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国税調査の舞台裏
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国税調査の舞台裏

小倉敏郎(著者)

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国税調査の舞台裏

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 清文社
発売年月日 2021/10/04
JAN 9784433735210

国税調査の舞台裏

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2022/12/31

国税局の資料調査課、税務署の法人課税部門での特別調査をはじめ、国税局査察部では犯則調査など調査経験豊富な国税OB税理士が税務調査の裏話的なことを守秘義務の範囲内で解説。数年の国税勤務経験しかないのに、さも裏側を知り尽くしたかのような物言いをする偽物もいるが、本書の筆者はその点本物...

国税局の資料調査課、税務署の法人課税部門での特別調査をはじめ、国税局査察部では犯則調査など調査経験豊富な国税OB税理士が税務調査の裏話的なことを守秘義務の範囲内で解説。数年の国税勤務経験しかないのに、さも裏側を知り尽くしたかのような物言いをする偽物もいるが、本書の筆者はその点本物と言えるだろう。税務的な話というより、こぼれ話的なものも多いが、一読の価値あり。 P75 統括官は、年度当初に策定した事務計画に応じた件数を選定し「悪さ加減に応じて」相応しい事案を担当者に割り振るのが大事な仕事です。 まず、納税者が1年間の営業の成果を取りまとめた決算書や申告書などをもとに、収入や利益の上昇、過去の調査頻度や保有している資料情報との照合、また、業種の注目度など形式的な条件から調査対象の仮選定を行いますが、この段階で確信が持てる選定は困難です。 最終的には、取引先や従業員に依頼して嘘の書類を作成したり、また、節税と称して税法の隙間を探しスキームを醸成し利益を移転するなど実質的に脱税と変わらない取引を行う大口で悪質な所得隠しをしている調査対象先を浮かび上がらせることが最優先されるのですが、仮選定事業から調査対象への絞り込みのポイントは 「違和感」です。 ・10年以上赤字申告が続いているのに借入れが増えていない ・世間では好況と言われている業種なのに売上げが増えていない ・利益は出ていないのに高級自動車などを購入している ・役員報酬や賃貸料収入以上に役員借入金が増えている ・資金繰りが苦しいはずなのに根拠が不明な仮払金などがあるなど 書ききれませんが税法や会計以前の段階での違和感です。 これらは、前回の調査記録や、資料情報との突合などで解消されるのですが、それでも違和感が多く残った法人が調査対象に選定され部門のメンバーに指令されます。 ここで統括官が注意していることは、「粉飾決算」で利益を過大に計上していても違和感があることです。「粉 (コナ) かな?」と思いつつ着手し早々に撤退することもあります。 P125 着手されたら7割有罪!告発割合と起訴・不起訴 全国の査察事件のうち調査着手して検察官に告発したのが約70%で検察官が起訴したのは100%です。その後の裁判では、ここ20年間で1審で国が負けたのは4件ですが内3件は上級審で逆転しているので結果的に無罪となったのは1件だけです。これは、外資系金融グループからのストック オプションを役員個人が無申告だった事件でしたが、「脱税するため」で あることを立証する証拠を最高裁が認めなかったものです。この事件は、国税局査察部が敗訴したと、当時大きな話題になりましたのでご存じの方も多いと思いますが、罰金と懲役刑は課せられなかったので「無罪」ですが、当然期限後申告をしてもらい、本税と無申告加算税、延滞金などは課されています。 また、告発されなかった約30%の事件も金額や手口などの悪さ加減や証拠の評価などから告発はされていませんが、税務署長の権限で課される重加算税等で十分でしょうという意味であると理解しています。 コラム 串はさみ 裁判官にキップを請求する捜索現場の数は相当な数になりますので、捜索場所ごとに番号を付して一覧表にするのですが、「15番の○○はなぜ令状が必要なの?」と裁判官に質問されたときには嫌疑者との取引関係や押収すべき書類のコピーなどをその場で示し裁判官に納得してもらう必要があります。 裁判所に持ち込む書類もそこそこあり、スムーズに説明できないことも考えられますので、15番であれば15と表示した紙製の串を事前に作り該当ページに挟んでおきサッと開いて裁判官に見てもらうのです。 「串はさみ」 はナサケの担当者にとって最後の仕上げ作業です。 裁判官の質問を想定し準備することでキップが発行できなかったことは私の知る限り1件もありません。 コラム 5年は駆け出し 私は、 ナサケを2年、 シラベを3年の合計5年間査察の仕事を担当しましたが、上には上の経験者が査察部にはワンサカといます。 10年程度は中堅で15年ならやっとベテラン扱い、20年超えの猛者は誰も逆らえない(?)生き字引です。 ささやかな端緒から掘り起こした事件が超大口で悪質な査察事件につながったり、「やれるものならやってみろ!」と開き直っている嫌疑者を、細かい証拠をつなぎ合わせ、積み重ねて告発するなど、 まさに芸術的で伝説的な事件が部内で数多く語り継がれています。 例えは適切ではないかもしれませんが、税務署での調査が建売住宅や注文住宅だとすると、査察部の調査では宮大工が集まって五重塔を建てるような事件もあるのです。 幸か不幸か、当人の希望か、時のいたずらか(?)、国税勤務の大半を 「国税最後の砦」 にささげた方々に査察部は支えられています。

Posted by ブクログ

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