同調圧力の正体 PHP新書1263

太田肇(著者)

• 販売会社／発売会社: PHP研究所
• 発売年月日: 2021/06/16
• JAN: 9784569849553

商品レビュー

2025/09/03

同じ空気を読むことが美徳とされてきた日本社会。その影に潜む危うさはないのか。周囲に合わせることで摩擦は避けられるが創意は抑えられ異論は封じられる。結果として組織や社会は硬直し変化の波に乗り遅れる。個を尊ぶ自由と共同体の調和、その両立は難しい課題だ。だが未来を切り開く力は異なる声を受け入れるところから生まれる。同調の鎖を解く勇気こそ次の時代を進める鍵である。

2025/09/02

　周囲の空気を読む（KY）など、目に見えない圧力に苦しむ人は多いのではないだろうか。うまく波に乗れる方は空気をも味方に付けるが、そのようにうまくこなせる人ばかりではないだろう。
　本書では、同調圧力が生じるメカニズムを解説し、後半で現代型のヨコ型同調圧力について解説がなされている。もう生活の一部となった、SNSなどに関する同調圧力のことである。
　個人的には、日本の労働環境は効率性と共同体としての同調圧力がミスマッチしていることが社会の歪みの影響と考えていたが、本書においても｢コロナで露呈した日本の弱点｣として指摘がなされている。
　社会的な生活が続く限り同調圧力は切っても切り離すことは難しいだろう。
　だが、本書には息が詰まるような空気感を少し和らげてくれるような読了後の心地よさがあった。空気を読むことに疲れた方は試しに本書を読まれてみることをすすめたい。【図書館】

2025/07/07

同調圧力の原因をイデオロギーとしての共同体主義に求める分析。タテ社会や空気という伝統的な切り口とは異なるが，言いたいことはほぼ重なるように思われる。

閉鎖性，同質性，未分化が同調圧力を強める。
タテの圧力＝権限・序列
ヨコの圧力（大衆型同調圧力）＝「正義」

分析はそれなりに説得的ではあるが，目新しいものはないかな。対応策もまぁありがち。

教育で身に付けさせるべきは受動的な同調よりも積極的な協力というのはそうだと思う。

結局人は人なんですよ。