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ナショナリズムの美徳
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 東洋経済新報社 |
発売年月日 | 2021/03/26 |
JAN | 9784492444603 |
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リベラル、サヨク、9条信者、人権屋、ポリコレ、フェミ、ヴィーガン、グレータートンベリ、SDGs、LGBTQQIAAPPO2S... 界隈の言説に対して日頃から感じていた、幼稚さ、嘘臭さ、白々しさ、不愉快さの理由が明快に説明されていた。 「ぼくのかんがえたせかいへいわていこく」主...
リベラル、サヨク、9条信者、人権屋、ポリコレ、フェミ、ヴィーガン、グレータートンベリ、SDGs、LGBTQQIAAPPO2S... 界隈の言説に対して日頃から感じていた、幼稚さ、嘘臭さ、白々しさ、不愉快さの理由が明快に説明されていた。 「ぼくのかんがえたせかいへいわていこく」主義者とでも言うべきお花畑は、自分が安心してお勉強ができている環境を「自身の先祖が血を流して積み上げ引き継いできた」遺産ではなく「生まれながらに持っている」権利だとはき違え、現実の人間が苦心と調整と妥協の末にこぎつけたささやかな成果を、はた迷惑な理想主義をまき散らして台無しにしていく。 その上、自分の主張が万人にとっての絶対正義だと疑いもせず信じ込み、反対意見は聞く耳を持たずに社会的私刑で圧殺し、賢く「戦う」(笑)自分に酔いしれている、迷惑なガキ。 著者は理想そのものを否定しているわけではなく、「遠くにあって目指すべき星」と表現している。なるほど星がすぐ近くにあったら人類は燃え尽きてしまう。遠ざかるわけにはいかないが、手が届くものとは思わない方がよい。 「国民国家」とは、同じ歴史、文化を共有する集団が個々人ではなく国家としての意思を自決し、「その領域内の」人間に強制できる政治制度で、決してベストではない。しかし、一見人類に普遍の権利と自由を保障するように見せかけつつ、実体は皇帝(もしくは「自分たちだけが」神の言葉を伝えることができるとする「教皇」)が支配する「普遍」帝国よりははるかにマシなシステムである。 ユダヤ人である著者は、アウシュビッツの主因をナチズム以上に、ナチズムから「自分自身の軍事力で」国民を守ることができなかった、つまり第一次世界大戦終了後の時点でイスラエルを建国できなかったため、だと断じている。安全保障を米英に任せてしまったがために同胞が虐殺されるのを「ただ、見ていることしかできなかった」のだと。9条信者は何と答えるのか。 そして、国民国家は「マジョリティである自国民の」アイデンティティが確保されているからこそ、国内のマイノリティに「国民の統合を壊さない限りにおいて」譲歩して寛大に接することができ、それが文化の多様性と国民としての一体性を調和できる現実解だとしている。 「国民の統合を壊さない限り」という保留つきの権利は、リベラルサヨクの幼稚な自我には「ぼくのけんり(=ワガママ)がせいげんされるなんてがまんできな~い」ということで非難を浴びるわけだが、全人類の権利を保障する(キリッ)普遍帝国は、弱者のフリをした特権エリート(まさに教皇)が「自明」とされる独善的な主観にもとづいて「人類固有の権利を侵害した」者を断罪し、反論を認めずに(なぜなら権利侵害は自明だから)制裁を科す。何のことはないリベラルサヨクは「全人類の平和のため」と偽装しつつ、好き勝手できる教皇の座を夢想しているだけだ。 だからこそ「全人類」という白々しい旗を降ろして「USA」の利益を追求するトランプや、自分の主張に全面同意しない「普通の」人々を傲慢なマジョリティだとヒステリックに非難する。 著者は国民国家の弱体化や解体を図る敵対集団の工作についても認識しており、やはり、勝手に入り込んできて権利を喚き散らす南鮮のゴキブリは適切な場所に退去させるしかない。 一方、著者はユダヤ人らしく、キリスト教に汚染された末期ローマ帝国、神聖ローマ帝国、ソ連、ドイツ第三帝国、そしてEUことドイツ第四帝国を「普遍」帝国として批判する一方、共和制~五賢帝あたりのローマ帝国は、なかったことになっている。 国民国家としての主張に対して「アラブはよいがイスラエルはダメ」というダブルスタンダードの論調が強い(そうだろうか?)理由として、イスラエル=ヨーロッパ=先進国、アラブ=非ヨーロッパ=後進国、と書いているところは読んでいて一瞬、南鮮のブログかと思った(しかも結構ページ数を割いている)。この点については「長男(ヨーロッパ人)だから我慢しなさい」的な感情ではなく、単に格差拡大で「金持ちのユダヤ人」が再び嫌われるようになったのではないかと思う。国際金融資本のロスチャイルド一族(もはやユダヤ民族とは言えない気がするが)とイスラエルのユダヤ人は別物だろうし気の毒ではあるが。
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リベラリズムである「政府の哲学」とリアリズムである「政治秩序の哲学」を区分する必要性を論じつつ、リベラリズムを「政治秩序の哲学」に適用することにより帝国主義を支えるイデオロギーになることに警鐘を鳴らす。基本的にはナショナリズム(国民国家)擁護の内容なので、ナショナリズムと帝国主義...
リベラリズムである「政府の哲学」とリアリズムである「政治秩序の哲学」を区分する必要性を論じつつ、リベラリズムを「政治秩序の哲学」に適用することにより帝国主義を支えるイデオロギーになることに警鐘を鳴らす。基本的にはナショナリズム(国民国家)擁護の内容なので、ナショナリズムと帝国主義を混同し、ナショナリズムに悪のイメージしか持たない人にはややとっつきにくいかもしれないが、論旨は明快なので頭をリセットしてから読めば理解は可能だと思う。とはいえ、本書は冷戦終結後のグローバリズム的帝国主義への批判であり、プーチンロシアのような「力」による権威主義的帝国主義が登場してくると話が100年以上前に戻ってしまう。そしてそのようなロシアに対し、ウクライナ的な国民国家やナショナリズムが1国で対抗していく事は困難であり、結局は中露的権威主義的帝国主義と西側的リベラリズム的帝国主義との戦いになってしまっているようにも思える。よって、著者の主張する国民国家やナショナリズムに基づく「国際化(による多元的世界の構築)」という文言がある種の理想主義にも感じられ、その「美徳」というものも帝国主義の前では吹っ飛んでしまっているのではないかという気さえしてくる。
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著者のヨラム・ハゾニー氏はイスラエルの政治哲学者、聖書研究家、シオニスト。エルサレムのヘルツル研究所所長。公共問題研究所のエドマンド・バーク財団会長。 自由と民主主義を守るのは国民国家であるとして、誤解されがちなナショナリズムの価値観を問い直していく。その一方で、リベラリズムのパ...
著者のヨラム・ハゾニー氏はイスラエルの政治哲学者、聖書研究家、シオニスト。エルサレムのヘルツル研究所所長。公共問題研究所のエドマンド・バーク財団会長。 自由と民主主義を守るのは国民国家であるとして、誤解されがちなナショナリズムの価値観を問い直していく。その一方で、リベラリズムのパラダイムは、専制や帝国主義と同じだと警鐘を鳴らす。 原書が出版されたのは2018年。ロシアのウクライナへの軍事行動が現実のものとなるまで、おそらくは理論の書として見られていたものと思います。2022年3月20日時点において、ウクライナの示している抵抗は氏の主張するネイションの概念と整合的に見えます。 また、国民国家という概念を軸にしたドイツとヨーロッパの有り様の分析は考えさせられるものでした。
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