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椿宿の辺りに 朝日文庫

梨木香歩(著者)

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 朝日新聞出版
発売年月日 2022/07/07
JAN 9784022650412

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椿宿の辺りに

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商品レビュー

3.9

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2024/03/22

『f植物園の巣穴』の姉妹編。 めちゃくちゃ面白かった! この面白味も『f植物園の巣穴』があってこそ。 ということで、☆4だった『f植物園の巣穴』も☆5に修正し、こちらも勿論☆5! ご興味がおありの方は是非、『f植物園の巣穴』から読んでいただきたい。 まだ三十代だが頭痛・腰痛持ち...

『f植物園の巣穴』の姉妹編。 めちゃくちゃ面白かった! この面白味も『f植物園の巣穴』があってこそ。 ということで、☆4だった『f植物園の巣穴』も☆5に修正し、こちらも勿論☆5! ご興味がおありの方は是非、『f植物園の巣穴』から読んでいただきたい。 まだ三十代だが頭痛・腰痛持ちのうえ四十肩と鬱に悩まされている佐田(後に頸椎ヘルニアも加わってもう大変っ)。 名は山幸彦(やまさちひこ)。 なんだか神話の登場人物みたいだが、名字は佐田! そう、『f植物園の巣穴』の佐田豊彦の曾孫にあたる。 そして従姉妹の名前が海幸彦(うみさちひこ)! いや、女性なので海幸比子(通称:海子)と書くのだが。 さらには実家の店子である鮫島氏の名が宙幸彦だと分かり、山幸彦は自身の名前の由来を辿り始めることとなる。 ところで。 痛みに襲われているのは山幸彦だけではなかった。 海子も、股関節が痛い、膝が痛い…とこれはリウマチ性多発筋痛症であることが分かったのだが、暫くして今度は左肩を骨折。 「なぜ、私たちにだけ、次から次へと痛みが襲ってくるのか。」 うーん、これって前作『f植物園の巣穴』で佐田豊彦が歯痛に襲われたのと同じ理由かしら? 過去の出来事が滞っていて、正しく時が流れてないっていう…。 痛みを取り除くために海子の勧めで訪れた仙人のような鍼灸師は言う。 「…世代を重ねて深まってきたややこしさを、本気でなんとかしようと思えば―ときほぐすということは、まず不可能にしても―ある程度のことを荒立てないわけにはいかない。」 「原因はひとつだけではありません。複数の意識されない痛みが絡み合い、どうにも無視のできぬ規模になり、仕方なく『そこ』に、本人にも自覚できる痛みとして顕れるものです。取り除くことはできない。完全に取り除くことが最善とも思われない。本人そのものと切っても切れない関係にある場合もある。」 鍼灸師の勧めで祖先の地:椿宿に向かった山幸彦は………。 山幸海幸共にあちこち痛いのだが、お話はユーモラスにぽんぽんと軽快に進み、前作よりも読みやすかった。 佐田のおじいさん(豊彦の次男:藪彦)、稲荷、福助、「椋の木」、鯉、…次々に『f植物園の巣穴』と合致してゆく。 「「痛み」は人を否応なく当事者にする。」 「家って、そういうものではないですか。禍々しいことも、楽しいことも、清らかなことも、およそ人間の営みならすべて受け入れてくれる…。」 「だって、僕の名前は藪彦だからね。藪っていうのは無数の生命の宿るところなんだよ」 「自分は大きい豊かな藪になって、小さな兄さんの道を道として成り立たせる」 「治水とは、読んで字のごとく水を治めることです。先祖の望んだ治水がこんなものであるはずがない。海と山は、滞りなく関連していくべきなのです。川は、そのためにある。」 「為すべきは家の治水」 「藪彦さんが、自分の孫たちに海幸彦山幸彦を名乗らせたかったのは、生き生きとした生命力の賦活を望んだからではないでしょうか。」 「痛みは単に、その箇所だけの痛みにあらず。全体と切り離しては個は存在しえないのです。」 「つながっている―死者も生者も、過去も未来も。」 山幸彦たちの名前の由来、結び付き、土地の様子や歴史、次々と繋がる事柄に、ページを捲る手が止まらず、ラストに向けて読むペースが上がっていった。 『家守綺譚』シリーズもそうだし、この手の梨木作品は本当に素晴らしい。 その土地土地の風土や神話、植物の名前、それらが巧みに盛り込まれて、趣深い作品に仕上がっている。 こちらの方向でまた新しい作品か続編を出して頂けたらなぁ。。。

Posted by ブクログ

2024/02/11

何年か前に「五十肩」を患い、また「実家の空き家化問題」を抱える身として、馴染みやすい設定だった。 「f植物園の巣穴」の続編ではあるが、こちらは前作の主人公の曾孫の時代=現代のお話で、文体もとっつきやすい感じがする。結末も現代的というか現実的な印象。こちらを先に読んでもいいかもし...

何年か前に「五十肩」を患い、また「実家の空き家化問題」を抱える身として、馴染みやすい設定だった。 「f植物園の巣穴」の続編ではあるが、こちらは前作の主人公の曾孫の時代=現代のお話で、文体もとっつきやすい感じがする。結末も現代的というか現実的な印象。こちらを先に読んでもいいかもしれない(どちらが先でも楽しめるはず)。 前作となる「f植物園の巣穴」のレビューでは「フロイトの治療過程を思わせた」と書いたが、強引にいえば、こちらはユングの集合的無意識になるだろうか。 梨木氏の作品では人が生きていく上での「土地」との関わり方がテーマになることが多い。昨今は SDGs達成度がどうであるとかいうドライな情報が飛び交うが、そのようなデジタル情報よりも、こういった文学からウェットでアナログな感覚を得ることの方が、重要な気がする。 もちろん、それよりも、実際に自然から得られる感覚(センス・オブ・ワンダー)の方が大事なのだろうけども…。

Posted by ブクログ

2024/01/12

海彦山彦の物語をベースにしたお話です。 海彦山彦の物語は、全国各地に伝わる 浦島太郎伝説のもとになったものとして知られていますね。 兄である海幸彦は、古事記では火照命(ホデリノミコト)、 日本書紀では火須勢理命(ホスセリノミコト)と呼ばれています。 弟の山幸彦は、古事記では火遠...

海彦山彦の物語をベースにしたお話です。 海彦山彦の物語は、全国各地に伝わる 浦島太郎伝説のもとになったものとして知られていますね。 兄である海幸彦は、古事記では火照命(ホデリノミコト)、 日本書紀では火須勢理命(ホスセリノミコト)と呼ばれています。 弟の山幸彦は、古事記では火遠理命(ホオリノミコト)、 日本書紀では彦火火出見尊(ヒコホホデミノミコト)となっています。 伝説では山幸彦の孫が日本最初の天皇である神武天皇、 一方海幸彦は、古代日本の薩摩周辺に居住していた 隼人と呼ばれる人たちの祖先といわれています。 そのことから海彦山彦の物語は、 天孫族と隼人族との闘争を神話化したものという説があるようです。 とはいえ神話や童話の物語が、この小説のストーリーに 直接絡んでくるわけではありません。 主人公は長年患っている肩の痛み治療を切っ掛けに、 古い屋敷やその土地の歴史、 自分たちの名前の由来、血筋を知って・・・というお話ですが、 死者と生きている者が同時に存在する世界観と、 巧みな文章術にどんどん引き込まれてしまいます。 どうやらこのお話、「f植物園の巣穴」という小説と やんわり繋がっているようです。 でも、そちらは10年ほど前に読んだので内容を覚えていません。 あらためて読み直す必要がありそうです。 痛みは身体的なものだけではありません。 精神的な痛み、心の苦痛というものだってあります。 身体的なものにしろ、精神的なものにしろ、 生きている限り、誰もがなんらかの痛みを抱えています。 あらゆる痛みから解放される死は、 生きている者にとって救いなのだと思います。 べそかきアルルカンの詩的日常 http://blog.goo.ne.jp/b-arlequin/ べそかきアルルカンの“スケッチブックを小脇に抱え” http://blog.goo.ne.jp/besokaki-a べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ” http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2

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