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幸いなるハリー
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 亜紀書房 |
発売年月日 | 2021/07/17 |
JAN | 9784750517032 |
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商品レビュー
3.7
3件のお客様レビュー
イーディス・パールマンが、2015年に発表した、5作目の短篇集「Honeydew」は、私が以前に読んだ、「蜜のように甘く」と本書が合わさった、全20篇で構成されており、「蜜のように~」が好きな方にとっては、まさに待望の一冊だと思います。 バラエティに富んだ、多種多様な人生模様の...
イーディス・パールマンが、2015年に発表した、5作目の短篇集「Honeydew」は、私が以前に読んだ、「蜜のように甘く」と本書が合わさった、全20篇で構成されており、「蜜のように~」が好きな方にとっては、まさに待望の一冊だと思います。 バラエティに富んだ、多種多様な人生模様のひとこまから突如として現れる、テーマの感慨深さも同じものではなく、特に大きな盛り上がりをせず、完結したように見えても、実は内に秘めた思いであったり、願いであったりと、込められたものの強さを見出す喜びの詰まった、短篇集だと思います。 が、私には人生経験が未熟であるせいか、読解力が足りないのか、それが分からなかった作品がいくつかあり(前作も同様)、これ以上の感想を書くことは難しく感じたため、訳者の古屋美登里さんの、あとがきから、パールマンの作品の魅力が分かる部分を、抜粋させていただきます。 興味を持っている、未読の方の参考になればいいのですが。 『一言一句に深い意味が込められているその文章は、ちょっとでも気を抜くとそれに気づかないまま通り過ぎてしまいかねない。句読点のひとつ、形容詞の意味のひとつも疎かにできない』 あとがきの中の、パールマンのエッセイ、「短篇作家の自由」より。 『短篇の結末では、縺れた糸を撚り合わせるという長篇に必要なことをしなくてもいいのです。得体の知れなさこそが、短篇小説の持ち味です』 『短篇作家は、チェーホフのような短い事件を書いてもいいし、アップダイクのような人生の断片を描いてもいいし、グレース・ペイリーのようにニューヨークの公園での午後のひとときを語るだけでもいいのです。語られないことをそれとなく示すために短篇小説はあるわけですから、作家がすべきことは手がかりをそっと差し出すことなのです』
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お気に入りの作家。この人はプロビテンス生まれ(アメリカの超北東)で、父ロシア人、母ポーランド人で、やっぱ辺境生まれの人(失礼か?)には強く惹かれる。物事や他人を測るものさしがオリジナルというか、よく「あたし帰国子女なんでえ」みたいにどこが偉いのかよくわからんことを自慢する人間に限...
お気に入りの作家。この人はプロビテンス生まれ(アメリカの超北東)で、父ロシア人、母ポーランド人で、やっぱ辺境生まれの人(失礼か?)には強く惹かれる。物事や他人を測るものさしがオリジナルというか、よく「あたし帰国子女なんでえ」みたいにどこが偉いのかよくわからんことを自慢する人間に限って全然中身おもんない人間と違い、「人と違うことの苦悩、分かり合えない壁の存在」みたいなんを悩んでこねくりまわし、熟成させ、自分のものにした上で提供しているから、触れる価値あるし、これからも応援したい。
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たくさんの世界を見せてくれた短編集 生活に困窮した女性とその子どもたちのための食堂を舞台にした『救済』や、言葉を発することの出来ない人々を通じて社会の構造を考えさせられる『金の白鳥』が良かった。 女性器切除や介護、死とそのまま扱ったら生々しい題材も、美しい表現で優しく包み込む...
たくさんの世界を見せてくれた短編集 生活に困窮した女性とその子どもたちのための食堂を舞台にした『救済』や、言葉を発することの出来ない人々を通じて社会の構造を考えさせられる『金の白鳥』が良かった。 女性器切除や介護、死とそのまま扱ったら生々しい題材も、美しい表現で優しく包み込むと、主張はし続けながらも作品のなかに静かに収まるんだから、小説は本当にすごい。
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