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大崎事件と私 アヤ子と祐美の40年
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大崎事件と私 アヤ子と祐美の40年

鴨志田祐美(著者)

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大崎事件と私 アヤ子と祐美の40年

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 LABO
発売年月日 2021/03/15
JAN 9784904497418

大崎事件と私

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商品レビュー

4.5

3件のお客様レビュー

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2023/06/08

2023年6月5日、福岡高裁宮崎支部は再審を認めない決定を 出した。「またか…」と思った。再審請求が行われ、それが 認められなかったのはこれで4回目だ。 事件は44年前に起こった。鹿児島県大崎町で夫(当時)やその 親族と共に義理の弟を殺害したとされ、懲役10年の判決を受けた 女...

2023年6月5日、福岡高裁宮崎支部は再審を認めない決定を 出した。「またか…」と思った。再審請求が行われ、それが 認められなかったのはこれで4回目だ。 事件は44年前に起こった。鹿児島県大崎町で夫(当時)やその 親族と共に義理の弟を殺害したとされ、懲役10年の判決を受けた 女性・原口アヤ子さんは、捜査段階から一貫して容疑を否認して 来た。 そんなアヤ子さんの再審請求の為に動く弁護団の中心的役割を 担っているのが、著者である。 第1次再審請求から、今回、「再審開始せず」の決定が出た 第4次再審請求の始まりまでを詳細に綴るほか、日本の再審制度 の問題点を提起し、法改正を働きかける運動を綴っている。 タイトルに「私」と入っているので、大崎事件にはあまり関りの ない、著者の私的なことが書かれている部分もあるので、冤罪事件 並びに再審制度のみを知りたい人は、この部分は読み飛ばして いいかな。 それと、エンターテイメント色を出そうとしたのかは不明だが、 「その表現はどうなの?」と感じる部分があったので、途中 興味を削がれることがあったのも否めない。 だが、冤罪事件・再審制度については著者が現役の弁護士だけに 鋭い指摘が多く、特に第2次再審請求の特別抗告審での決定の 詳細には、読んでいる私でも弁護団の「怒り」に共感し、本書を 持つ手が震えた。 犯罪容疑を特定する過程や、司法の判断に誤りがあってはならない。 それは人の人生を大きく左右することなのだから。だが、検察官も、 裁判官も、等しく人間である。人間であるなら、間違うこともある。 ならば、その間違いを潔く認めてはどうか。しかし、それが出来ない のが日本の再審制度なのではないか。 現行の再審制度は戦前のドイツを参考にしたそうだ。そのドイツは、 戦後に法改正をして検察の特別抗告を禁止しているという。 そういう点こそ、ドイツに倣ってはどうか。 「開かずの扉」。再審開始決定の困難さを表す言葉だが、司法自身 がその制度を「開けずの扉」にしているのではないか。自分たちの 組織とプライドを守るために。 原口アヤ子さん。日本の司法に闘いを挑んだ女性は今月96歳になる。 ご自分で体を動かすことも、言葉を発することも難しくなっている。 彼女の生の限界のうちに、確定判決が覆ることはあるのだろうか。 尚、袴田事件で袴田巌氏を支え続けた姉・ひで子さんの話は涙腺が 崩壊しそうになった。

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2021/08/11

今、読むべき本。 原口アヤ子さんは94歳(2021年8月時点)。 一刻も早い再審開始と、無罪をアヤ子さんに! 弁護士の鴨志田祐美さんを始めとする弁護団の熱意と行動力に敬意を表します。 参考記事:大崎事件「あたいはやっちょらん」。"命の砂時計"抱え、冤罪を戦...

今、読むべき本。 原口アヤ子さんは94歳(2021年8月時点)。 一刻も早い再審開始と、無罪をアヤ子さんに! 弁護士の鴨志田祐美さんを始めとする弁護団の熱意と行動力に敬意を表します。 参考記事:大崎事件「あたいはやっちょらん」。"命の砂時計"抱え、冤罪を戦う93歳 https://www.huffingtonpost.jp/entry/news_jp_60a9092de4b0d56a83e9fee7 『大崎事件と私 アヤ子と祐美の40年』と本のタイトルにあるように、本書は大崎事件について書かれてものでありながら、著者である鴨志田さんの生い立ち、事件を知った背景(「私」の部分)などが大崎事件の再審請求の経過とともに書かれていて、非常に臨場感あふれる内容だった。 ニュース記事で大崎事件のことは読んで知っていたが、ここまで詳しく、時系列に従って読んだことはなかった。 日本における再審の壁の不当な厚さを痛感した。

Posted by ブクログ

2021/03/19

 出色のノンフィクションもの。大宅壮一・角川・講談社・新潮・本屋大賞、枚数に限定のない文学賞が複数あるので、選考委員はぜひノミネートしてほしい。  出色である理由の1つめは、著者自身が大崎事件の弁護団で議論の中核に関与し、ゆうに百回以上講演したり論文発表してきたことにある。それら...

 出色のノンフィクションもの。大宅壮一・角川・講談社・新潮・本屋大賞、枚数に限定のない文学賞が複数あるので、選考委員はぜひノミネートしてほしい。  出色である理由の1つめは、著者自身が大崎事件の弁護団で議論の中核に関与し、ゆうに百回以上講演したり論文発表してきたことにある。それらを繰り返したことで、細かいエピソードがつどつど拾い上げられ、高度に専門的な議論を、法律の素人にわかりやすく伝えるという、難題がクリアされているからだ。つまり、この著作は読者を選ばず置き去りにもしていない。目次直後に、事件の概要・年表・用語集をもってきて、それから審級ごとに時系列で話を展開させる、大変読みやすい。  出色である理由の2つめは、大崎事件の当事者には失礼千万ながら、ドキュメントならではの、小説家ならばまず採用しないだろうプロット、冷厳な事実展開にある。既にニュース報道されている情報もあるが、関係者の自殺ほか裏話も交えてのジェットコースターのような著者をめぐる環境の変貌ぶりに読者は驚きを禁じ得ないはずだ。特に、特別抗告3兄弟、熊本の松橋事件と湖東記念病院事件との結論の差は何なのか、皆目読者には理解できない事実が横たわっている。  出色である理由の3つめは、国家権力に属する者の礼賛と悪罵も含めて、徹頭徹尾、実名主義に依拠している迫力にある。しかも、感情論に出した痛罵でも礼賛でもなく、それらに値する具体的事実とそう評価すべき根拠が切々と展開されているのである。正直、痛罵された本人の家族にとってはたまらない面もあるだろうが、そういう実在の裁判官それぞれがどのように国家権力を弱い市民に対して行使してきているのかを、多くの市民のみならず、家族もまた目を背けず読破してほしい。  著者披露の反骨精神の言葉がとてつもなく染み渡る「反骨精神とは権力にあらがうこと自体を目的とするものではない。職業法律家である前に、人間として正しいと信じる決断をしたら、それを貫くために権力にあらがうこともいとわないスピリッツのことである」、この矜持が、公益の代表者という肩書で行動している、ここに登場している検察庁の面々の中に揃って感じられないことに誰もが憤慨するだろう。  著者が繰り返すパワーワード「再審格差」「供述弱者」「再審開始決定に対する検察官抗告権の残酷さ(しかも非公開審理)」、「検察官に収集証拠の全面開示義務ないこと」、このキーワードがもたらす理不尽をひろく知ってもらうために、誠にシンプルなタイトルを採用しており、それは編集者のお手柄ともいえよう。  第4に、無罪刑事弁護で名を馳せた多くの業界内著名弁護士にとどまらず(数が多くて紹介しきれない)、法曹ならだれもが知ってる伝説のもと刑事裁判官のほか、日本人ならまず知ってる著名な映画監督にフリージャーナリスト、さまざまなマスメディアの記者たち、同じ論点に対して真っ向意見が対立する複数の医学者、台湾の検事総長、えん罪事件の数々の被害者など誠に多くの人が1つのこの事件にどっぷりはまり込まざるをえない、事件そのものの吸引力。面白いから引き込まれるのではない、正義と情熱が自ずと人々をそこに近寄らせてしまっているのだ。    ちなみに、スキーマアプローチ(供述心理科学)という言葉は初めて知った。この本は、仮に著者がプロのノンフィクション作家だとしたら、一生に一冊書けるかどうかレベルの魂を絞り出した1冊である。読者は刮目せよ、そして大崎事件のファイナルが反骨精神を達成して素晴らしい逆転裁判が結実されることを切に祈る。  おまけ、著者は自他ともに認める酒道楽である。389頁には、秋田で講演をしたのちに「ちょろぎ」「あかもう」「いぶりがっこ」「はたはたの天ぷらと塩焼き」「比内地鶏いりキリタンポ鍋」「稲庭うどん」という、秋田名物がズラリと紹介されていた。かように細部に宿るディテールこそがノンフィクション作品としての出来具合を支えている。が各ページにでてくる飲酒の機会に、体内に入った酒の名前が全く登場してこないのは、それを書いてしまうと、ただの飲酒記録になりかねなかったからかもしれない。著者が買いたいかもしれない箇所を書かせない勇気も(笑)編集者のお手柄である。  

Posted by ブクログ

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