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ルポ アメリカの核戦力 「核なき世界」はなぜ実現しないのか 岩波新書1952
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
発売年月日 | 2022/12/22 |
JAN | 9784004319528 |
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ルポ アメリカの核戦力
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商品レビュー
3.7
3件のお客様レビュー
アメリカでは核兵器がどのように運用され、今後どのように管理しようとしているのか、核兵器を運用する現場への取材をまとめた1冊。進まない核軍縮と核兵器運用の問題点を新書サイズでコンパクトにまとめてあります。 アメリカの核は、ICBM(大陸間弾道弾)、戦略爆撃機、戦略ミサイル潜水艦の3...
アメリカでは核兵器がどのように運用され、今後どのように管理しようとしているのか、核兵器を運用する現場への取材をまとめた1冊。進まない核軍縮と核兵器運用の問題点を新書サイズでコンパクトにまとめてあります。 アメリカの核は、ICBM(大陸間弾道弾)、戦略爆撃機、戦略ミサイル潜水艦の3本柱で構成されており、本書前半はそれぞれの現場への取材で構成されています。 運用の問題点は「老巧化」です。核兵器と言うと最新技術の塊のような印象を受けますが、本書によると実情はまったく異なります。核兵器の多くが米ソ冷戦時代に整備されたものが大半であるため、実践配備から既に40年以上が経過しています。戦略爆撃機の主力機B-52は今後も運用継続が決まっており、初飛行から100年(!)もの長期間運用することになります。また戦略原潜のオハイオ級原潜も実践配備は1980年代なので、既に艦齢が40年を超えています。ICBMの主力であるミニットマン3ミサイルも実践配備は1970年代です。 後半ではアメリカ国内で、核兵器製造に伴い被爆した住民への取材が掲載されています。「原爆を使ったから戦争が早期終結した」と未だに原爆使用をポジティブにとらえる世論が根強く残るアメリカで、核兵器製造に携わったり、製造設備周辺で被爆した人たちの声は、相当抑圧されている様子が紹介されています。核兵器の製造、運用に関わり相当多くの利権(基地が立地する地元の雇用や、地元選出の政治家など)も絡んでおり、「核兵器のない世界」の実現の前に立ちはだかる壁の大きさが伝わって来ます。
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「核による抑止力」ってどこまで信用できるんだろうか。 そのために膨大な予算を割き、さまざまな健康被害をおこしてまで。人間の愚かさには歯止めがかからない。 核廃絶は理想論にしか過ぎないけど、理想を求めるのが理性的な人間の行為として尊ばれる。現実には生まれてしまったものは無かったこと...
「核による抑止力」ってどこまで信用できるんだろうか。 そのために膨大な予算を割き、さまざまな健康被害をおこしてまで。人間の愚かさには歯止めがかからない。 核廃絶は理想論にしか過ぎないけど、理想を求めるのが理性的な人間の行為として尊ばれる。現実には生まれてしまったものは無かったことにはできない。 事実として、核保有国が侵略されたり攻撃された例はない。さらに言えば、ウクライナにも核弾頭はあった。それを撤去して今日に至っている。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
アメリカの核兵器の「今」を、人・街レベルの現場である「下流」から、政策決定を行う「上流」まで丹念に取材しつつ、新書ならではのコンパクトさでまとめた一冊。 冷戦期からの製造でどんどん古くなっており、人が扱う以上は誤りが起こる懸念(いや、ヒヤリハット案件は日本付近も含めて起こってきた)も内包し続けている核兵器。 一方で、核軍縮の国際交渉は遅々として進まず、「核なき世界」をうたったオバマ政権すら、「数は減らしながら質を更新する」という手法をとった上で、軍縮の理念の本質に踏み込むことはなかった。その背景には、核兵器をめぐる政治経済的利権(軍に依存する地域経済も含む)、そして「同盟国」の懸念も横たわる。 同盟国には日本も含むのであり、核被爆国でありながら核を否定する行動を取らずに来た日本の政治のあり方が、アメリカの政策決定に(微小だったとしても)影響している構造が本書から見てとれた。 そして、中国を意識して軍縮交渉に身が入らずにきたアメリカのこの数年の動きが、ウクライナをめぐり核の脅しをかけるロシアという最悪な現状とも連動しているように思う。
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