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元の黙阿弥
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | エイチアンドアイ |
発売年月日 | 2023/01/17 |
JAN | 9784908110122 |
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商品レビュー
3.5
4件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
主人公は2代目河竹新七。 ここでも田之助(3代目澤村田之助)はキュート。 皆川博子の『花園』でも、新七に新作をおねだりする場面がありましたが、本作でもやってます。
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- ネタバレ
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読み終わって、改めて上手いなぁと思ってしまう。主人公が「河竹黙阿弥(新七)」なので、当然幕末から明治半ばまでの、歌舞伎役者、座元とのやり取り、しがらみ、そしてネタ元などが話の中心。登場する歌舞伎役者達がイメージ(私だけのイメージかも知れないが)通りなので、ちょっと安心。守田勘弥とのやり取り、福地桜痴との確執なども、なるほどこんな感じだったのかなと、勿論フィクションだから実際は全然違うだろけど、ついそう思ってしまい面白かった。また所々に出てくる歌舞伎の科白も面白かった。 そして何より、その時代の江戸、東京の世情が、その時々に上演される歌舞伎を通して感じられた。「お上の御意向」に反発を覚えながらも仕方なく従って、そのように仕組まれた芝居は、どんなに名優を揃えても客はソッポを向き「不入り」となる。福地桜痴や9代目團十郎が上から目線で、西洋風の新しい歌舞伎を世間に認めさせようとしても、それが「独りよがり」の芝居なら世間の痛烈なる「しっぺ返し」を食らってしまう。また、両脚を失った田之助が上がる舞台にかかる掛け声「長谷川!」に、まともに演じることの出来ない田之助を揶揄する声だけでなく、愛する「俺達の田之助」を助けてくれる道具方「長谷川勘兵衛」の見事さに声を掛けたのではないだろうか。 本当ここに、庶民の誰某がどうとかいう展開はないにもかかわらず、何か庶民の息吹きを感じてしまう、そんな描き方がされている面白い小説だと思う。本当、上手いなぁと思う。
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近松半二、鶴屋南北に続く歌舞伎界を牽引した大歌舞伎作家の生涯。彼の作品は、セリフの七五調がリズミカルで美しく、小悪党を煌びやかにダークヒーローに仕立て上げる「白浪もの」が有名。全体に叙事詩のように、彼と時代を共にした数々の歌舞伎役者たちが列伝のように登場し、また、彼が生き抜いた時...
近松半二、鶴屋南北に続く歌舞伎界を牽引した大歌舞伎作家の生涯。彼の作品は、セリフの七五調がリズミカルで美しく、小悪党を煌びやかにダークヒーローに仕立て上げる「白浪もの」が有名。全体に叙事詩のように、彼と時代を共にした数々の歌舞伎役者たちが列伝のように登場し、また、彼が生き抜いた時代背景が描かれます。そのため、時代に翻弄される歌舞伎の歩みがわかりました。でも、肝心の黙阿弥が躍動しません。むしろ、田之助の人生が壮絶で、取り憑かれたように歌舞伎に打ち込む役者魂が鮮烈でした。であるなら、黙阿弥と田之助のタッグにフォーカスして、歌舞伎の一時代を築いたドラマを描く道もあったように思いました。
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