Destiny Unchain Online(1) 吸血鬼少女となって、やがて『赤の魔王』と呼ばれるようになりました KCDX

ヤチモト(著者), resn(原作)

• 販売会社／発売会社: 講談社
• 発売年月日: 2022/09/08
• JAN: 9784065294192

商品レビュー

2022/09/15

舞台は父が制作に携わったフルダイブ型VRゲームということだけど、どうにもこうにも胡散臭いね…
そもそもログアウトせずに3ヶ月間プレイしろというのが可怪しいし、紅の為に作られたかのようなクレイドル、紅が持つ特殊な因子、本来とは異なるスタート地点、そしてラストの台詞。DUOを普通のゲームと考えるにはあまりに無理のある背景。
まあ、他にもプレイヤーが存在しているようだから、ガワは普通に遊べるものなんだろうけど。何処か紅の為に用意された世界のように思えてしまうね
だとしたら、このゲーム世界で紅はクリムとして何をすべきなんだろうね？

右も左も分からない状態で出逢った少年とモンスター。それらは判らない事が多すぎる世界での最初の指標となるものだね。襲われている少年は助けなければならない、モンスターはセオリーに従って倒せば良い
DUOを始めたばかりだというのに『致命的な一打』という戦闘スタイルを既に確立しているのはクリムが凄腕のゲーマーである事を端的に示しつつ、彼の魅力を明確にしているね

はじまりの街には辿り着けず、代わりに始まるジョージを相手にした採取クエスト。
そもそもチュートリアルをすっ飛ばした状態だし、クエストが開始された等の表記もない。これはこれで右も左も分からない状態。けど、ジョージの複雑な事情を知り、クエストクリアを意識しつつも単純に人助けとしてジョージの手伝いを始めるクリムは本質的に良い人なんだろうな

ただ、優しさだけで向こう見ずになってしまって分不相応な討伐クエストに手を出したりしないのは良い判断力を持っているね。……なのだけど、妹を助けたい一心のジョージにはクリムの利口な判断なんて関係ないわけで
あの事態をクエストと知りつつ、ジョージが唯のNPCでしかないと知りつつ、ソロで戦う相手でもないと察しつつ。それでも責任と約束を糧に走り出したクリムは流石

そして始まるレイドボス戦は迫力満点の出来
即死判定対策は練られているし、まともに戦おうにもダメージが通らない、勝ち筋の見えない状況、そこで自分らしいスタイルに回帰して『致命的な一打』狙いに切り替えるのは思い切りが良いし、ジョージの意思に応える為に切り札を使用する展開も良い
まだ実力は足りてないし、パーティーを組んでいるわけでもない。そんなクリムがあのレイドボスを倒す状況に納得感を持たせるには充分過ぎる流れでしたよ

チュートリアルには到底思えないチュートリアルを終えて始まるのは他プレイヤーとの交流かな？どうやらDUOはPvPが基本のようだし、対人戦が始まってからが本番かな