まぼろしの城 新潮文庫

池波正太郎(著者)

• 販売会社／発売会社: 新潮社
• 発売年月日: 2022/12/23
• JAN: 9784101156927

商品レビュー

2024/09/08

真田昌幸が治める前の沼田城の覇権争いの物語。
沼田万鬼斎、金子新左衛門の謀略が中心だが上杉、武田、真田昌幸ら武将とは器が違うな、と思った（もちろん小説の中の設定なので本来の人間像は違うかもしれない）
スケールがこじんまりとしていて2つ星にとどめた。

2024/06/10

真田昌幸が沼田城を治める以前の土地の支配者・沼田万鬼斎一族の盛衰を描いた群像劇。
武士は主人と家来との間に親愛と信頼があり、その絆が何よりも重要視されていた時代から、その気風は廃れ、戦は下克上が当たり前の凄惨で非情なものへと変化していく戦国時代到来を描いている。和田十兵衛の台詞がそれを上手く表している。「武士は城を取り、城を守るのがいのちでござります」「いまの世の戦は、だまし合い、裏切り合い、主従もなく親子もなく、血なまぐさいばかりのものとなり果てました」
武士の位を捨て、絵師・住吉雪峰となった十兵衛、我が我がという人物ばかりの中で、魅力的に描かれた人物だったが、その後どうなったのだろうか。

2023/10/10

織田信長がいよいよ天下統一に手をかけ始める前の戦国時代上野の国（群馬県）の地で沼田の城を舞台に地の武将たちが策略をめぐらしその地位を城主に成ろうとするが、時代の流れに飲まれた娘と父、そして城主が上杉、武田のはざまで押し流され滅亡へと流れていく様を克明に時代小説として書き上げてある。