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鏡子の家 新潮文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 新潮社 |
発売年月日 | 2021/02/25 |
JAN | 9784101050515 |
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商品レビュー
3.9
8件のお客様レビュー
おそらく多くの読者がそうだろうと思うが、読了直後の感想としては、何か物足りなさを感じる。 各々の登場人物は魅力的であるが、各々の人生のストーリーが交じりあうことなく、ただ諦念の感情とともに、没落していく結論に言いようのない物足りなさを感じるのだ。 ただ、少し時間を置いて考えてみる...
おそらく多くの読者がそうだろうと思うが、読了直後の感想としては、何か物足りなさを感じる。 各々の登場人物は魅力的であるが、各々の人生のストーリーが交じりあうことなく、ただ諦念の感情とともに、没落していく結論に言いようのない物足りなさを感じるのだ。 ただ、少し時間を置いて考えてみると、この物足りなさは、各登場人物が絡み合い、人間的なドラマが生まれ、何らかの「オチ」とともに物語を終えるという典型的なストーリーに慣れていることから来るものであると考えるに至った。 そして、ウィキペディアの記事を見て、納得がいった。 三島曰く、「「金閣寺」で私は「個人」を描いたので、この「鏡子の家」では「時代」を描かうと思つた。」 「それぞれが孤独な道をパラレルなままに進んでいく。ストーリーの展開が個人々々に限定され、ふれあわない。反ドラマ的、反演劇的な作品だ。そうした構成のなかに現代の姿を具体的にだしていった。ここに僕の考えた現代があり、この小説はその答案みたいなものである」 「登場人物は各自の個性や職業や性的偏向の命ずるままに、それぞれの方向へむかつて走り出すが、結局すべての迂路はニヒリズムに還流し、各人が相補つて、最初に清一郎の提出したニヒリズムの見取図を完成にみちびく。」 とのことである。 周囲の人間に翻弄されるのではなく、あくまで時代に翻弄され、諦念の感情とともに落ちていく登場人物を描きたかったということなのであろう。 当時の時代背景とニヒリズムを表現したかったということであれば、それは成功しているように思える。 また、登場人物の心理が、難解な文章で表現されるその手法は芸術的であり、それだけでも読む価値がある。 (「やりすぎ」でリアリティに欠ける表現に思える箇所もあったが、こちらの文学的なセンスが追い付いていないことが原因であろう) 三島の小説の中でも特殊な立ち位置にある、魅力的な作品だと思う。
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※このレビューにはネタバレを含みます
まさに私が悩みに悩みまくってる議題についてとことん三島氏が考察を繰り広げてゆくような本。 まじでこの本の内容について友人と議論しまくってとっても楽しかった思い出。ノートがパンパン。 枕元に置いておく本となりました。 三島さんはこういう性格の人は、どういうところで躓き、どういうものに傾倒し、破滅していくかみたいな人間の心理やパターンを熟知している。そりゃ先が読め過ぎて現世はつまらんってなるかもしれない…。 きっと、フィールドワーク的な人だったんだろう。全部体験して納得しないと気が済まない。 でも与えられた時間の中で人生は1人分しか生きられないから、小説にして自分の疑問を一つ一つ登場人物に体験させることで何百人分の人生を生き、生き抜いて、生き切ってそのまま解脱してしまったんだ。三島さんはきっと幸せのまま達成したんだろう。だから私も嬉しいけど、嬉しいけどやっぱり残される側は寂しいんだよ。全共闘の仲間の切なそうな顔を見てそう思いました。 聖地行きたい
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この小説と同じく「鏡子」の名を持つヒロインが描かれた小池真理子著「モンローが死んだ日」繋がりで(その文中にて「鏡子の家」に対する言及あり)本作を手に取った。ひとりの女を軸に、彼女の家へ出入りする四人の男たちの生きザマを描いた物語は今読んでも大変新鮮で全く古臭さを感じさせず。ただし...
この小説と同じく「鏡子」の名を持つヒロインが描かれた小池真理子著「モンローが死んだ日」繋がりで(その文中にて「鏡子の家」に対する言及あり)本作を手に取った。ひとりの女を軸に、彼女の家へ出入りする四人の男たちの生きザマを描いた物語は今読んでも大変新鮮で全く古臭さを感じさせず。ただし、個性溢れるキャラの活かし方に残念ながら若干の物足らなさを覚え、展開次第ではもっと話を面白く出来たのではないかとも思う
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