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ルポ 誰が国語力を殺すのか
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ルポ 誰が国語力を殺すのか

石井光太(著者)

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 文藝春秋
発売年月日 2022/07/27
JAN 9784163915753

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2024/11/03

この本で有名なのは、『ごんぎつね』における一場面を小学生に読解させ、それが全く不適当な内容だったという話の紹介だ。病気の母をもつ兵十にイタズラのお詫びをしにきた〝ごん“を、それと知らず撃ってしまうというのがこの話。そこに「葬儀で村の女性たちが正装をして力を合わせて大きな鍋で何かを...

この本で有名なのは、『ごんぎつね』における一場面を小学生に読解させ、それが全く不適当な内容だったという話の紹介だ。病気の母をもつ兵十にイタズラのお詫びをしにきた〝ごん“を、それと知らず撃ってしまうというのがこの話。そこに「葬儀で村の女性たちが正装をして力を合わせて大きな鍋で何かを煮ている」という場面がある。これは何をしているのだろうか、というのが問いだ。 葬儀で参列者にふるまう食事を用意している場面である、というのが模範回答。対して、生徒たちは「兵十の母の死体を消毒している」「死体を煮て溶かしている」と回答したらしい。これが国語力低下の証左であり、由々しき事態だと。 岡田斗司夫が、これは過激な物語世界に慣れてしまったが故の子供たちの先読み力、ホラーを創作した子供たちの想像力に作者がついていってないだけと言っていた。しかし、この解説もどうなのだろうか。 そもそも葬儀でなくとも、大きな鍋で何かを煮る、炊き出しのようなシーンに日常出会わない。ごんぎつねの対象年齢は、葬儀を多く経験する年齢の子供たちでもない。葬儀でご飯を食べる、という発想もない。だから、経験則に照らして答えを見つけるのは難しい。葬式と言えば死体、せいぜい、それに鍋を組み合わせて精一杯考えた結果という事だろう。ホラー創作だとも思ってはいなくて、単に物を知らないだけだ。 で、これが読解力の本源的な部分だが、解釈とは、意向や状況を理解する事。それには、この世界の常識を形成する歴史や文化といった文脈を知らなければならない。例えば、主人公が中指を立てた、この意味は何だろうと問われても、ジェスチャーに関する知識がなければ読解できず、自由な想像をするしか無いのだ。 ー 「国語力」とは何なのだろう。文科省の定義によれば、国語力とは「考える力」「感じる力」「想像する力」「表す力」の四つの中核からなる能力としている。まず、習得しなければならないのが、あらゆることの基盤となる語彙力である。一般的には十二歳くらいまでに約二万語を覚えるとされており…語彙を増やすのと同時に育てていくのが、「情緒力」や「想像力」だ。情緒力とは、他者や自然から美しさ、悲しみ、もののあわれを感じ取り、理解する能力。想像力は、未知のものをイメージしたり、他者の表情や動きから言外の感情を読み取ったりする能力だ。物事を細部まで感じ取るためには、豊富な言葉が必要だ。 まあ半分そうだと思うが、語彙だけではなく、日常経験なのだ。外国人が日本の文化風習を見ても、これ何?となって読解はできない。国語力は、その国での人生経験に左右される。 ー 子供は身の周りの世界を探索しながら、五感をつかって言葉によって感性や興味を磨き上げていくそうだ。そこから物事の因果関係を考えたり、抽象的な概念をイメージできるようになったりし、徐々に心の中に「辞書」を形成していく。これを心理学の用語で「心的辞書(メンタル・レキシコン)」という。そしてこの辞書を駆使することによって言葉を操れるようになっていくのだ。 日本の風習や儀式は、実体験や祖父母からの話、童話や昔話で学ぶ。その体験機会が薄れれば、自ずとその分野が読み取れなくなる。野球嫌いが、選手の話をされてもついていけないのと同じ。これは、教育側が令和の時代の関心事やフォーマットからズレて来ただけの事だ。殺されている訳ではないし、死んでもいない。

Posted by ブクログ

2024/10/26

国語力の低下が、人間としての生活を脅かす 我々、教師の責任は大きい 授業であり、学校生活である 子どもたち一人ひとりを認め、力をつけ、できないことをできるようにさせてあげる できるようにさせることが最大の人権教育である その子、その親、その地域 全ていまの状況を作ったのは...

国語力の低下が、人間としての生活を脅かす 我々、教師の責任は大きい 授業であり、学校生活である 子どもたち一人ひとりを認め、力をつけ、できないことをできるようにさせてあげる できるようにさせることが最大の人権教育である その子、その親、その地域 全ていまの状況を作ったのは、教師である 教育が、国の根幹を成すのである

Posted by ブクログ

2024/10/04

なかなかの衝撃のルポ。特に冒頭のごんぎつねの読み取りは、極端かもしれないけど今の子供の実態を如実に捉えているかも。特定の何かが国語力を落としたしたのではなく、社会全体が国語力の低下に影響したんだろうな。

Posted by ブクログ

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