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ネイティヴ・サン アメリカの息子 新潮文庫
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ネイティヴ・サン アメリカの息子 新潮文庫

リチャード・ライト(著者), 上岡伸雄(訳者)

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ネイティヴ・サン アメリカの息子 新潮文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 新潮社
発売年月日 2022/12/23
JAN 9784102402610

ネイティヴ・サン

¥550

商品レビュー

4.3

4件のお客様レビュー

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2024/09/06

差別をしないということは、悪口を言わない・暴力市内・見下さないということだけではない。人種が違うだけで、同情したり、自分の人種以上に優しく接したり、申し訳ない気持ちになることもまた、差別の一種だと思っている。 本書『ネイティブ・サン』では黒人の主人公ビッガーに対して、「仲良くな...

差別をしないということは、悪口を言わない・暴力市内・見下さないということだけではない。人種が違うだけで、同情したり、自分の人種以上に優しく接したり、申し訳ない気持ちになることもまた、差別の一種だと思っている。 本書『ネイティブ・サン』では黒人の主人公ビッガーに対して、「仲良くなりたい」というスタンスで歩み寄ってきた2人の人物、ジャンとメアリーがいた。 ジャンは白人がこれまで黒人にやってきた歴史を申し訳ないと言い、黒人であるビッガーを特別扱いしようとしていた。日本人の我々にも、たくさん他国に迷惑をかけた歴史があるが、それは現在の我々のやったことではない。これに対して、私は申し訳なく思ったり、こちらがその罪滅ぼしをする必要はないと思っている。我々が唯一やらねばならないのは、「二度と同じ歴史を繰り返さないこと」だけである。そのために歴史を学ぶ努力も怠らないことである。 ジャンとメアリーという2人の白人たちの振る舞いは、間違ってはいないが正しくもなかったということだ。「差別してもダメ、優しくしようとしてもダメならどうすればいいんだ!」という文句も言いたくなるが、それほどこの人種問題が複雑で解決が難しいことを示している。アメリカ文学が面白い理由が詰まっている。 周囲の連中は、白人女性が殺された=黒人によるレイプと勝手に決めていたが、ビッガーの目線でこれまで物語を見てきた我々には、「黒人はそこまで単純な生き物ではないぞ」という嫌悪感が湧き上がってくる。このような、ビッガーを擁護したい気持ちも最初はあったのだが、ビッガーが次々と罪を重ねていくにつれ、流石に擁護する気持ちも失せてくる。そしていつしかビッガーの視点に立つというより、「白人と黒人」というもっと大きなテーマが隠れていることに気づき、頭を悩ませることになる。 著者であるWright氏の潜在的な感覚を反映した主張は、黒人のビッガーだけでなく、白人の共産主義者ジャンや白人弁護士のマックスによっても語られているように感じた。ビッガーのセリフと同じかそれ以上に白人のマックスやジャンのセリフの方が多いのだ。 Wright氏の自伝小説である『Black Boy』からもわかるように、彼はクリスチャンではないものの、キリスト教に深い関心を抱いており、南部から北部のシカゴに移ってからは共産主義にも触れている。彼の興味がこの『ネイティヴ・サン』にも現れているのを確認できたのは個人的に興奮できるポイントだった。

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2024/03/16

練りに練られたプロットと設定がすごい。白人黒人の同年代の女性が1人ずつ殺され、白人女性の死のみがクローズアップされるところや、(息絶えるまでの長さという観点で見たら黒人女性への殺人の方が残忍だ)気持ちを落ち着かせるための液体が真っ白なホットミルクで、黒人主人公の肌に溢れるシーンま...

練りに練られたプロットと設定がすごい。白人黒人の同年代の女性が1人ずつ殺され、白人女性の死のみがクローズアップされるところや、(息絶えるまでの長さという観点で見たら黒人女性への殺人の方が残忍だ)気持ちを落ち着かせるための液体が真っ白なホットミルクで、黒人主人公の肌に溢れるシーンまで、圧倒的な描写力に引き込まれるようにしてキッチンで立ったまま読み切る。 特に後半の弁護人マックスの長い長い弁論は素晴らしくこれを書き切るリチャードライトの人生が気になる。 「個性と安全、つまり個性は神聖であり、その個人を支えるものも同様に神聖だという信念」 ↑印象深いね。 人と話したいな。読書会向きだと思う。

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2023/06/13

以前、気になったことがあって、読まねばならぬと自分なりにリストアップしていた。 今回、手に取ったのは、検閲で削除された数か所が原作のまま、翻訳されての発刊。 その個所を気になって読むと、やはり・・というか、性的描写の生々しさを感じさせ、それに人種的なニュアンスが影響している個所...

以前、気になったことがあって、読まねばならぬと自分なりにリストアップしていた。 今回、手に取ったのは、検閲で削除された数か所が原作のまま、翻訳されての発刊。 その個所を気になって読むと、やはり・・というか、性的描写の生々しさを感じさせ、それに人種的なニュアンスが影響している個所であった。 ガーディアン誌が選ぶ「読んでおくべき本」にリストアップされている。 そもそも、この選書に従う気持ちがないあまのじゃくの私・・一層、読んだ上でのやりきれない感情が一層ネガティブのベクトルに傾いた。 構成は心理的描写(白人、アカ、黒人それぞれにおいて)がこれでもかというほどに、生々しく綴られ、幾度、読むのを投げ出そうと感じたか。加えて、後半3割強の法廷劇。 これほどに弁護士の語りが延々と、津から強く語られる裁判は現実にありうるのだろうかとすら考えてしまう。 読ませるといえばそれまでだが、度を越えていないとも言えず、息切れしながら、少しずつ読み進めていく。 南北戦争から数えると相当な歴史的分断といえるが、民族としての対立というのは少し違う気がする。 アフリカから綿花労働の奴隷 働き手として連れてきた黒人がルーツの一つであり、加えて、中南米からの移住も含めると民族的対立というのは言い方がふさわしくない気がするが。 一方的に、新大陸に最初に渡ってきた白人たちが都合のいい解釈の元に、黒人を「完全に非人間の存在」と据え置いた都合のいい社会的位置関係としか思えない。 日本人がどうこう言えるほど甘くない深刻な問題はこの先も簡単に拭い去れない大きな問題といえる。 ビッガーは無知で粗暴な人間として描かれ、それだけに、罪を現在と突き詰めることが問題という法廷劇・・これまた読むのが苦しいほど理解できない部分が多かった。 そもそも炉で一人の白人女性を骨まで焼き切れるのか、圧倒されんばかりににおいが立ち込めたと思うのに・・簡単に発見されなかったのが最後まで不可思議な展開とあいまった。

Posted by ブクログ

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