ROUNDERS(vol.5) 特集「血統」血と知のギャンブル

オーイズミ・アミュージオ(編者)

• 販売会社／発売会社: オーイズミ・アミュージオ/主婦の友社
• 発売年月日: 2021/11/08
• JAN: 9784073426110

商品レビュー

2022/02/07

私は競馬の予想や出資馬の選定において、ほとんど、血統という要素を考慮していない。しかし、使わないということは、知らなくていいということではないはずである。競馬に対する造詣、教養を深めるという意味で、本書を読んでみた。

安直な競馬予想本と異なり、記事の一つ一つに「コク」、深みがあり、実に読み応えがあった。

血統競馬本のつまらなさは、ホニャララ産駒は牡馬だと湿ったダートがいいとか、ホニャララのクロスを持つ馬がいいとか、歴史の暗記テキストのような情報の羅列にある。

しかし、本書においては、血統が、どうして意味を持つのか。どのようにして、今目の前で走る馬の、その走りとして発露するのか。そうした、「そもそも論」を考察することができる深みがあって面白く読めた。この馬は現役時代にこういう走りをしていた、だから、こういう効果が出てくるはずだ。ああいう適性を持っていた馬がクロスされているので、その適性が発露してくるかもしれない。というような、根本的な血統の考え方、ひもとき方を教えてもらった気がする。

生兵法は大怪我のもと、というのですぐに馬券予想や出資馬選定に使おうという気はないが、血統について、その深遠な世界を覗いてみようという気にしてくれる一冊であった。

競馬本らしからぬ読み応えがあり、面白かった。一冊読み終えれば、ひとつ、競馬ファンとして深くなることは間違いない。