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滝口悠生(著者)

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 文藝春秋
発売年月日 2023/02/07
JAN 9784163916569

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商品レビュー

3.9

19件のお客様レビュー

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2024/12/28

この著者、読みはじめ慣れないうちは、一瞬、なんか読みにくい?くどい?とか思っちゃうんだけど、慣れるとクセになるというか、ああこの人こういう文章だった好き、と思うっていう。今回もそうだった。口に出さず心のなかで思っていること、うつろっていくさまざまな細かい思いがそのまま書き連ねられ...

この著者、読みはじめ慣れないうちは、一瞬、なんか読みにくい?くどい?とか思っちゃうんだけど、慣れるとクセになるというか、ああこの人こういう文章だった好き、と思うっていう。今回もそうだった。口に出さず心のなかで思っていること、うつろっていくさまざまな細かい思いがそのまま書き連ねられるような感じが好き。 ストーリーは、友人のロンドンでの結婚式に出席した30代の夫婦が、その帰りにイタリアに住む妻の友人を訪ねるって話と、同じ結婚式に出席した友人のひとり(窓目くん)の恋愛話。どっちもおもしろかったけど、この「窓目くんの手記1~5」がよかった。手記と言いつつ、手記じゃないみたいな部分があったり、延々と料理の実況中継みたいになったりしてちょっと不思議な読みごこちもあるんだけど。彼が恋するシルヴィーあてのメールの、日本語で考えて英語で書いたメールをまた日本語に訳したみたいな文章がよかった。ロマコメみたいにキュートな感じがあって、まさに窓目くんこそ「ラブリー」だ。期待や願望や約束は絶対に叶えられないと思っている、でも絶望しているわけではなく、あきらめているわけでもなく、っていう窓目くんいいなと思った。

Posted by ブクログ

2024/08/25

大好きな滝口悠生さんの小説。お馴染みの登場人物たち。これまで脇の方にいたジョナサン周囲が今回クローズアップ(ジョナサン目線の話はないけれど)。いつまでも読んでいたい。

Posted by ブクログ

2024/03/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

『長い一日』と同じように独特な雰囲気のある小説だ。窓目くんのキャラも不思議な感じだが、前半の方の海外にいる友人を訪ねる話もけっこうおもしろかった。茄子の入った味噌汁の描写でうまい以外に「安堵に似た喜び」を表していることなど、とてもきれいな風景だと思えた。後半の窓目くんの手記については、共感と疑問が混在しつつ、大爆音で流れ続ける徳永英明「レイニーブルー」のシーンのインパクトがすごかった。リピートされ続ける「レイニーブルー」を聞く感情はたしかにごっちゃ混ぜになりそう。 ==== 由里さんがお椀に入った味噌汁と取り皿を持ってきてくれた。木の箸を少し懐かしいような気持ちで手にして味噌汁に口をつけると、おいしくてまた腰が砕けるような感覚になり、夫婦揃ってため息のようなものを漏らした。入っていたのは茄子で、お味噌汁を身に含んで柔らかくなっていて、そのさまがいまの自分たちととても似ていて、うまいとかそういうこととは別の、安堵に似たよろこびがあった。(pp.46-47) 眼にする木や鳥の名前を知らないのは、たいていの場合、一度も聞いたことがないから知らないのではなくて、何度聞いても覚えていないということだと思う。それがそれである特徴と、その名前とが紐付かず、名指すことができないまま、やがて時間が経って、外国語の単語を忘れるようにその名前を忘れてしまう。名前は忘れ、覚えていられない。文法は名前じゃないから、なんとなく憶えていられる。木や花や鳥の名前は、子どもの頃に覚えないと、なかなか覚えられない気がする、と夫は景色を見続けながら考え続ける。(p.69) 記憶というのは、残酷で優しいシステムだ。膨大な時間と空間に存在していた浜ちゃんを、ひとつの場面に納めて、意識に浮かび上がらせる。虚構と現実というのは、だから対立するものじゃなく、ひとが自分の人生や運命について語ろうとするとき、共同的に働いて、現実よりも現実的な場面をつくり出し、提示してくる。(p.198) 手記とは、自らの経験を書き記すものである。窓目くんもシルヴィと出会い、関係を紡いできたその経験を書き記してきた。書き記すうちに、シルヴィと出会う以前の窓目くんの恋愛遍歴にまでその記述が及んだこともご承知の通りだ。経験を書き記すということはそういうことなのだ。ある出来事について書き記そうとすれば、そこに至るまでの時間が流れ込んでくる。手記のなかの現在はどこまでも仮構的なものである。手記を書く者は、すでに過ぎ去った時間、過ぎ去った経験についてしか書くことができないのだから、つまりその内容はことの顛末とその経緯である。もし実況中継みたいな現在と同時に進行する手記が存在するならば、そこには以前の出来事が流れ込む必要も、そんな余地もない。そしてそうではないからこそ、わざわざ手記を書く意味があるのだと思う。顛末の経緯を記せば標すほどに、ある時間は別の時間と結びつき、別の出来事がことの顛末として本線に連絡する。そうやって件の出来事が豊かに彩られ、厚みを増していく。それっが手記という形式の意味ではないだろうか。本件でいえば、シルヴィと窓目くんのロマンスは標すほどロマンティックになっていく。傍からどう見えるかはともかく、手記を記す窓目くんにとっては、手記を記すほどにロマンティックが高まり、窓目くんは昂ぶる。(p.233) 窓目くんとジョナサンがふたりでキッチンに立ち、料理をつくった。カトレット、ポルサンボル、カードチリ、マサラオムレツ、鯛のカレー、チキンカレー、バスマティライス、そしてイディアッパム。できあがった料理を並べたはしからつまみつつ酒を飲み、次の料理にとりかかる。部屋にはスピーカーにWi-Fi接続したけり子のスマホでランダム再生される陽気な曲が流れている。ダンサブルなリズムで灰トーンの男性ボーカルの曲がはじまった。やがてビートを刻みはじめると、そのすべてに手拍子が載っていて、聴いているだけで体が踊り出す感じがする。BTSの「Dynamite」だ。あの頃窓目くんは名前すらよく知らなかったが、シルヴィの好きだったこの韓国のアイドルグループは、今年この曲を世界的にヒットさせた。(p.260)

Posted by ブクログ