恋する昭和 芝木好子アンソロジー

芝木好子(著者), 山下多恵子(編者)

• 販売会社／発売会社: 未知谷
• 発売年月日: 2021/09/07
• JAN: 9784896426472

商品レビュー

2024/05/16

「顔」「女家族」「舞台のあと」「翡翠」「洲崎パラダイス」
「雪女」「女の庭」「二人の縁」「二つの棺」
「ヒースの丘」「ブロンテ姉妹の世界」を収録。

芝木好子の短編集。
それぞれ二作品づつ、「母と娘」「秘密」「歓楽街の女・その後」
「傷ついた女・再生させる男」「作者の周辺」といった趣で短編が選ばれている。
同時にもう一冊のアンソロジーが出ていますが、
こちらは恋愛をテーマとした作品に絞っているそう。
しかし時代性もあり、恋愛、という単語よりは恋情とか情愛とか
そういう言葉で表現したい湿った雰囲気の作品が綴られている。
文体が細やかで、描写が丹念で美しい。
同年代の波乱に満ちた生活を送っていた女性作家と違い、
理解のある夫と落ち着いた生活を送っていた彼女を
揶揄するような向きもあったらしいのだが、
それ故自己の体験などに頼らず、他人を観察し、他人を生み出し、
心を込めて端正な文体を作り上げた力量と情熱を感じる。
説明し過ぎず、ほのめかすような語り口もいい。
色々なことが厄介で、ままならない昭和を感じさせる作品ばかりなのだが、
個人的には意外と「母と娘」の二作品により辛い感触があった。
これは、母の目線で読んでいるせいかもしれない。

2024/02/25

いいところの、教養ある奥様作家
芝木好子さん、
立ち昇る上品さと美しい言葉選び、
芯の強さが大好きです。

昭和の良いところ取り！