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ホワイト・ティース(下) 中公文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 中央公論新社 |
発売年月日 | 2021/06/23 |
JAN | 9784122070837 |
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商品レビュー
3.6
7件のお客様レビュー
読む人によって注目する場所が異なる、多面性をもった作品だと思う。私は二世になってからの話がおもしろくて、ルーツやアイデンティティの話だと思った。子ども達がアイデンティティの危機を迎える時、同時に親もまたアイデンティティの危機を迎えている。 ただ、そんなルーツや、ルーツから成り立つ...
読む人によって注目する場所が異なる、多面性をもった作品だと思う。私は二世になってからの話がおもしろくて、ルーツやアイデンティティの話だと思った。子ども達がアイデンティティの危機を迎える時、同時に親もまたアイデンティティの危機を迎えている。 ただ、そんなルーツや、ルーツから成り立つアイデンティティを蹴り飛ばすような感じがあって、後書きにある「内にも外にも蹴りを入れるこの姿勢」とはまさに。マイノリティーとされる人々を扱うだけでなく、マイノリティー同士の差別感情や「自分たちの文化」への執着にまで切り込んでいくし、極端な人が大勢出てくるのに、みんな一生懸命なものだから、全体を通してハートフルな作品になっているから不思議。 物語自体は、日本で生まれ育った日本人にはなかなか身近な状況とはいえないのかもしれない。それでも、いわゆる自分とは異なる人々というのは、ここに描かれた人達だけではないはずで、日本でももっと読まれてほしい。
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下巻になると上巻の二人の娘や息子が主人公になる。ジャマイカやベンガルの文化的背景だけでなくイギリスの文化の影響、青春の迷いや欲望、麻薬やアルコールなど様々な小道具で話が進む。何に向かって進むかというかより、どのように物事は展開するのかという微分に重きが置かれているように思えた。2...
下巻になると上巻の二人の娘や息子が主人公になる。ジャマイカやベンガルの文化的背景だけでなくイギリスの文化の影響、青春の迷いや欲望、麻薬やアルコールなど様々な小道具で話が進む。何に向かって進むかというかより、どのように物事は展開するのかという微分に重きが置かれているように思えた。20代前半に色んな文化的背景を持つ様々な登場人物の心理をこれほどまでに巧みに描いた筆力に脱帽。
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バングラデシュ系移民とロンドン下町育ちの2人のオッサンの数十年にわたる友情を軸に,それぞれの妻(ヒンズー系とジャマイカ系)と息子,娘たち,白人(ユダヤ系)とその家族,イスラム系過激派,過激動物愛護団体が絡み合い,最後に1992年の大晦日に臨界点に達する. 様々なルーツを持つ人達は...
バングラデシュ系移民とロンドン下町育ちの2人のオッサンの数十年にわたる友情を軸に,それぞれの妻(ヒンズー系とジャマイカ系)と息子,娘たち,白人(ユダヤ系)とその家族,イスラム系過激派,過激動物愛護団体が絡み合い,最後に1992年の大晦日に臨界点に達する. 様々なルーツを持つ人達は決して理解し合っていないのだが,それでも友情が続いて,「わかり合わなくてもわかり合える」ということがテーマになっているように思う. 同じインド系でもバングラデシュ系(イスラム)とデリー生まれ(ヒンズー)は違っており,そのあたりの微妙なすれ違いも描かれているようなのだが,残念ながら自分はそれほど深く理解していないので,作者の表現したことを100%理解しているとはいいがたい.
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