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ヨーロッパ中世の社会史 講談社学術文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 講談社 |
発売年月日 | 2021/07/15 |
JAN | 9784065245095 |
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ヨーロッパ中世の社会史
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商品レビュー
4.5
4件のお客様レビュー
読みものとして面白い本でありながら、内容の質は保証されている、良い本だった。三圃制に関する考察の部分が、筆者が直接一次資料に触れた上で研究・考察を進めている分野であることもあり、特に興味深かった。
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第一講 中世社会史への誘い 私の歴史研究 西ヨーロッパの俊越とその動揺 西ヨーロッパ基盤社会の構造的特色 私の社会史的把握のねらい 質疑と応答 第二講 民族大移動期の世界史的意義(4~8世紀) 東洋と西洋 ゲルマン民族移動の実態 部族国家の在り方 フランク王国の構造 第三講 西ヨ...
第一講 中世社会史への誘い 私の歴史研究 西ヨーロッパの俊越とその動揺 西ヨーロッパ基盤社会の構造的特色 私の社会史的把握のねらい 質疑と応答 第二講 民族大移動期の世界史的意義(4~8世紀) 東洋と西洋 ゲルマン民族移動の実態 部族国家の在り方 フランク王国の構造 第三講 西ヨーロッパ的生産様式の形成と普及(8~11世紀) 初期中世の集落形態 原初村落の集村化 村落団体と荘園支配 特産物生産地域の顕現 東ヨーロッパ農村との比較 質疑と応答 第四講 西ヨーロッパ中世都市の特色(11~13世紀) いわゆる「商業の復活」現象の背景 領主支配の都市から市民自治の都市へ 都市および都市住民数からみた東西ヨーロッパの比較 社会集団としての中世都市の特色 市民構成の純粋度からみた南欧と北欧 質疑と応答 第五講 中世西ヨーロッパ社会に共通した特質(13~16世紀) 社会経済発展の軍心の転移とその中核地帯 いわゆる「中世的世界経済」と「都市経済」 北欧商業瀾と地中海交易圏 十五、六世紀にみる交易体制の大転換 質疑と応答 第六講 国家権力の質的変化について 人的結合国家から領域支配国家へ 各国封建国家の相違 農民一揆·農民戦争の背後にあるもの 世界帝国・国民国家・小国の原理とその並存 質疑と応答
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ヨーロッパ社会史 増田四郎 一橋大学の歴史学4傑と呼ばれる増田四郎氏の市民講座を本にしたもの。最近、広井氏の『コミュニティを問い直す』や木下武男氏の『労働組合とは何か』を読んでいた際に、中世都市の記述で増田氏が頻繁に引用されているのを発見し、改めて増田氏の本を読みたくなった。増...
ヨーロッパ社会史 増田四郎 一橋大学の歴史学4傑と呼ばれる増田四郎氏の市民講座を本にしたもの。最近、広井氏の『コミュニティを問い直す』や木下武男氏の『労働組合とは何か』を読んでいた際に、中世都市の記述で増田氏が頻繁に引用されているのを発見し、改めて増田氏の本を読みたくなった。増田四郎氏は、祖父のゼミの先生であり、私のゼミ教官が増田四郎氏が指導した阿部謹也先生の愛弟子であるため、私とは深い縁がある。大学入学時に耽読した『ヨーロッパとは何か』『大学でいかに学ぶか』の2冊には大いに興奮した。特に、『ヨーロッパとは何か』で取り上げられる辺境史観という発想は、その後、言語学や人類学などを学ぶにつれて、非常に役に立った。 そんな増田四郎氏がヨーロッパについて『ヨーロッパとは何か』より平易に書いた本が本書である。歴史学においては、アナール学派などによる市民の生活を仔細に把握する社会史という分野が当時開かれていたが、本書における社会史とは、ヨーロッパ史というものを広く、トータルにとらえ、近代という時代を生み出した前史を辿るというものである。本書の序盤では、これまた一橋歴史学4傑の一人である三浦新七先生が引かれ、ヨーロッパの起源をギリシアの哲学、ユダヤの宗教、ローマの法学の結節点とみなし、その3つの潮流の融合体としてのキリスト教的統一世界という見方を紹介する。そして、そのキリスト教的統一世界の中で、中世史は形成され、黒死病の蔓延や社会の流動化を端緒とし、イギリス、フランス、ドイツなどの現在の国家の形に分かれていく姿を描いている。特に、前段で紹介したコミュニティ論やユニオニズムは、近代への反省を主題としている。そんな中で、近代の萌芽まで遡り、我々が所与のものとして認識している近代の前史を辿ることは、近代の超克および、日本において近代的な制度を運用するにあたり、非常に有用であると感じた。 また、本書を通じて、増田氏の平和への願いを感じた。中世都市のお互いが顔が見える範囲での緩いつながりを紹介する段では、近代国家同士の戦争を未然に防ぐ方法として、このような都市間の平和協定を網の目の如く張り巡らせることができないかと模索している点や、都市内部や都市間での紛争の際に、宗教的な権威が仲裁し、一定期間流血を許さない「神の平和」が実施されることを引き、近代国家間の戦争時にも宗教的な権威による停戦協定を如何にして実現するかという部分にも想いをはせていることには、歴史学や中世史をアクチュアルにとらえているとともに、戦争を経験した世代としての矜持を見て取ることができる。一方、宗教による戦争の仲裁を学ぶと同時に、宗教による戦争についても興味が深くなり、本書を読み終えるころには、山内進元学長の『十字軍の思想』を次回の読書リストに追加した。
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