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田園の憂鬱 岩波文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
発売年月日 | 2022/09/20 |
JAN | 9784003107195 |
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田園の憂鬱
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商品レビュー
4
3件のお客様レビュー
息苦しい都会の生活に疲れた青年が、「しっとりとした草葺の田舎家のなかで、暗いランプの陰で、手も足も思う存分に延ばして、前後も忘れる深い眠に陥入って見たい」という心持ちを持って、妻と2匹の犬、猫を連れて、田園に移り住む。 作者佐藤春夫の出世作とも言うべき『田園の憂鬱』をやっと...
息苦しい都会の生活に疲れた青年が、「しっとりとした草葺の田舎家のなかで、暗いランプの陰で、手も足も思う存分に延ばして、前後も忘れる深い眠に陥入って見たい」という心持ちを持って、妻と2匹の犬、猫を連れて、田園に移り住む。 作者佐藤春夫の出世作とも言うべき『田園の憂鬱』をやっと読むことができた。 鶏を飼っている隣家との飼い犬を巡るトラブルのようなことは若干あるが、出来事的な展開はほとんどなく、主人公(≒作者)自らの回りにある自然や生き物を 巡っての眼差しや感じた思いが延々と綴られる。 作者は画家を目指したこともあるとのことだが、例えば、庭の松の枝と桜の枝とが交差して穹窿形の空間ができ、その緑の枠の額縁から見えた丘を、女の脇腹の感じに似ていると言いながら描写が続くところなど、正に絵画的だ。 しかし、幸せな感情は長続きしない。その生活振りを見ていても親の仕送りで何とか生計を立てているようで、おそらく世に入れられない憂悶もあるのだろう。タイトルにあるように ”憂鬱” な毎日を送るうちに、幻聴、幻視、幻感に襲われるのだった。この当たりの真に迫った描写についつい引き込まれてしまった。 文章の力、描写で読ませる、正にそんな一冊だった。
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※このレビューにはネタバレを含みます
佐藤春夫(1892~1964)のデビュー作であり代表作と言われる「田園の憂鬱」(2022.9)を遅ればせながら読了しました。大正文学を代表する名作とか。著者23歳の頃、現在の横浜市青葉区市ヶ尾あたりでの5月から12月までの7ヶ月間の暮らしを描いた作品。妻(同棲)、二匹の犬、一匹の猫と共に、荒れた家と庭をきれいにし、井戸換えをし、豊かな自然の中で、動物や植物と親しみ、秒針の音・せせらぎの音に耳を澄ます生活。油絵にも造詣が深い著者の観察眼が際立っています。
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少し早く書かれすぎた自意識の小説? 作者によれば1912年ごろ、横浜郊外、現在の都筑区あたりの農村で過ごしたという経験をもとにした作品。作中では何も事件が起こるわけではないが、言葉の世界の広がりが、次々と訪れながら強度を増していく幻影と幻聴が、その結果もたらされる現実と夢の混...
少し早く書かれすぎた自意識の小説? 作者によれば1912年ごろ、横浜郊外、現在の都筑区あたりの農村で過ごしたという経験をもとにした作品。作中では何も事件が起こるわけではないが、言葉の世界の広がりが、次々と訪れながら強度を増していく幻影と幻聴が、その結果もたらされる現実と夢の混淆が、テクストの上で豊かな世界を展開していく。現実と幻想とが二重写しになっていることを自覚しながら、自分にとっては確かに現前する幻想のリアリティに心を奪われて行く「彼」のありようが詳しく描かれる。梶井基次郎の作品はここから生まれてきたのだ、という感を強くする。
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