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両岸の旅人 イスマイル・ユルバンと地中海の近代 シリーズ・グローバルヒストリー3
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 東京大学出版会 |
発売年月日 | 2022/06/13 |
JAN | 9784130251730 |
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両岸の旅人
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商品レビュー
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アフリカ系奴隷の血を八分の一引く母とフランスから来た商人の父の間に生まれ、幼少期フランスに渡り教育を受け、キリスト教の洗練を受けた有色自由人の主人公。大西洋と地中海というふたつの海にまたがり、ヨーロッパの植民地支配、キリスト教圏とイスラーム圏の相剋、そして、奴隷制と人道主義。仏領...
アフリカ系奴隷の血を八分の一引く母とフランスから来た商人の父の間に生まれ、幼少期フランスに渡り教育を受け、キリスト教の洗練を受けた有色自由人の主人公。大西洋と地中海というふたつの海にまたがり、ヨーロッパの植民地支配、キリスト教圏とイスラーム圏の相剋、そして、奴隷制と人道主義。仏領アルジェリアで植民地官吏として一時は皇帝ナポレオン三世に直に進言するほど栄進したユルバン。一九世紀の東洋と西洋の相剋をみた。
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19世紀は国民国家が確立した時期と言われるが、そのようなときにも、国家、言語、宗教の境界を超えてゆく人々がいた。本書は、そのような境界を生きた人としてイスマイル・ユスバン(1812-1884)という人物を取り上げ、彼の生きた時代の歴史を辿りつつ、その道程・旅路を見ていこうとする...
19世紀は国民国家が確立した時期と言われるが、そのようなときにも、国家、言語、宗教の境界を超えてゆく人々がいた。本書は、そのような境界を生きた人としてイスマイル・ユスバン(1812-1884)という人物を取り上げ、彼の生きた時代の歴史を辿りつつ、その道程・旅路を見ていこうとするものである。 彼は、アフリカ系奴隷の血を引く母と、フランスから来た商人の父との間に、仏領ギアナで生まれ、8歳のときにフランスに渡り教育を受け、青年期にサン=シモン主義の運動に共鳴し共同生活に参加、エジプトに渡り22歳のときにイスラームに入信、その後アルジェリアで通訳から植民地官僚となり、フランスとアルジェリアの融和のために努力したが、失脚。晩年はフランスでアルジェリア時評を行うなどしたが、最後はアルジェで没し、キリスト教墓地に埋葬された。 このような経歴の彼であるが、著者が言うように彼は決して高名な人物ではなく、没後長い間忘れ去られていたとのこと。そのような人物が歴史家に注目されるようになってきたのも、ポストコロニアリズム、オリエンタリズムという新しい波がきっと影響しているのだろう。 本書では彼の人生の節目節目を彼の残した記録や文章を基に辿っていくのだが、あわせてその背後にある時代、社会についてコンパクトに説明がなされる。ユルバンの生地仏領ギアナの歴史と肌色の階層秩序、フランスにおけるサン=シモン主義の運動状況、マグリブ諸国と西欧諸国の関係、中でもフランスによるアルジェリア征服、キリスト教とイスラームの関係などについて、簡潔にまとめられている。 アルジェリアのフランスからの独立戦争が熾烈なのであったことは知っていたのだが、アルジェリアがフランスの植民地の中でも特別な位置にあったことの背景を、本書を読んで知ることができた。 また、ユルバンと対比される人物として、レオン・ロシュが取り上げられているのは興味深かった。幕末に徳川幕府に肩入れしたことで有名な、あのロシュである。彼は、アルジェリアに進駐したフランスの通訳となり、外交官に転じてモロッコ、リビア、チュニジアに駐在するという経歴を持っていた。ユルバンとロシュは直接交わった訳ではないが、同時代を地中海域で過ごしていたのだ。 本書は、グローバルヒストリーのシリーズの一冊。新しい歴史学の面白みを十分味わうことができると思う。
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序 章 地中海革命の時代 1 イスマイル・ユルバンとレオン・ロシュ 2 一九世紀のとらえ方 3 「文明」論のその先へ 第1章 奴隷制の黄昏――カイエンヌ、一八一二年 1 カリブ海域の辺境 2 植民地貿易とフランス 3 有色自由人と肌色の階層 4 トマ=ユルバンの生...
序 章 地中海革命の時代 1 イスマイル・ユルバンとレオン・ロシュ 2 一九世紀のとらえ方 3 「文明」論のその先へ 第1章 奴隷制の黄昏――カイエンヌ、一八一二年 1 カリブ海域の辺境 2 植民地貿易とフランス 3 有色自由人と肌色の階層 4 トマ=ユルバンの生い立ち 5 帰郷と旅立ち 第2章 サン=シモン主義の夢――パリ、一八三二年 1 転換期のフランス 2 サン=シモンからアンファンタンへ 3 地中海の東西 4 メニルモンタン街の交わり 第3章 イスラームとの出会い――ディムヤート、一八三五年 1 地中海革命の第一の波 2 エジプトへの旅 3 私の名はイスマイル 4 新しい信仰 第4章 通訳の結婚――コンスタンティーヌ、一八四〇年 1 アルジェリアと海 2 マグリブ人と環地中海的な自由主義の兆し 3 レオン・ロシュの豪胆 4 改宗、人種、結婚 第5章 輻輳するオリエンタリズム――アンボワーズ、一八五一年 1 征服と暴力 2 サン=シモン主義者と入植事業 3 アンボワーズ城のアブドゥルカーディル 4 言説の生まれる場所で 第6章 アラブ王国の幻影――アルジェ、一八六五年 1 地中海革命の第二の波 2 ナポレオン三世の気まぐれ 3 『アルジェリア人のためのアルジェリア』 4 土地制度の革命 終 章 両岸の旅人、あるいは未発のポストコロニアル 1 伝えられたことば 2 境界者の思想 3 短い一九世紀の終わり
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