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カットバック 警視庁FC Ⅱ 講談社文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 講談社 |
発売年月日 | 2021/04/15 |
JAN | 9784065227626 |
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商品レビュー
3.2
10件のお客様レビュー
直前に読んだ「署長シンドローム」からの藍本署長つながりで読んでみた。 本作は2017年1月から10月にかけて毎日新聞に連載された警視庁FCシリーズ第2作で、藍本小百合警視正は大森署長として登場している。 藍本が大森署に着任する様子が描かれた短編「空席」電子版が2018年11...
直前に読んだ「署長シンドローム」からの藍本署長つながりで読んでみた。 本作は2017年1月から10月にかけて毎日新聞に連載された警視庁FCシリーズ第2作で、藍本小百合警視正は大森署長として登場している。 藍本が大森署に着任する様子が描かれた短編「空席」電子版が2018年11月の発表だったことからすれば、本作が今野作品への初登場だったのだろう。 実を言えば、「署長シンドローム」を読んだときには藍本署長のキャラクターが掴みきれずにいた。 本当に“天然”なのか、それともそう装っているだけなのか、なんだかもやもやしていたところ、本作が先に書かれていたことを知り、確認してみたいと思ったのだ。 ――警視庁地域総務課の楠木肇は警視庁FCチームを兼務しており、都内での映像作品製作の支援を行っている。 今回「危険なバディー」劇場版のロケ現場に駆り出されたところ、死体役の俳優が本当に死体となって発見されてしまう。ただでさえFCチームはロケの都合で夜討ち朝駆け、そのうえ事件まで起きてしまっては事務職なのに定時退庁もままならない。内心グチをこぼしながらも捜査本部に吸い上げられた楠木だったが…… 新聞連載ということもあってか、ガチガチのミステリーではなく、ちょっとユーモラスな警察小説、といったところだろう。半ばあたりで犯人の予想はついてしまう。(そうたかをくくっていたら、ラストにもう半ひねりあったけど) 「署長シンドローム」は貝沼副署長、本作は警視庁FCチームの楠木巡査の視点で語られており、いずれも藍本署長の内面は描写されない。あくまでも語り手の主観による署長が描写される。 ま、美人を自分語りさせてしまっては美人の描写ができなくなってしまうのだから、当然といえば当然なのだろう。 で、肝心の署長はといえば、本作の冒頭で挨拶に来たFCチームの面々に弱音を漏らしていたりする。前任者がとても優秀な方だったので、その後任は自分にはちょっと荷が重い、と。 が、前後の状況をあわせてみると、この言葉を額面どおりに受け取るのは考え物だ。 美人が困り顔で心細さを訴えれば……周りの男どもが放って置くはずもない。 まあ、これも狙ってやったものではないのだろう。 全体を通して読んでみて、やはり“天然”なのだろうと思えた。 国家公務員総合職試験に合格したキャリアであることと“天然”であることは、けっして矛盾するものではない。 幼いころから可愛い・美少女・美人と呼び慣らされているのだから、十分に自覚はあるだろう。 ただ、美醜というものは個人的な好みであったり時代の流行だったりするものだし、泣いたり怒ったり変顔したりすれば簡単に崩れてしまうものでしかない。また、どんなに美しいと言われても生物としての汚れと無縁でいられないことは、自分自身だからこそよく分かっていることだ。 彼女にとって「なんて美しいんだ」と言われることは、晴れた日に「今日は良い天気だね」と言われる程度のものであり、褒め言葉に対する礼を述べてさらりと受け流すくらいのものなのだろう。 そうすることが習性として染みついてしまっている。そうしなければ、嫉妬され孤立してしまう危険に、幼少期からさらされ続けてきたということなのだ。 だから、けっして自分の能力を自慢したり優秀さを主張したりすることなく、つねに控えめな言動を心がけ、なにかあれば周囲の人間に助けを求める。むしろ助けて欲しいと伝えることが、相手のプライドをくすぐり気持ちよくさせることだと、経験として知っている。 「あの子は美人だけど、ちょっとぽ~としたところがあるから、私たちが気をつけて守ってあげなくっちゃ」 男女を問わずそう思われる存在であることが、周囲の人間と良好な関係を築く基礎だったのではないだろうか。 そしてこれこそが、貝沼副署長をして“天然”と言わしめたところなのだろう。 ウケの良い美人って、そんなもんじゃないのかな? さて、藍本署長を主人公としたシリーズ化については、もし上記に考察したとおりの“控えめ天然キャラ”だとすれば、ちょっと難しいのではないだろうか。 講談社としてはそろそろ息の長い人気シリーズが欲しいところだろうが、大森署を舞台にしたことで「隠蔽捜査」と比較されることとなってしまったため、「署長シンドローム」のマンガチックな表現には批判的な意見が多かったようにも思う。 美人キャラで押し通すのであれば、田中芳樹の描く薬師寺涼子警視長くらいの濃いめのキャラでないと、なかなか主人公は務まらないように思える。 藍本署長については、今後は癒しのキャラとしてときどきカメオ出演いただくのが正解ではないだろうか。
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※このレビューにはネタバレを含みます
本作は『警視庁FC』の続編である。前作は読んでいたが、続編は何となく読まずにいた。今になって手に取った理由は安直で、『署長シンドローム』の帯に藍本署長の初登場作品と紹介されていたからである。べっ、別に藍本署長ファンではない。 タイトルにあるFCとは、「Film Commission」の略。映画撮影等に便宜を図る、警視庁内の特命チームとして、4人が集められた。所属はバラバラな上に、本来の業務との兼務である。本庁の地域総務課に勤務する楠木(くすき)もその1人。 唯一専任の室長以下、FC室のメンバーは前作に引き続き登場。そして、ロケ現場が大森署管内であることから、藍本署長以下大森署の署員も登場し、『隠蔽捜査』シリーズの外伝的な面も併せ持つ。主張が強い面々を、どう料理するのか? 人気の刑事シリーズ『危険なバディ』(『危ない刑事(デカ)』をイメージしているらしいが)の映画ロケが行われるため、招集されたFC室メンバー。主演の大物コンビや人気女優に間近に接するのだが、草食系警察官の楠木にはただ面倒なだけ。 撮影開始直前に出演者の遺体が発見され、成り行き上FC室メンバーも捜査に加わる。監督らスタッフだけでなく、出演者にも事情聴取が必要になる。人気女優を署に呼べて嬉しそうな捜査本部の上層部たち。藍本署長にデレデレ、女優にデレデレ。……。 オーラを漂わせる大物俳優にも一歩も引かない戸高。相手が激昂するかと思いきや、すっかり意気投合してしまうのだった。この件に限らず、本作の楠木は関係者の衝突を期待している節があり、なかなか腹黒い面を見せる。楠木の印象が相当変わったな。 どう考えても内部犯が疑われる状況で、ひねった展開にはなり得ない。文庫版で500p超だが、すいすいと読み進む。それこそ刑事ドラマを視聴しているような感覚に近い。面白いは面白いけれど、豪華キャストを活かしきれていないような。 撮影現場で殺人事件が起きたにも関わらず、映画は撮影続行、楠木も開放されず。フィクションとはいえ、ヒットを願いたい。で、さらなる続編はあるのか?
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こういう緩い描き方もあるのか。その緩さをうまく引き出しているのが楠木の心の声。何かコメディチックで、もう一つストーリーにものめり込めないものがあり自分には苦手
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