詩の中の宇宙 マーニーリウス『アストロノミカ』の世界 プリミエ・コレクション110

竹下哲文(著者)

• 販売会社／発売会社: 京都大学学術出版会
• 発売年月日: 2021/02/25
• JAN: 9784814003150

商品レビュー

2022/06/12

・ものを知らない子どもたちには、まず文字の形と名前が教えられる。そしてそのはたらきが示され、次いでそれらの結びつきによって音節が作られる。それから、その部分部分(音節)を通じて読むべき単語が構成される。その後、事柄の意味や文法の実践が授けられる。そして詩が生まれ自らの足で立ち上がる。

・詩によって、神秘の技術と、運命に与り人間の巡り合わせを様々に転じさせる星々、すなわち天の理法の御業を天空から引きおろすことに私は挑む。

・これらのことを知ること、天上の館へ上がることをはじめてその関心とした幸福な魂よ。……高き星々の間を往くのは喜ばしい。大地と怠惰な座を残し去り雲に乗って、アトラースの肩に立つことは喜ばしい……

・この宇宙を一層深く知ることがはじめて地上に許されたのは神々の恩恵による。

・小さな胸の内にあるからと己の力を軽んじてはならない。その有する力は計り知れない──ちょうどわずかの量の黄金がうずたかく積まれた無数の銅の値打ちを凌ぎ、たった一粒でも金剛石が金より高価であるようなもの。

・あなたが探求しているのは神、あなたが目指しているのは天へ昇ること、運命の掟の下に生まれながら運命を知ること、自らの胸中を越えて宇宙を手中に収めることなのだ。