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ラインマーカーズ THE BEST OF HOMURA HIROSHI 小学館文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 小学館 |
発売年月日 | 2022/11/04 |
JAN | 9784094071962 |
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商品レビュー
4.3
7件のお客様レビュー
冷蔵庫が息づく夜に お互いの本のページが めくられる音 声が出ないおまえのために ミニチュアの救急車が運ぶ浅田あめ こんな2人でありたい! 盛りだくさんのベスト歌集
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この歌たちが詠まれて時代を少し過ぎた今でもぶっとんでいると思えます。 連作で読むと凄い!と思うところもありました。 ので、順番通りに並べます。 「ドライ ドライ アイス」 <月の夜の暴走族は蜜蜂のダンスを真似て埋立地まで> <チューニング混じるラジオが助手席で眠るおまえにみせ...
この歌たちが詠まれて時代を少し過ぎた今でもぶっとんでいると思えます。 連作で読むと凄い!と思うところもありました。 ので、順番通りに並べます。 「ドライ ドライ アイス」 <月の夜の暴走族は蜜蜂のダンスを真似て埋立地まで> <チューニング混じるラジオが助手席で眠るおまえにみせる波の夢> <風の交叉点すれ違うとき心臓に全治二秒の手傷を負えり> ーーーーーー <スニーカーの踵つぶして履く技を創り給いしイエス・キリスト> <星座さえ違う昔に馬小屋で生まれたこどもを信じるなんて> <お遊戯がおぼえられない君のため瞬くだけでいい星の役> <お遊戯がおぼえられない僕のため嘶くだけでいい馬の役> 「蛸足配線」 <レインコートをボートに敷けば降りそそぐ星座同士の戦のひかり> <逢いたいのいますぐ来てという声をかこむ熱帯の果実を想う> <描きかけのゼブラゾーンに立ち止り笑顔のような表情をする> ーーーーーー <くだもの屋のあかりのなかに呆然と見開かれたる瞳を想う> <眼鏡猿鼠猿蜘蛛猿手長猿月の設計図を盗み出せ> <きがくるうまえにからだをつかってね かよっていたよあてねふらんせ> ーーーーーー <約束はしたけれどたぶん守れない ジャングルジムに降る春の雪> <うちの猫、ドックフードが好きなの。と春の鏡のなかの美容師> <硝子の外ははるのかぜ 恋人が怒った顔でわたす知恵の輪> 「手紙魔まみ」 は新感覚のSF童話のような感じがしました。 短歌でこんなこともできるのですね。 連作ならではと思いました。 <金髪のおまえの辞書の「真実」と「チーズフォンデュ」のラインマーカー> <世界一汚い爪の持ち主はそれはあたし、と林檎をさくり> <人と馬のくっついたもの指(?)さしたストローの雫が散る、夜は> ーーーーーー <エスカレーターの手摺りを雑巾で押さえ続ける瞳を閉じて> <まみとゆゆはかつてUFOキャッチャーの景品だった 眩しかったの> <「5種類のドレッシングから選べます」「選べないから混ぜてください」> ーーーーーー <NASAはどっちですか、問えば警官のサングラスに映る俺の笑顔は> <「みずたまりで蟻が溺れています」って高速道路の電光掲示> <ハイウェイを歩む少女は出来立てのフルーツパフェをあたまに乗せて> ーーーーーー <高速道路のみずたまりに口づけてきみの寝顔を想う八月> <きらきらと海のひかりを夢見つつ高速道路に散らばった脳> ーーーーーー <赤、橙、黄、緑、青、藍、紫、きらきらとラインマーカーまみれの聖書> 瀬戸夏子さんの解説より引用します (前略)どれだけきらびやかな歌を作ろうとも、塚本の歌には戦争を経験した苦しみが転写されているが、穂村のピストルはおもちゃのピストルである。けれど穂村は嘘をつけなかった。本物のピストルを持ったことがない人間は本物のピストルを持ったことがあるような歌をつくれない、いや、つくってはならないという倫理がそこにあったのではないだろうか。苺味の血糊できれいな白いシャツを汚しながら笑うような歌こそ戦後世代の穂村がつくらなければならなかった歌なのではないだろうか。その遊戯が拡大し、明るい「シンジケート」のメンバーおもちゃのピストルを持った子どもたちが増えつづけ、いつか同士打ちに手を染めなければならなくなるとしても。生殖を選ばなかったイエスさえ、書を通じて「子ども」を「間違って作ってしまった」のだ。 <イエスは三十四にて果てにき乾葡萄噛みつつ苦くおもふとその年歯> 塚本邦雄 <スニーカーの踵つぶして履く我を創り給ひしイエス・キリスト> 穂村弘 塚本は嫉妬と呪怨をこめて、イエス・キリストの歌をたくさん詠んだ。比較すれば、穂村の歌の軽やかさはあきらかだろう。けれどまた、穂村は塚本の「子ども」だったのだと思う。 そして、塚本はみずからの歌もいつか「間違つ」た「子ども」をつくることを知っていた。だから手を挙げて命乞いをする「子供」を、「君の」「子ども」だとは言わなかった。「君の私の」「子供」だと言ったのだ。むしろ塚本こそ、戦後社会を撃とうとした自分のピストルの先に、穂村の顔を見て、愕然、愕然としたのではないか。 (中略) ほみほむとまみは穂村がつくりだしたもっとも熱烈で甘いシンジケートであった。たくさんの人々が次々に入会した。イエス。イエスとマリア。ほむほむとまみ。完璧なシンジケートであった。 (後略)
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歌人穂村弘さんの自選ベスト歌集。 パッと読むだけでは全然わからなかったけど、またふと読みたくなると思う。 ごーふる考察 https://bokutachi.hatenadiary.jp/entry/20100912/1284295022
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