匿名

柿原朋哉(著者)

• 販売会社／発売会社: 講談社
• 発売年月日: 2022/08/26
• JAN: 9784065278819

商品レビュー

2024/06/13

自分とは違う誰かになりたい。
そう思ったことがある人は、少なくはないと思います。

本作はそんな『自分ではない誰か』になりたいと願った主人公【越智友香】と、『自分ではないもう一人の自分』として、覆面アーティストととして生きている【F=フカミ】の人生が交差する物語。

『自分ではない誰か』になるためにSNSを使うって言うところは、現代っぽい描写だなと思いました。
2人の視点での物語が各章で交互に展開されるので、読んでいてどちらの視点なのかハッキリとし読みやすかったです。

あ、ちなみに読み終わってから著者がYouTuberなのを知りました笑
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秘密は、あたしを自由にしてくれる。
超人気YouTuber・ぶんけいが匿名時代の若者を描く、渾身の初小説!

覆面アーティストとして活躍するFと、ファンアカウントでFの正体を追う友香――
渋谷の屋上で命を絶とうとしていた越智友香を救ったのは、Fの歌声だった。
Fへの思いが生きる原動力となった友香だったが、彼女は覆面アーティストだった。
Fを追い続けた友香は、衝撃の事実を知ることになる。

2024/02/06

章ごとに視点が切り替わり、前章の答え合わせかのような構成が読みやすかった。
後半に差し掛かるにつれて物語が加速していくような、続きが気になるようになった。
現代社会ではよく起こりうること(そう言ってしまうと悲しいが)を題材に、人間の弱さ強さが描かれていた。
読者にその後を想像させる最後は、読む時々によって解釈が変わりそうなのでまた時間を空けて読みたい。

2023/12/24

母親の縛りその他が嫌で外に出たが人間関係や仕事でうまくいかずにいたが、Fを知ってからは支えとし、没落という匿名でSNSをはじめる。
Fはフカミというハンドルネームから変えて一躍人気になった歌手で、素性を公開していない。
2人とも同じように名前や過去を明かさずに自分の立ち位置を探し、片方はそれを見つけて羽ばたき、片方は心の拠り所としながらも現実の問題に耐えきれずにいた。
自身の弱み・辛みを認め、許せるか。
素性を明かさずに世に出るという方法が確立した今、単に自分をさらけ出さないことで言える本音もあるが、隠したい・守りたい過去や本音があるんだろうな。
何ごとも簡単ではないんだなぁ、としみじみ思った。
318冊目読了。