば、柔軟なビジネスにならない。助成金の仕組みがスモールビジネスの起業を抑圧することになってしまう。 本書で取り上げられたオリーブプロジェクトなどを見ると震災前から土台があった。オリーブプロジェクトは東京都中野区の市民からも支援された。ここは人と人との繋がりが出発点である(126頁)。 最初からオリーブの普及という目的で人が集まるというプロジェクトベースではない。これは何をやるかではなく、誰と一緒にやるかがモチベーションになるということになりかねない。そこが良くも悪くもボランティア・ネットワークの特徴になるだろう。

Posted by ブクログ

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