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豪商の金融史 廣岡家文書から解き明かす金融イノベーション
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 慶應義塾大学出版会 |
発売年月日 | 2022/07/06 |
JAN | 9784766428339 |
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豪商の金融史
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朝ドラの「あさが来た」でお馴染みになった、加島屋久右衛門家の発祥から幕末そして現在に至る歴史。 古文書というのは貴重な記録になる。 江戸期から現在に至るまで残った豪商の歴史は勉強になります。 日本人が凄いと思うところはこういう文書を保存していることです。 歴史を紐解く特にその時代...
朝ドラの「あさが来た」でお馴染みになった、加島屋久右衛門家の発祥から幕末そして現在に至る歴史。 古文書というのは貴重な記録になる。 江戸期から現在に至るまで残った豪商の歴史は勉強になります。 日本人が凄いと思うところはこういう文書を保存していることです。 歴史を紐解く特にその時代の風景が蘇ってきます
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廣岡家文書が発掘されたことを契機にその整理と研究に勤しんでこられた髙槻泰郎先生を中心としたメンバーによる中間報告(昨年の経営史学会共通論題報告でも報告あり)。中間報告ではあるけれども、かなりまとまっていて、知られざる豪商の経営史、廣岡家のヒストリーが明らかになっている。 目次は...
廣岡家文書が発掘されたことを契機にその整理と研究に勤しんでこられた髙槻泰郎先生を中心としたメンバーによる中間報告(昨年の経営史学会共通論題報告でも報告あり)。中間報告ではあるけれども、かなりまとまっていて、知られざる豪商の経営史、廣岡家のヒストリーが明らかになっている。 目次は以下の通り。 プロローグー豪商の大坂(高槻泰郎) 第1章 大坂金融市場の形成—米市場の誕生と加島屋の創業(高槻泰郎) 江戸幕府の経済政策と加島屋久右衛門(髙槻泰郎) 第2章 堂島米市場の誕生—デリバティブ取引の活況と加久の躍進(高槻泰郎) 廣岡家の邸宅について(高槻泰郎) 廣岡家の暮らしを伝える生活文化財(服部麻衣・谷直樹) 第3章 大名貸の展開—豪商はいかにリスクをコントロールしたか(酒井一輔) 加久と茶の湯(倉林重幸) 信心と経営—西本願寺の大パトロンとしての廣岡久右衛門(芹口真結子) 第4章 廣岡家の明治維新—時代の転換と豪商の危機対応(小林延人) 廣岡家と三井家—豪商たちの閨閥(村和明) 第5章 昭和金融恐慌の打撃—加島銀行の終焉(結城武延) 日本女子大学校と三人の輪—成瀬仁蔵と土倉正三郎と廣岡浅(吉良芳恵) 第6章 新しい金融事業への参入—大同生命保険会社の設立(結城武延) 祖父・廣岡久右衛門正直とゴルフ(岡橋清元) 廣岡家に伝わるエピソード(西野久子) エピローグ (高槻泰郎・結城武延) 「豪商の金融史」用語集 本書は、実際に存在した生身の商人、商家を通して臨場感をもった日本金融史を叙述することを目的にしていると述べられている(p.16)が、それは見事に成功していると言って良いだろう。またこのようなアプローチには私自身も非常に共感する。廣岡浅をモデルにしたと言われるNHKの朝の連続テレビ小説『あさが来た』の存在も大きい(そもそも資料発見の一契機となっている)。 また各章の終わりに置かれているコラムも非常に充実している。たとえば、幕府が経済政策を実施する際に、加久や鴻善などに諮問していた話など(p.52)。社会的影響力の点から観ても加島屋はまさに「豪商」というのに相応しいことが説得的に示されている。思想史的に観れば、西本願寺との関係が非常に興味深かったが、そのほかの廣岡家のエピソードも面白い。廣岡久右衛門正直が同志社大学ラグビー部初代キャプテンだということももちろんはじめて知った。 第1章は、大坂金融市場の形成と加島屋の創業について述べられ、第2章では、帳合米商い(立物米取引)という世界史的にも画期的な指数先物取引が成立した堂島米市場における加久の「巧者」としての商いの様子が描かれている。さらに第3章では「大名貸し」という一見リスキーな商いにおいてそのリスクをどのように回避したのかが、「長期的かつ密接な関係」の具体像(中津藩と加久との関係)を示しながら、論じられている(pp.108-133)。近世の大坂市場でどのような金融革新がおこなわれたのか、それに対応して加久が「豪商」に成長していく様が活写されている。 第4章は明治維新という構造的な危機の時代にどのようにして廣岡家(加久)が近代的な資本家へ転化することができたのかについて、論じられている。「大名貸し」のビジネスモデルが崩れる中で必ずしも順調に進んだわけではなく、大規模な他人資本の導入によって経営危機を乗り越えて加島銀行を創業(1888年)した。第5章はその加島銀行が昭和金融恐慌で打撃を受け破綻する過程が、最後の第6章は残った金融事業である生命保険会社、大同生命をどのように発展させていったのかが詳細に分析されている。 本書全体の意義は「エピローグ」に簡潔に示されている通りであり、説得力があるように思う。また最後の用語集は非常に有益で勉強になった。
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