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こんな政権なら乗れる 朝日新書826
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 朝日新聞出版 |
発売年月日 | 2021/07/13 |
JAN | 9784022951342 |
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こんな政権なら乗れる
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商品レビュー
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政治思想の研究者である中島先生と、現世田谷区長の保坂氏の対談本。 中島氏が評するように、保坂氏が他と異なるのは、1人の人物内にある与党性と野党性の同居。 保坂氏は社民党として初当選し、自社さ政権時に、当選1年目ながらに自民党の重鎮たちと政策論議を行ってきた。 そうした中で、当時の...
政治思想の研究者である中島先生と、現世田谷区長の保坂氏の対談本。 中島氏が評するように、保坂氏が他と異なるのは、1人の人物内にある与党性と野党性の同居。 保坂氏は社民党として初当選し、自社さ政権時に、当選1年目ながらに自民党の重鎮たちと政策論議を行ってきた。 そうした中で、当時の自民党幹事長の加藤紘一氏が、政策の各テーマに対して自民3人、社民2人、さきがけ1人の6人でユニットを作り、あえて多数決では決まらない熟議での政策決定の方法を執ったことが原体験と言う。そうした中で、加藤氏の、「保坂君が納得することに普遍性が宿る」という対立する立場の中でも熟議によって合意形成をする胆力のある与党政治家に触れてきたことで、自身の政治スタイルを確立したとも言っている。 また、これは本書の最後に記載があるが、小さい政党で与党に参画したことによって、対話する相手も格段にレベルが高い中で揉まれることが自身の成長や政治家としてのスタイルに繋がったとも後述している。 そうした中で、与野党を経験しながらも民主党政権後に、世田谷区長に立候補し、世田谷区長として10年以上区政を引っ張ってきている。今、「引っ張っている」という言葉を使用したが、中島氏の評するように、民主主義の中でのリーダーシップとは、スピード感をもってグイグイ引っ張るということではなく、時間をかける忍耐性でもあると言う。中島氏の保守思想にもあるように、人間は誤りを犯すという積極的諦念をスタート地点として、設計主義的に政権運営をするのではなく、人々から主体性を引き出し、それらを実現する手助けをするようなリーダーシップが、本来は求められている。保坂氏は下北沢の再開発や、各種討議事項においても、何十回と市民が集まり、熟議を行う会を開き、立場や意見を一度、度外視した上で、もう一度下北沢らしさとは、世田谷区らしさとは、ということを再帰的に考えた経験が、市民全体の政治リテラシーや満足度を引き上げているとも考えている。また、コロナの際には世田谷区モデルという対応策をいち早く構築し、過去からの霞が関人脈や政治家とのつながりも最大限に生かして、国政も動かしていく実行力も兼ね備えている。まさに理想的な区政のトップとしての振る舞いもある。 最後に印象に残ったのは、野党としての役割ということへの考え方で、特にコロナのような緊急時には与党は即時即応が原則となるため、野党はあえて数か月後や半年後を考えた世界中の知見収集や建設的な意見集約と与党への呼びかけが必要という言葉であった。政治に対してわかりやすさを求めるメディアの中で、与野党は長らく対立的なメッセージを強く打ち出してきたが、与野党のいずれも経験した保坂氏ならではの、与党と野党のお互いの価値の出し方という点が非常に建設的で感銘を受けた。こうした与党性、野党性は一般企業でも会社内の合意形成に非常に重要であるとも感じる。結果責任を負うリーダーはよほどではない限り、緊急時の即時即応のかじ取りをせざるを得ないからこそ、リーダーができないことを中長期、幅広いスパンであえて行うという棲み分けのポジショニングが非常に重要であると感じた。 政治がエンタメ化し、簡略化される世界の中で、保坂氏のような奥深く、複雑な事象を、複雑性を毀損せずに時間をかけて合意形成に至らしめるリーダーシップある政治家が、今後増えていくことを望んでやまない。
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自民党政治はあまりにひどいが、それに代わるべき野党も魅力を欠いていて選択肢にならない。しかし「こんな政権なら乗れる」という内容です。 具体的な説明は次のようなもの→安倍晋三が示したヴィジョンである「トリクルダウン」に国民が幻想を持ったがすぐに幻滅に変わった。しかし(民主党系の...
自民党政治はあまりにひどいが、それに代わるべき野党も魅力を欠いていて選択肢にならない。しかし「こんな政権なら乗れる」という内容です。 具体的な説明は次のようなもの→安倍晋三が示したヴィジョンである「トリクルダウン」に国民が幻想を持ったがすぐに幻滅に変わった。しかし(民主党系の)野党はそれに代わる魅力的なヴィジョンを示せていない。保坂区長の施策はまさに魅力的なヴィジョンの一つのありかたを示しているのではないか。 この説明は説得的とは思えません。「トリクルダウン」とは言葉そのもの印象が恐ろしくショボいし、新自由主義的な匂いもプンプンする。民主党が大勝した2009年国政選挙で国民は「新自由主義にNO」を突き付けたと書いていますが、その国民が「トリクルダウン」に期待したとは考えられないですね。それに代わる説明が必要でしょう。また中島はまともなヴィジョンを示していた小沢・鳩山をまったく評価していない。小沢については強権的だと批判しているが、自民党は常に強権的だった。小沢一郎に対して毀誉褒貶はあるでしょうが、従来の利権を広い範囲で潰そうとした小沢一郎に対して、自民党を含む支配層がひどい反発をした。小沢一郎の政治団体に対して検察が強引な捜査を行ったのもその現れの一つ。結果は検察が完敗(つまり冤罪)だったのだが、「強権的」という言葉はこのような行為に使うべき。 実際、中島は自民党に対して非常に甘い見方をしている。 「自民党は公明党と成熟した関係を保っています(p42)」。 忖度メディアはそういわないがこれは単なる野合です。票が貰えるなら組む相手は何でも良い、ということですが、統一協会問題と同じ構造がある。 中島自身も自民党(あるいは一部の人たち)に対して成熟した関係を保っているので、その発言をちゃんとしておかないと…ということかなと疑ってしまいます。 おもしろいと思った部分は、保守vsリベラルという従来の対立軸に替えて、「リベラルvsパターナル(権威主義)」と「リスクの社会化vsリスクの個人化(自己責任)」という対立軸を唱えているところ。 また、保坂区政での「子どもの声は騒音なのか」という議論も興味深かった。もともとはドイツで行われた議論だが、日本でも取り入れれば良い。ただ、保坂は区長という立場上の宣伝的な意見がありそうなので、評価は保留です。
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政治のことがわからないので勉強のために読みました。 世田谷区の保坂区長の実績を振り返りつつ、自公政権のオルタナティブになるには、野党なにが足りないかを考えるという内容でした。 印象に残ったのはパターナルvsリベラルとリスクの個人化vs社会化の2軸で政治のスタンスを整理する方法で...
政治のことがわからないので勉強のために読みました。 世田谷区の保坂区長の実績を振り返りつつ、自公政権のオルタナティブになるには、野党なにが足りないかを考えるという内容でした。 印象に残ったのはパターナルvsリベラルとリスクの個人化vs社会化の2軸で政治のスタンスを整理する方法です。 自民のやり方はパターナルかつリスク個人化に分類されているので、本当は、野党が逆張りで代替案を提示すべきなんだ、ということを知ることができました。 保坂区長は区民との熟議を通して政策を考えたという話がありましたが、これはオードリー・タンの「傾聴」と同じスタンスだと思います。 また、不動産を公共財として使うという政策も、さまざまな書籍で語られているポスト資本主義を体現するものだと感じました。 自分はそんな価値観に共感できるので、この本で勉強した内容を頭に置きつつ、政治に参加していきたいと思います。
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