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宇宙の春 新☆ハヤカワ・SF・シリーズ
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 早川書房 |
発売年月日 | 2021/03/17 |
JAN | 9784153350526 |
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宇宙の春
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商品レビュー
3.7
11件のお客様レビュー
良い。しかし重い。 中国系アメリカ人が書いたとは思えないほど、抉るような日本の戦争の描写の作品が光る。 日系米国人強制収容所に収容される女性科学者を通して描かれる沖縄の様子、「マクスウェルの悪魔」。 過去を覗き見る技術と、人体実験で悪名名高い七三一部隊を中心に据えて、ドキュメンタ...
良い。しかし重い。 中国系アメリカ人が書いたとは思えないほど、抉るような日本の戦争の描写の作品が光る。 日系米国人強制収容所に収容される女性科学者を通して描かれる沖縄の様子、「マクスウェルの悪魔」。 過去を覗き見る技術と、人体実験で悪名名高い七三一部隊を中心に据えて、ドキュメンタリーが進む「歴史を終わらせた男 ——ドキュメンタリー」。 軽い短編も挟まれつつ、なかなか重量級の作品ばかりである。しかし、それでも物語に引き寄せられてゆくのだ。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ケン・リュウのハヤカワの新書は全部買っているけれど、これは私の中で「紙の動物園」に迫るかも。ただ、第二次大戦でアジアを支配していた日本の話が2篇あるので、とても重い。初期の短編集に「歴史を終わらせた男」を入れなかったという判断もわかる。 「マクスウェルの悪魔」 戦時下の沖縄ユタの血筋の日系アメリカ人、かつ女性で科学者の主人公。 どこの土地でも余所者・敵地人として不当な扱いをされ、戦争も地獄の様相を見せる中、それでも人が拠り所とする故郷について描かれる。 重ねて出てくる「それが戦争ってものじゃないか」が重くのしかかる。 「歴史を終わらせた男」 ここで731部隊の話を突きつけられるとは。 タイムマシンによって直接歴史を見聞きできるようになったとき、「歴史」が過去の死んだものではなく今扱える生きたものとなったとき、当時の出来事をどう見るのか、責任の所在はどうなるのか。 そういうSFを土台にしているけれども、話中で人体実験の現場を訪れた観察者同様、731部隊の話が終わった過去でなく、実際にそこに在った事実として辛い。 もちろん日本が行った反省すべき戦争犯罪だという認識はあったけれど、たかだか100年前に、医療の発展のためにという名実で「必要なこと」として行われ、それが実際に医療データとして利用されていたというのは、こう読むと相当なショックだった。 乗り越えて終わった過去でなく、今もその出来事と連続して今いるのが自分なのだと。 100光年離れた星の、100年前の光が今届くように、過去発せられた光は今の光景であり、時間による差はあまりないのかもしれない。 ロシア・ウクライナ戦が始まり、戦争とはすでに乗り越えた過去のものと漠然と考えていた自分の能天気さを恥じたけれど、発売当時に買ったままだったこの本を今読んだというのも、本に呼ばれたのかもしれないなあ。 「切り取り」 こういう技巧が凝らされた上に、儚さの感じられる物語は大好き。
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「ブックセイヴァ」、「灰色の兎、深紅の牝馬、漆黒の豹」、「歴史を終わらせた男」が特に印象に残ってる話でした。 中でも「歴史を終わらせた男」は、ウクライナ危機が始まった今、読んでとても良かったと思いました。戦争の当事者には様々な立場があり、たとえ同じ事実を目撃したとしても、目撃した...
「ブックセイヴァ」、「灰色の兎、深紅の牝馬、漆黒の豹」、「歴史を終わらせた男」が特に印象に残ってる話でした。 中でも「歴史を終わらせた男」は、ウクライナ危機が始まった今、読んでとても良かったと思いました。戦争の当事者には様々な立場があり、たとえ同じ事実を目撃したとしても、目撃した人によってその解釈の仕方は全く違ってしまうという可能性があるということを、この話はとても上手く表現しています。ただ、起こった事実そのものは受け止めなければならないですし、特定の個人が感じた深い悲しみもまた事実ですので、それには添わなければいけないなと感じました。 ただ、そこに永遠の謝罪を要求し争い続けることもまた間違いなのかも。南北戦争はアメリカ建国の歴史であり、ホロコーストはイスラエルの建国の歴史という言葉が良くも悪くも印象に残っています。今から、そこにある結果を、今から覆すことは困難ですが、暴力で問題を解決することは誤りだったと私達は学ぶことはできるはずです。 同じことを繰り返さないために、過去に学び、最大限の努力をすることが、今最も大切なことかなと思います。今、この本を読んでとても良かったです。
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