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テュルリュパン ある運命の話 ちくま文庫
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テュルリュパン ある運命の話 ちくま文庫

レオ・ペルッツ(著者), 垂野創一郎(訳者)

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テュルリュパン ある運命の話 ちくま文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 筑摩書房
発売年月日 2022/04/11
JAN 9784480437907

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2024/06/18

 ルイ13世の時代、1642年11月11日の聖マルタンの日、全フランスの貴族1万7千人を虐殺し一掃するという陰謀を、リシュリュー枢機卿が巡らせていた。その企てを阻止するために運命が遣わしたのが、本書の主人公テュルリュパンだった。  テュルリュパンは捨て子だったが、成長し床屋を職...

 ルイ13世の時代、1642年11月11日の聖マルタンの日、全フランスの貴族1万7千人を虐殺し一掃するという陰謀を、リシュリュー枢機卿が巡らせていた。その企てを阻止するために運命が遣わしたのが、本書の主人公テュルリュパンだった。  テュルリュパンは捨て子だったが、成長し床屋を職としていた。しかし、彼は、自分は選ばれた存在で何か大きなことを成し遂げるはずだ、と固く信じていた。  そんな彼が、ある偶然から公爵の葬儀に参列することになり、そこで見かけた公爵夫人の振舞いを見て、彼女を自分の母親だと確信する。何とかして公爵夫人に遭おうとするテュルリュパンだったが、次から次へと思いもかけぬ出来事の渦に巻き込まれていく。  妄想とも思える考えを抱き、おかしな行動を取り続けるテュルリュパン。遂には恐ろしい事態に直面することになるのだが、知らぬ間に、雄々しく立ち向かい、結果としてリシュリュ―の陰謀を頓挫させることになったのは皮肉なものだが、その最期は実に感動的。  あまり馴染みのない時代のフランスが舞台となっているが、ストーリーテリングの妙を味わえた。

Posted by ブクログ

2022/04/28

20世紀前半にウィーンで活躍したユダヤ系作家 レオ・ペルッツ(1882-1957)の(わりと短い)長編小説。 舞台は17世紀のフランス、 目障りな貴族を一掃しようと目論んだリシュリュー公爵こと ルイ13世の宰相アルマン・ジャン・デュ・プレシーの企てを 阻止せんとした(?)謎の人物...

20世紀前半にウィーンで活躍したユダヤ系作家 レオ・ペルッツ(1882-1957)の(わりと短い)長編小説。 舞台は17世紀のフランス、 目障りな貴族を一掃しようと目論んだリシュリュー公爵こと ルイ13世の宰相アルマン・ジャン・デュ・プレシーの企てを 阻止せんとした(?)謎の人物を巡る物語。 空想癖のある理髪師の青年タンクレッド・テュルリュパンは 実の親を知らないが故に、 本来歩むはずだった道をあれこれ思い描きながら暮らしていた。 そんな自分の行いを神様が見ているから……と、 顔見知りの葬儀に参列しようとした彼は、 てっきり宿なしの物乞いとばかり思っていた死者が イル・ド・フランス世襲知事のラヴァン公 ジャン・ジェデオンと聞いて驚くも、 喪に服す公爵未亡人の態度から、 彼女こそ我が母に違いないと考えて―― 頓珍漢な冒険の幕が上がるのだった。 タイトル=主人公のファミリーネームを最初に見たとき 「アルルカン(arlequin)」と通じ合う響きだな、 と思ったのだが、 訳者あとがきに「turlupin《古》大道道化役者[後略]」 とあって、満更ハズレでもなかったとほくそ笑んだ。 彼は歴史の流れを制御しようとした――但し気紛れに、 単なる暇潰しとして――〈神〉が放った ジョーカーの札だったのかもしれない。 一読者としては、 投獄→解放→理髪店主(未亡人)の娘ニコルと再会、 結婚して店を切り盛り、あるいは、 ラヴァン公爵邸の小間使いジャヌトンと駆け落ちして、 つまり、いずれかの女性とペアになって 幸せになってほしかったけれど……残念。

Posted by ブクログ