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咲かせて三升の團十郎
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 新潮社 |
発売年月日 | 2022/04/20 |
JAN | 9784103545217 |
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咲かせて三升の團十郎
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商品レビュー
3.8
5件のお客様レビュー
2024.9 歌舞伎の勉強になりました。ちょっと長くてくどいところもあるけれど、小説としても面白く読みました。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
波乱万丈の人生がぎゅっと濃縮されていて、一気に読めた。私の頭の中では現代の團十郎の顔で物語が進んでいた。妻に先立たれるなど重複するところもあったためか。いろいろ思い悩む姿もまた粋ではある。
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入り方から面白かった! それは主人公の七代目 市川團十郎(のちの五代目 市川海老蔵、1791-1859)が「雲上口上」と題して、あの世から現代の我々に向かって挨拶を述べるというもの。コメディタッチで些か拍子抜けするが、読了した上で読み直すと万雷の拍手を天上に送りたくなる。それも感...
入り方から面白かった! それは主人公の七代目 市川團十郎(のちの五代目 市川海老蔵、1791-1859)が「雲上口上」と題して、あの世から現代の我々に向かって挨拶を述べるというもの。コメディタッチで些か拍子抜けするが、読了した上で読み直すと万雷の拍手を天上に送りたくなる。それも感涙混じりに。 話自体は、團十郎の一代記を時代小説仕立てにしたってところ。 口上において、歌舞伎に不案内な方は良いと思った場面だけ拍手してくれれば良いと仰っていたが、自分に関してはそうは行かない!観劇の数に反比例して、好きになってからの年数だけはしっかりと食っている。 本書では合間に解説を挟んでくれているが、それ以外で初耳の箇所があれば一時停止しながら調べ読み進めた。 自分が歌舞伎役者に魅せられる理由の一つが、彼らが「夢と現(うつつ)の間に生きている人」であるから。 芝居の中に気の利いたアドリブや現実世界の出来事を巧みに持ち込んで観客を楽しませる。その逆も然り。現実世界に芝居の台詞や動作を持ち込み、結果その場の雰囲気を彩り豊かに"早替わり"させる。これは梨園という異世界の住人にしか成し得ないこと。「やっぱり惚れるわー」とそれを本書でより深く実感した。 それと著しく対極をなすのは、幕臣 鳥居耀蔵の陰にこもった会話だろう。私欲に走るその姿はもはや、現実世界の"実悪"(悪役の中でもとりわけ悪い役)では?とさえ思えてくる。 なかなかお目にかかれない役者の私生活もそう。前述の通り團十郎やライバルの尾上菊五郎ら役者達の言動は、日常生活でも芝居じみている。(会談中見得を切るように右足を一歩踏み出したり笑) でもその気風の良さが彼らの魅力。 特に芸風が真逆の團十郎と菊五郎が織りなす息ぴったりの(⁉︎)掛け合いは、見応えたっぷり。それが現実世界でも「芝居みたい」と心では思っているのに、本当に芝居を見ている感覚でそれを見守っちゃっている。 「歌舞伎は人々の心を浄化するためにある」 「つまるところ歌舞伎たぁ胸躍る歌と舞で、この世の人々を楽しませ支えていくことだ」 親しい者の逝去に天保の改革の煽りと、後半にかけては辛い出来事が重なる。がしかし…! 自分は今夏どの納涼歌舞伎にもうかがえず、また猛暑で体調を崩してしまっていたが、気風の良い彼らの生き様が爽快感となって体内を駆け抜け、少なくとも鬱屈は吹き飛ばしてくれた。(今も徐々にだが快方に向かっている) 歌舞伎に不案内でも多少楽しめるが、次こそはもっと知識を会得し出直したい。中途半端な理解度で読むなんざ野暮なことは二度としめぇ!
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