パンデミック監視社会 ちくま新書1639

デイヴィッド・ライアン(著者), 松本剛史(訳者)

• 販売会社／発売会社: 筑摩書房
• 発売年月日: 2022/03/10
• JAN: 9784480074683

商品レビュー

2023/04/25

今回のパンデミックで、接触確認システムを性急に導入した国もある。そうした国では、市民的自由の剥奪が懸念される。そして政府は例外的な状態を定常化する。だが、筆者は監視のための技術と市民的自由を両立させる道があると言う。台湾やブラジルの例を挙げ、市民が公的機関と協力することの重要性を説いている。

2022/08/06

このコロナで各国政府がどのように動いたか、そしてコロナ感染予防から他の監視に移行したかということを述べている。日本の例はないが、ブラジルと台湾の例が最後にある。ミャンマーと中国での例も監視社会に延長した例としてあげられている。

2022/05/29

「テクノソリューショニズム」の観点から論じたものであるが、タイムリーな話題である反面、まだ進行中の問題でもあり十分に整理しきれていない印象を受ける。よって「パンデミック」に特化しているというよりも、過去の監視社会論からの引用が多い気がした。ITに関しての言及も多いのだが、開発面と運用面とが分けて論じられていないので、問題点として時間が解決するものと、政治的に解決していかなければならないものとが混在していて少々わかりにくい。
ただし最終章では、監視社会を批判するばかりではなく「希望」となる面も論じられており、もうちょっとバランスよく肯定的側面が論じられてもよかったのではないかと思う。とはいえ、この種の問題は政府に対する信頼度の問題が大きく関わってくるので、信頼度が低い日本ではあまりウケはよくないのかもしれない。