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51のデータが明かす日本経済の構造 物価高・低賃金の根本原因 PHP新書1329
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | PHP研究所 |
発売年月日 | 2022/10/15 |
JAN | 9784569853246 |
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51のデータが明かす日本経済の構造
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商品レビュー
2.9
8件のお客様レビュー
物価や賃金、インフレ、デフレ、スタグフレーション、労働生産性、経済をとりまくさまざまな用語くらいは知っているが、明確に説明できるかというと、うわっつらの説明暗いが精いっぱいだろう。それらをつなげてストーリー的に解説してくれていて、わかりやすかった。 日本の生産性の低さについて...
物価や賃金、インフレ、デフレ、スタグフレーション、労働生産性、経済をとりまくさまざまな用語くらいは知っているが、明確に説明できるかというと、うわっつらの説明暗いが精いっぱいだろう。それらをつなげてストーリー的に解説してくれていて、わかりやすかった。 日本の生産性の低さについては、問われているところ。 でも日本って、電車は世界でも珍しいくらい正確に運行されているし、いろいろ優れた面はある。なのに、そこまで否定される?という疑問に対して、高いサービスに対して、高い代価を求めることを怠ってきた、と指摘する。 実際、日本の業務のサービスについて、もう少し高い代価を支払ってもいいというアンケート結果もあるくらいだとか。 足りないのは、それだけの対価を払ってもらう努力。どうやったら高いお金を払ってもいいと思ってもらえるのかという試行錯誤がなかったということか。 いろいろ考える材料をもらえる本だった。
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最近買い物していると、思いもよらないものが値上げしていたり、飲み物の缶やペットボトルがやけに小さくなったなと、物価上昇を肌で感じることが多い。そう言えば自分の給料明細の金額は全く変わっていないし、業績に応じて支給される一時金の額は、入社当時と比べると寸志の様に感じる。長く在籍する...
最近買い物していると、思いもよらないものが値上げしていたり、飲み物の缶やペットボトルがやけに小さくなったなと、物価上昇を肌で感じることが多い。そう言えば自分の給料明細の金額は全く変わっていないし、業績に応じて支給される一時金の額は、入社当時と比べると寸志の様に感じる。長く在籍する社員同士でむかしを懐かしみ、賞与額がまるで入社時の金額に戻ったね、と内心大きな落胆を感じながらも笑いながら話している中堅社員は多い。 本書は日本社会を指して頻繁に言われるバブル後の「失われた30年」について、諸外国との差を明らかにし、かつこれからの日本がどうあるべきかを数字を中心に解説・課題提起していく。 戦後成長著しい日本は一時期は経済的に世界のトップにまで君臨したが、現在は散々たる状況だ。勿論中国やインド、インドネシアなどの人口の多い国々の台頭もあるが、G7の様な元々が先進国の中に於いても相対的な位置付けの低下が見られる。日本単独で見れば経済成長が止まっているわけでは無いが、諸外国の成長率などの指標と比べると上昇率の差は明確だ。本書は対極的な国家の経済を測る指標としてのGDPだけでなく、我々労働者に身近な可処分所得や給与に着目する。給料については前述した様に、明らかに手取りは変わらず、寧ろ肌で感じられるほどの減少にも直面している。一方、ウクライナ戦争や新型コロナで世界的にコストプッシュ型の物価上昇が続いており日本もインフレ目標2%を上回る物価高の状況だから、より一層買える力が低下している。事実、労働人口における給与所得額は既に韓国にも追い抜かれ、当然ながらG7内では最低だ。 以前から指摘される日本人の労働生産性の低さについても数値指標を用いて具体的に解説されているのが分かりやすい。日常的にニュースで聞く内容を数値を用いて頭の中を整理するには好都合だ。 本書後半はその様な状況にある我が国が今後どうあるべきか国家的課題として提起している。 要因としては4つのキーワードを挙げる。人口構造変化については、高齢化の進展を長寿化として捉える必要性(老後3000万どころでは無く、もはや7000万以上必要)、AI、ビッグデータ、IoTに代表されるテクノロジーの進歩、そして近年特に注目されるグリーン化、最後にグローバル化だ。グローバル化については「脱」の動きがないわけではないが、実質的な世界の潮流としては方向性は変わらない。こうした4つの潮流に対して、我が国の政治や規制、制度状況の問題点を踏まえたうえで、どうしていくべきか。本書後半は前半戦の数字が頭に入った状態で一気に明快に解を紐解いていく。 仕事柄、私もジョブ型雇用に着目し独学ではあるものの研究している。その中で自身のキャリアについての展望が無い社会人の多さを感じる。何になりたくて何をするか、この当たり前が無い。筆者が言う通り、海外からの労働者受け入れなどで労働環境が変わったら、なんとなく過ごしている日本人の雇用は果たしてどうなってしまうのか、周りの社員を見ていても不安は大きい。そもそも終身雇用で社内異動ばかりの日本企業が、憧れを持って海外の優秀人材が目指すかは疑問が多い。 本書はただ単に問題提起を繰り返すのでは無く、日本に合った解決策を幾つも提示してくれる。長寿化社会、小規模農地中心の農業、世界に類を見ない日本だけの文化、そして現行教育制度や労働者の流通環境、それら全てをビジネスチャンス、変化するチャンスと捉えて、前向きに建設的に論じていく。読み終わった読者が感じるのは「まだまだ捨てたもんじゃないな」という勇気とやる気ではないだろうか。 テクノロジーで産業構造を変化させ、それに見合うスキルを持つ人間が流動的に社会を移動し、歳を重ねても知識・経験を発揮できる。農業を社会農業化する事は食料自給率の改善にも繋がるし、何より観光としても楽しめる。なんだ、まだまだ楽しい事は沢山あるじゃないか。まずはそれに気付く人材を新しい教育手法で沢山育てる必要がある事は言うまでもない。
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「一人負け」の日本経済の原因は、日本の”未熟な資本主義”にあるとする筆者の、提言の書。 競争的な市場環境を整備し、企業は高付加価値を創造せよ。 そして、労働市場の徹底的な流動化を進めれば、経済全体の生産性が向上する、といったのが論旨だろうか。 日本はこの30年、物価も上がらなか...
「一人負け」の日本経済の原因は、日本の”未熟な資本主義”にあるとする筆者の、提言の書。 競争的な市場環境を整備し、企業は高付加価値を創造せよ。 そして、労働市場の徹底的な流動化を進めれば、経済全体の生産性が向上する、といったのが論旨だろうか。 日本はこの30年、物価も上がらなかったが、賃金も上がらず、日本円の実力は30年前のレベルに戻った。 こんなことが、データをもとに解説されていく。 例えば、賃金についての章では、「賃金版フィリップス曲線の推定」という手法で、賃金に影響を与えるとされる四つのファクターの影響の強さを分析している。 この分野に知識がない自分には幾分つらいところだが、労働市場の需給状況と労働市場の構造(非正規職がどれくらいあるか)が賃金の成長に影響を与えるとのことだった。 そこで経営者側には、労働生産性を挙げるためには、非正規雇用の賃金を上げ、人材育成に投資すること、日本的雇用慣行を改めることが提言される。 本書はこんな感じだったのだが… 終身雇用に代表される日本的雇用慣行が、もはや現在の経済環境では機能しない、というのは頷かれる。 特に子育てや介護での離職、新卒時の不況などでキャリアトラックから外れてしまった人が再チャレンジできないことは問題だと思う。 労働市場の流動化が、こうした人たちにも参入の機会を広げていくのなら、いいのだが。 素人の、しかもネガティブなバイアスに充ちた偏見であることを自覚しながら言うが、そんなうまくはいかないような気がする。 むしろ、今非正規職で苦しい人たちの境遇はそのままで、安定している人まで不安定化するという方に進むのでは、とさえ思う。 筆者が指摘しているように、日本の労組は会社ごとに組織され、しかも最近は弱体化している。 アメリカのように職種ごとの労組を急ごしらえで作るなどしても、「労組=過激な人」とする日本の風潮ではなかなか機能しないだろう。 常にキャリアアップをして、労働市場で有利な条件を保ち続けられる一握りの人以外は、苦しい立場になるだろう。 今安定雇用されている層すら不安定化して、より多くの労働者が不利な立場に置かれることにつながるのではないか、と強い不安にかられたりもしてしまう。
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