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加賀乙彦長篇小説全集(十) 永遠の都 1 岐路
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加賀乙彦長篇小説全集(十) 永遠の都 1 岐路

加賀乙彦(著者)

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加賀乙彦長篇小説全集(十) 永遠の都 1 岐路

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 作品社
発売年月日 2022/12/06
JAN 9784861829109

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2024/03/11

日本の満州事変や5.15、2.26事件を経て太平洋戦争に向かう破滅への「岐路」を底流にして、外科病院院長家族と縁戚の学生・軍人や政治家など一族の繁栄が天井を打つ「岐路」が重奏する。この長編には一貫して岐路を示す暗雲が垂れ込め、アクシデントの度に破局の前兆を感じ畏れを催す緊張感が漂...

日本の満州事変や5.15、2.26事件を経て太平洋戦争に向かう破滅への「岐路」を底流にして、外科病院院長家族と縁戚の学生・軍人や政治家など一族の繁栄が天井を打つ「岐路」が重奏する。この長編には一貫して岐路を示す暗雲が垂れ込め、アクシデントの度に破局の前兆を感じ畏れを催す緊張感が漂う。栄光が極まって暗転する昭和初期の世相や上流層の内実を赤裸々に描写する絵巻物のような小説である。 元海軍軍医時田利平が妻菊江と一緒に築いた外科病院の発展を舞台にして、子供一男二女それぞれの成長と恋愛や結婚生活の日常を描いて、当時の上流階級の家族が戦時体制に巻き込まれていく過程を克明に綴る。主に長女時枝の目から描写され、作者の医師としての目線も院長利平を通して存分に発揮される。彼女は三人の男の子を持ちながらも義理の甥と密通し四番目の女の子を産む。満州進出を領導した亡き大物政治家の長男で典型的な宮仕え型の夫への不満が彼女を甥である若々しい文学青年の一高生に走らせる。恋愛の描写や生まれる子の血液型に悩み恐怖する場面はリアルである。 次女も甥の士官候補生と想いを交錯させるが、好きになれない副院長と結婚し、母の死後病院事務長の仕事を引き継ぐ。やがてすべてを投げ出して病院を出る。 利平は妻との遺言の約束を破り、子供たちの反対も押し切って元看護婦の妾を妻にして家庭に入れる。彼女の機を捉えた狡猾で執拗な所作には目を見張る。 上昇志向の女の強かさがハイソサエティの扉をこじ開ける。結局どんな高級人種も元を辿ればお里は一緒なのだ。 この小説は主人公の若い頃の漁師経験や海軍入隊時の苦労談とか次女の帝大セッツルメント仲間の貧乏育ちなど庶民の苦労話が僅かに語られるだけで、ほとんどが上流階級の内輪の顛末に終始する。高踏文学の匂いが強い異次元の物語に感じてしまう。これは自分の貧乏育ちの故であろう。 主人公の研究熱心で何でも工夫する活力溢れる生き方が老化と共に保守的になり肝心なことは妥協しどこか頑固ですぐ感情的になる姿は身につまされる。 加賀乙彦の作品は深く人間を洞察し、誠実に格調高い文体で表現するのが何とも言えない魅力である。

Posted by ブクログ

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