「知の巨人」が暴く 世界の常識はウソばかり

副島隆彦(著者), 佐藤優(著者)

• 販売会社／発売会社: ビジネス社
• 発売年月日: 2022/02/03
• JAN: 9784828423685

商品レビュー

2023/05/27

何だろう。勿論面白かったのだが、対談の雰囲気として醸される知識人への批評が妙に引っかかる。思想や哲学を身につけ、その流派や経緯を語る事がある種のスノビズムとして機能し、高度な井戸端会議、居酒屋トークに見えた。博覧強記を見せびらかす、書物化して流布、情報の錬金術に用い、勝手気儘に好き嫌いを明かす。巨人の養分となった知とは、下馬評や屁理屈の事だったか。

抜き出しつつ、例示する。佐藤優は日本のリベラル派の代表のようになっている佐高信を訴えた。佐藤優と言うタブーと言う本の内容での名誉棄損について。まるで、YouTubeの世界だ。

アメリカのプラグマティズムの日本への紹介者は鶴見俊輔。学生を戦地に送るための悪魔の京大講義を行った田辺元。一人ひとりの命は有限だけれども、それが悠久の大義のために使われるなら永遠に生きることになる。だから国家のため、民族のために死になさい。田辺はドイツの大哲学者のマルティンハイデガーから個人授業を受けている。日本におけるハイデガー思想のカウンターパート。アメリカの歴代大統領の中でカトリックなのはケネディーとバイデンの2人だけ。カバールとはディープステートをさらに動かしている人たち。バチカンやイギリス国王、中世から続く大銀行家のユダヤ人たちの集団。

彼はこうだ。アイツのルーツはこうだ。この学問は本来こうだと。プロレス雑誌がプロレスを語る、野球マニアが野球を語る。それに近い。

2022/02/24

「知の巨人」と呼ばれている副島、佐藤の両氏による対談をまとめたもの。哲学や外交、国際政治等のバックボーンを基に日本の左翼の活動や政治思想の変遷、宗教などについてトピック的に語られている。知識が深く、視点が面白い。対談なので学術的ではないが、参考になった。

「（「人新世の資本論」の斉藤幸平）斉藤幸平は、環境保護、エコロジーを真ん中に置いて、みんな貧乏でいい、という平等主義を唱えている。これは、貧乏ソウシアリズム、あるいは貧乏コミュニズムでしょう」p27
「学者の世界からはみ出しても、私や佐藤さんのように一般書籍で名を売って、５万人、10万人のお客が付けば、知識人として食べていけます。そうすると、学会のやつらは文句を言わない」p40
「今の中東のイスラム教スンニ派たちはイスラエルと組んでいる」p136
「革命はたいへんです。大多数の人が不幸になり、少数の目端の利く人だけが生き残ります。資本主義から社会主義、社会主義から資本主義、など順番は関係がありません。革命という形で社会制度を変えようという、社会革命の発想自体がきわめて危ないのです」p157
「サラリーマンの上層を中心に置いた公明正大な政権ができるべきです。貧困層を結集した政党による絶対平等主義はやめるべきだ」p158
「習近平が最近打ち出した「共同富裕」というのは「みんなで豊かになろう」ではなくて、底辺の貧しい６億人の農民たちの生活水準を中間層になるまで引き上げよう、ということです」p164
「中国はものすごい格差社会になっています。それは、中国が西洋式の給料格差の国になったからです。外国帰りのエリートだったら、初めから年収2000万円もらえます」p165
「（日本のディープ・テイスト）ダボス会議への日本人の招待状は、竹中平蔵が許可を出していると言われている。日本の首相にすら竹中平蔵が許可を出す。だから、竹中平蔵が日本国の代表なのです」p172
「（コロナ持続化給付金）裏横丁で、夫婦二人で小さな焼き鳥屋を営業していたら、月180万円の売上金は、絶対に入ってこないですからね。協力金バブルで、こういう人たちにとっては臨時ボーナスで、日本政府さまさまです。自公政権と新型コロナ感染が、ずっと続いてほしいと思っていることでしょう」p179
「中谷巌さんは、（現政権が行っている）MMT政策でハイパー・インフレが発生するとしたら、それは「なんらかの予想外の外的ショック」だと表現しています。私は、中国の台湾との武力衝突や、朝鮮半島での武力衝突が、その外的要因になる可能性が十分にあると見ています。戦争か内乱が、その引き金を引くのではないでしょうか（佐藤）。やっぱり戦争ですかね。やはり、これから起きるのは、戦争か大恐慌か、どっちかです（副島）」p180
「（副島）偉大な人間はやることが早い。私もそうありたいと、いつも思ってきたのですが、ただの変人扱いで終わりそうです」p232
「一般国民には大きい物語が必要ですね。たとえば、小林よしのり先生とか、櫻井よしこ先生とかに代表される、単純なナショナリズムです（佐藤）そうです、そうです。あの人たちにもっと踊ってもらいましょう。彼らはドンブリの大きな物語しかできない。あそこまで「古代から日本は世界一素晴らしい」の、低知能の裸踊りをされると、言う言葉がない。彼らの本性は、インテリに対する激しい劣等感でできています」p237
「（佐藤優のような）こういう本物の知識人は、今の日本にあまりいなくなった。今の日本の知識人（学者）階級の知能低下は目に余る。ヒドイの一語に尽きる」p247

2022/02/10

p123 ロシアが懸念するフェルガナ盆地

p135 ガサからの攻撃　ハマスといわれているが、スンニ派のハマスだけでなく、イランから支援を受けているシーア派のイスラム聖戦機構によって行われている

p170 カバールの正体