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ビルマに見た夢 双葉文庫
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ビルマに見た夢 双葉文庫

古処誠二(著者)

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ビルマに見た夢 双葉文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 双葉社
発売年月日 2023/02/15
JAN 9784575526394

ビルマに見た夢

¥385

商品レビュー

3.7

4件のお客様レビュー

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2023/08/02

【P179】 「辛抱を美徳と考え、休むことを罪悪のように考え、そうして体を壊すまで働いてしまう。これほど愚かしいことはありません」

Posted by ブクログ

2023/05/14

自分に戦闘機の精霊が憑いているという老女がいる。彼女はその精霊が空襲の被害が出る場所を教えてくれると語る。ペストの予防接種を頑なに拒む部落の長老がいる。彼は日本軍がペスト予防として捕えたネズミを逃し、集落の者たちが予防接種を受けることを頑なに拒む。 第二次世界大戦下のビルマ北部。...

自分に戦闘機の精霊が憑いているという老女がいる。彼女はその精霊が空襲の被害が出る場所を教えてくれると語る。ペストの予防接種を頑なに拒む部落の長老がいる。彼は日本軍がペスト予防として捕えたネズミを逃し、集落の者たちが予防接種を受けることを頑なに拒む。 第二次世界大戦下のビルマ北部。山の部落から集めた労務者たちをまとめる西隈軍曹は、ビルマの人々を疑いつつ信じ、信じる努力をしつつ疑いながらも己の軍務をこなす日々を送る。案内役の少年モンネイは達者な日本語を話すが、9歳にしてその口調は新品少尉そのもので周囲の笑みを誘ってやまない。しかしモンネイに日本語を教えた少尉・中津島が彼に与えた思想が明らかになり――。 時々英国軍による空襲がある以外は、いたってのどかな山の部落が舞台。西隈が子どもたちに日本式の凧の作り方を教える光景すら見られる日々。しかし短編形式で物語が進むごとに鮮明さを帯び像を結ぶのは日本軍の敗色と、少年モンネイに日本語を教えて他の戦地へと赴いて行った少尉・中津島がモンネイに託した願い、ビルマに見た夢だ。 これまで古処さんの著作は何作か読んでいるが、どれもみな「もうここにいない」「決して作中に登場してこない」人物の、もう誰にもわからず、決して明らかにされず、確かめることもできない思いや願い、人物像までが、未だ戦場に身を置く兵士たちの行動や彼らの気づきによってくっきりと浮かび上がってくるような構成だ。 淡々とした筆致で綴られるそれを淡々と読んでいくと、ふいにはっきりとした顔貌と意思を持って、ビルマの原風景の中に佇む帝国陸軍軍人の姿を見出す瞬間がある。 この作品にも、そんないつもの古処マジックが施されている。遠い異郷の地まで来て苦しむ日本軍兵士たちが感じたビルマという国への羨望。託す夢。とてもよく似ていて、けれど親和するようでできなかった二つの民族の心の隔たりを描きだす短編集。

Posted by ブクログ

2023/03/16

古処視点というか、古処節というか。間違いなくこの人にしか書けない作品です。 第二次世界大戦下の日本軍の話なのに、一般に想像されがちな戦争のショッキングな部分や悲劇の部分はそぎ取り、徹底して冷徹に、日本軍兵士と海外の現地民との日常の交流とトラブルを描く。 感情の機微や登場人物の心...

古処視点というか、古処節というか。間違いなくこの人にしか書けない作品です。 第二次世界大戦下の日本軍の話なのに、一般に想像されがちな戦争のショッキングな部分や悲劇の部分はそぎ取り、徹底して冷徹に、日本軍兵士と海外の現地民との日常の交流とトラブルを描く。 感情の機微や登場人物の心情から一定の距離を取る筆勢は、もはや職人感すら漂っているように思います。何も語らず、ただ一心に自分の作品に向かう職人のような。 作品の舞台となるのは第二次世界大戦下のビルマ。 現地の労務者をまとめる西隈を語り手に、ビルマの日々が描かれる連作短編集となっています。 戦時下、日本軍兵士、軍役、さらにはビルマの自然、原住民たちの独特の文化や信仰、慣習といった、なじみの薄い設定。それを抑制された語り口、無駄や解説をできる限りそぎ落としたような文体、一定の距離を取った心理描写で描かれている印象。 個人的には余人の理解を排し、エンタメとも完全に背を向けた文学作品だと思いました。色々そぎ落とされているためか、文章自体は読みやすいのですが、その文章が徹底して無味無臭の感じがするので、なんだか印象に残りにくい面もあります。 戦時下を舞台にして、ここまで感情の色を消せるのがすごいと感じるし、そこにまた著者なりの意味づけがされているのかもしれないとも思います。 なので、各短編、面白いとか、共感したとかはなかなか言えないのだけど、いろいろなごたごたがあっての最終話の表題作「ビルマに見た夢」のやりきれなさは印象的。 ここも他の短編同様、あまり心情は描かれないけど、戦争の激化の予感と、兵士たちの作戦指揮の変化を通して、感情を直接描かず、戦争の無情さを伝えるのが印象に残りました。まあ、この理解もどこまで正しいのか分からないのだけど。 徹底して戦争文学という細い道の、さらに誰も通ったことのないような未開の道を行く古処さん。 こう言ってはあれだけど、万人受けしないだろうなあ、と思いつつ、新刊がでるとその独自の作風が毎回気になる作家さんです。

Posted by ブクログ

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