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亡命トンネル29 ベルリンの壁をくぐり抜けた者たち
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 河出書房新社 |
発売年月日 | 2022/11/01 |
JAN | 9784309228679 |
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亡命トンネル29
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1989年にベルリンの壁が壊されたのを、当時TVで見ました。 解放への熱に浮かされたような現地の熱気を感じ、自由を手にした人間の可能性への輝かしい幕開けの瞬間に立ち会っているようで、いてもたってもいられなくなり、半年後には自分もベルリンの壁の前に立っていました。 それまではベル...
1989年にベルリンの壁が壊されたのを、当時TVで見ました。 解放への熱に浮かされたような現地の熱気を感じ、自由を手にした人間の可能性への輝かしい幕開けの瞬間に立ち会っているようで、いてもたってもいられなくなり、半年後には自分もベルリンの壁の前に立っていました。 それまではベルリンの壁は知識として知っている程度の漠然とした印象しかなく、現実のこととしてきちんと意識したのは、その時から、つまり壊された時からになります。 しかし、そもそも壁ができる前には、資本主義と共産主義の相容れない対立があり、第一次世界大戦後のドイツの敗戦とその処置をめぐる世界の緊張があった結果として、国際間の軋轢の象徴である不自然な建築物が作り出されたという事実は忘れてはなりません。 この本は、友人から「ベルリンの壁崩壊の時に現地に行ったあなたには面白いと思うので読んでほしい」と勧めてもらいましたが、分厚い本には自分が知らないことばかり記されていました。 壁によって東西に引き裂かれてしまった家族や友人の悲劇は、創作作品としてならいくつも知っていますが、リアルなドキュメンタリー資料に目を通したのは初めてです。 衝撃に続く衝撃の事実に打ちのめされました。 政府が強引に国民の自由を奪い、脱出する人は容赦なく殺し、西側の情報を得ようとすることさえ厳しく取り締まる。 そんな人権を無視したような時期が数十年続いたわけです。 ナチスドイツの異常事態に始まり、とるべき道を間違えたドイツ。その代償として、国民は長い苦難の道のりを、いったいいつまで耐え忍ばなくてはならないのでしょうか。 様々な方法を駆使して容赦なく脱出者を探し出し、追跡し、捕まえ、なぶり、見せしめ裁判や家族親戚への懲罰を行って人々を絶望させる東側政府。そうした非人道的行いに介入せず、見殺しにするだけの西側政府と、希望をそぐような状況がこれでもかというほどに書き連ねられます。 脱走者の大切な人の命をちらつかせるなどして抵抗を奪い、東側のスパイにさせることも。 いつ何時も、どこに潜んでいるかわからないスパイによる密告の恐れに怯えなくてはならない不安感。 周りの人を信じられないことへの強いストレス。 加害者もまた被害者であるという悲劇の重なり。 やりきれない思いでいっぱいになります。 昼休み時間に少しずつ読み進めていったのですが、読書の間はすっかり食欲が落ちてしまいました。 当時の膨大な資料と関係者への緻密なインタビューによって生まれたこの本。 当時の人々の息詰まる呼吸までもが聞こえてきそうです。 現在も戦争をしている国はありますが、国家間の紛争が起きると、個人の幸せは無視され、国民は国家に都合よく動く手ごまとして取り扱われます。 立てつく人物は簡単に殺される異常事態。 多くの人が自由の名のもとに犠牲になって命を奪われ、自分もまた死の危険に脅かされながらも、心を保って信念を貫く人々がいない限り、道が開ける可能性はなかなか訪れないという事実。 どんなに絶望にうちひしがれても、自由を求め続ける人々はいるのだということに勇気づけられます。 自分が自由になりたいという気持ち以上に、愛する人と平和に暮らしたいという強い思いが人の原動力となるのだなと気づきました。 西に脱出するための極秘トンネル掘りに命を懸けた大勢の人々が登場します。 一読しただけでは頭の中が整理しきれないほどの情報量。 実際にトンネル29を撮影し、当時のケネディ大統領も見たというアメリカのドキュメンタリーフイルム、ぜひとも日本でも見る機会があればよいと思います。 当時、現地から持ち帰ったベルリンの壁は、負の歴史のひとかけらとして今でも大切に飾っています。
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国を分断されたことのない日本人には実感がわかない。 ベルリン、朝鮮半島。 どちらもトンネルだけは実在したようだ。 脱出物にはわくわく感が追従する。 成功すればバンザイで、失敗すれば残念。それほど現実は甘くない。 死と隣り合わせで進める極秘作戦にはスリルがある。 凄いと思ったところ...
国を分断されたことのない日本人には実感がわかない。 ベルリン、朝鮮半島。 どちらもトンネルだけは実在したようだ。 脱出物にはわくわく感が追従する。 成功すればバンザイで、失敗すれば残念。それほど現実は甘くない。 死と隣り合わせで進める極秘作戦にはスリルがある。 凄いと思ったところは、今でも秘密警察の文書が保存されており閲覧できる点である。 日本なら?
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